宇宙の星
僕は歩いていた。いつもと同じ道を、いつもと多分同じくらいのスピードで。
でもだんだん遅くなったり、かと思いきや急に速くなったりして、なんなんだろう。と思ったら、どんどん地面に足が溺れていく感覚があった。
あ。もう僕はこの世とはさようならなんだ。って思って、変に抵抗もせず身を任せていたら、
おい、お前、手を離せ。
そう聞こえてきた。
すると足が溺れていく感覚はなくなり、僕の足がだんだん地上へと戻る感覚があった。
僕はまた道を歩けるようになった。
ありがとう。を言いたい。
さっき聞こえた声、あの声の主が助けてくれたんだ。
でも、振り返っても誰もいない。確かに聞こえた声は人の声だった。
また振り返ったが、誰もいない。
なんだ。
僕はまた道を歩いた。
日差しがやけに眩しくて、見上げると、星が流れた。星?今は真昼だ。
もしかして流れ星、、か?
こんなこと滅多にないと思った僕は、いつも揃える靴もろくに揃えず、居間へ駆けた。
おじいちゃん!流れ星みたんだ!
こんな真昼にかい?
うん!
どんな色だったんだ?
それが、色はわからないんだ。目が無くなったかと思うくらい眩しいのに、流れ星だっていうことは、僕はっきりわかったんだ。
その流れ星って、、
おじいちゃんは、朝刊を見せてくれた。
宇宙人かもな。
朝刊には大きな見出しで、
宇宙人現る
と書いてあった。
そして最後の文には近隣住民の声がこう綴られていた。
宇宙人にいつ何されるかわからない。
どうしたらいいんでしょうかね。。
訳もなく人間に、怖がられて怯えられる宇宙人。人間がつくり出した思い込み。
そっか。
だから、僕の前には姿を現さなかったのか。
怖がらせてしまうと思って。
僕は涙が溢れた。
おじいちゃんは、そばにいてくれた。
おじいちゃん、本当にいたんだよ?宇宙人。
ああ。宇宙人だな。きっと。
宇宙人は、宇宙からずっと見守ってくれて、たまに地上へ降りてくれる。でも、僕は君たちの姿を見ることはできないんだ。
僕はそんな事実を受け入れたくなかった。
その時、目を突き刺すような光を放って、星が流れ始めた。無数の星が個々に光を放ち、僕たちの前に流れた。
きれいだな。
おじいちゃんはそう呟き、そっと僕の手を握った。
僕は泣いた。
おじいちゃんも泣いた。
わかんないけどさ、きっと。
君も泣いているのかな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?