社長と秘書(浅野浩二の小説)

ある自動車の、日本の、最大手メーカーである。日本の自動車は、性能が良いので、世界中で、売られて、走っている。それは、何も、そのメーカーだけに限ったことではなく、他のメーカーでも、同じことである。日本車は性能が良いのである。そこの会社は、歴史が古く、1933年に、自動織機だったのだが、自動車をも、手がけることになったのが、始まりである。現在の資本金は、3970億4900万円(2016年3月期)で、2016年3月期連結売上高28.4兆円は日本国内首位である。愛知県の戸井田市で、始まり、愛知県の戸井田市は、この自動車メーカーによる、企業町となっている。
父親の遺伝によってか、息子も、経営、開発の才能があり、東京大学の、工学部、そして、さらに経営を学ぶため、東京大学の法学部、を、出て、自動車部門を、本格的な、自動車会社にして、1941年に、社長となった。
さらに、1982年、その息子の戸井田章一郎が、社長となった。
戸井田章一郎は、息子に、会社の社長を、安易に継がせることは、考えていなかった。
戸井田章一郎にとっては、子供より、会社の安定継続成長の方が、大事だったのである。
親バカとなって、経営の才能のない息子に、跡を継がせて、会社が潰れたり、経営が悪くなったりするよりも、祖父から、続いた、この日本を代表する、自動車メーカーの方が、大切だったのである。
さて。章一郎には、昭和31年に息子が生まれた。
名前は、秋男と名づけられた。
「あなた。男の子よ。よかったわね」
と、三井銀行の取締役の娘である、妻、専子が、言ったが。章一郎は、
「こいつは、はたして、わが会社の経営者となる能力があるだろうか?」
との目で、オギャー、オギャーと泣く、赤ん坊を見つめた。
秋男は、小学校、中学校、を、地元の愛知県で、すくすくと過ごして成長した。
だが、高校は、慶応義塾高等学校に入学し、大学も、慶応義塾大学の法学部に入った。
自分も、将来は、もしかすると、会社を継ぐことに、なるのかも、しれない、という思いがあった。そのため、大学では、大いに勉強した。特に経営学の勉強を熱心にやった。
だが、体を動かすことも、好きだったので、大学では、ホッケー部に入り、ホッケー男子日本代表にも選出された。
慶応義塾大学の法学部は、首席で卒業した。
あっという間の四年間だった。
この頃から、だんだん、秋男は、将来、自分は、トイタ自動車に入社しようと、考え始めていた。なれることなら社長に、なりたい、とも思うようになった。
そのため、もっと、経営学を学ぼうと、アメリカのマサチューセッツ州ウェルズリー市にある、バブソン大学の経営大学院に進学し、熱心に、経営や起業の、勉強をした。
そして、MBA(経営学修士)を1982年に、取得した。
MBA取得後は、日本に帰ろうかとも、思ったが、もっと、アメリカの社会を知ろうと、アメリカ合衆国の投資銀行(A. G. Becker & Co.)に勤務した。
そして、その二年後に、日本にもどった。
「お父さん。僕を、トイタに入社させてくれませんか?」
と、秋男は言った。
父親は、息子が、そう言い出すのは、大方、予想していた。
「お前を部下に持ちたいと思う人間は今のトイタにはいないぞ。特別扱いはしないぞ。それでも、入社したいか?」
と、聞くと、
「はい。かまいません」
と、秋男は答えた。
「よし。それなら、入社を認めてやる」
と、父親は、息子の入社を認めた。
1984年(昭和59年)、秋男、28歳の時である。
晴れて、入社した後は、一社員として、最初は、現場の生産管理や国内営業などを担当した。
秋男は、販売部門への「カイゼン」活動の横展開などを通じ、販売部門の改革を主導したり、1998年には、自動車関連の情報を総合的に提供するウェブサイト「GAZOO.com」を立ち上げたり、アメリカ合衆国カリフォルニア州の、ゼネラルモーターズとの合弁企業「NUMMI」の副社長を務めたりした。
その、功績、実力が、認められだし、入社後、苦節16年にして、取締役となった。
2000年 (平成12年)章男44歳の時である。
その後は、順調に、出世し、
2002年(平成14年)46歳で、常務取締役となり、
2003年(平成15年)47歳で、専務取締役となり、
2005年(平成17年)49歳で、副社長となり、
2009年(平成21年)53歳で、ついに代表取締役社長となった。
そして、現在。
2017年(平成29年)60歳の、還暦を迎えた。
私生活では、入社後、二年目にして、三井物産副社の娘、裕子と結婚した。
だが、妻は、不幸にも、結婚後、三年後に、交通事故で死亡してしまった。

秋男が社長になって、嬉しいことが、あった。
それは、美しい秘書が、社長室に、いつもいる、ということである。
妻に先立たれて、秋男は、女にさびしかったのである。
しかし、2009年、53歳の時に、社長に就任した時の、社長秘書は、昨年(平成28年)に、出産を理由に、依願退職してしまった。
社長は、残念に思ったが、すぐに、「秘書募集」、の求人を出した。
一人の、25歳の非常にきれいな女が、応募してきた。
名前は、山賀京子、といった。
社長は、すぐに、彼女を採用した。
彼女は、スケジュール調整と管理、電話対応と接遇、経理事務など、ほとんど、完璧といえるほど、仕事を正確にこなした。
社長が、社長室に来ると、彼女は、ニコッと、笑顔で、「おはようございます」と、それだけで、気持ちが良くなるような、挨拶をした。
「やあ。おはよう」
と、社長も挨拶を返した。
それ以外の時間は、彼女は、いつも、一人で、黙々と、デスクワークをしていた。
彼女が居るだけで、社長は、心がドキドキした。
しかし、社長は、彼女は、一体、自分のことを、どう思っているのか、が、気になって仕方がなかった。
彼女は、愛想はいい。
しかし、それは、秘書としての、仕事上の、ビジネスライクの、笑顔なのか、あるいは、多少でも、自分に、男として、好感を持っていてくれている笑顔なのかは、どうしても、わからなかった。
彼女は、仕事中は真面目だが、結構、冗談も言った。仕事が終わると、
「あーあ。今日も疲れちゃったなー」
と、くだけた事も言った。
ある時。
「京子さん。よろしかったら、食事、一緒にしませんか?」
と、社長は、勇気を出して聞いてみた。彼女は、すぐに、
「社長が、おごってくれるんですか?」
と、現金な質問をした。社長は、
「ああ」
と、わざと、不愛想に答えた。
「やったー」
と、彼女は、嬉しそうに言った。
車好きの社長が、プリウスを運転して、二人は、フランス・レストランに入った。
食事の合間、社長は、彼女に聞いた。
「つかぬ事を聞くけれど、君は、彼氏とかは、いないのかね?」
「いないわ」
「どうしてかね?」
社長が聞いた。
「興味ないもん」
秘書の京子は、あっさりと言った。
「もう一つ、つかぬ事を聞くけれど、君は、僕を好きかね?」
「ええ。好きです」
「それは、具体的に、どういう風に・・・?」
「どういう風って、どういう事ですか?」
秘書の京子が聞き返した。
「だから。つまり。たとえば異性として・・・とか・・・」
「好きです」
「本当?」
「ええ。本当です」
「でも。私は、もう60歳だよ。もう、老人だ。それでも、異性として、好意をもってくれているのかね?」
「ええ」
「信じられないな。君の、男性観を聞かせてくれないかね?」
「私は、歳なんて、関心がありません。目的をもって、生きていて、それに、邁進している、人に私は、憧れます。若くても、ナンパにしか、興味のないような男には、私は、興味ありません」
「じゃあ、僕のことは、どのくらい、好いてくれているのかね?」
「ものすごく好きです。私は、社長の秘書になりたくて、秘書募集に応募したんですから」
「では、もし、万一だよ。僕が、君にプロポーズしたら、君は、どうする?」
「喜んで、お受け致します」
「じゃあ、プロポーズするよ。京子さん。僕と結婚して下さい」
「はい。わかりました」
こうして、二人は、結婚することになった。
社長は、20代の女に対し、申し訳ない、とは思ったが。
なにぶん、社長は、有名人である、ために、二人は、婚姻届を、市役所に出しただけで、派手な結婚式は、しなかった。
二人は、ハネムーンに、ハワイに行った。
ワイキキビーチ沿いの高級ホテルに泊まった。
20代の、若妻は、ピチピチギャルという感じで、そのビキニ姿は、超セクシーだった。
一方、自分は、60齢で、どう見ても、夫婦とは、見られていないことは、明らかだった。
(こんな若い、美しい女が自分のような、古希をむかえる老人と、結婚させるのは、彼女にすまない)
と、社長は、罪悪感に苛まれた。
ハワイから帰ってきて。
京子は、それまで住んでいたアパートをひきはらって、社長の家に、移って同居することとなった。
彼女は、愛想がよかった。
「こんにちはー」
と、笑顔で、近隣の住民に挨拶した。
社長が、京子に、結婚後も秘書を続けたいか、どうかを、聞くと、京子は、「続けたいです」、とキッパリと言った。
なので、彼女は、社長秘書兼社長夫人となった。
社長は、出来ることなら、秘書との結婚は、社内では、秘密にしておきたかったのだが、そんなことは、もちろん、無理だった。
社長が、若い秘書と、結婚したことは、すぐに社内中に、知れわたってしまった。
そして、ハイエナのようなマスコミに知られてしまった。
まあ、それは、時間の問題であることは、社長も覚悟していた。
しかし、二人には、一つの大きな問題があった。
それは、夕食を終え、二人で、過ごす夜の夫婦生活である。
夫は、若妻を、愛情を込めて、抱いた。
やさしく胸を揉み、乳首を吸い、指を挿入し、Gスポットを刺激し、髪を撫でた。
女の性感帯を、頭の先から、首、胸、尻、太腿、足の指、まで、徹底的に愛撫した。
女は、性感帯を刺激されると、「ああん」、と、喘ぎ声を出した。
女の乳首は、大きな円柱となって、屹立し、アソコからは、白濁液が、溢れ出た。
利き手の右手の人差し指で、Gスポットを刺激し、中指を、尻の穴に当て、左手で、胸を揉みながら、キスをした。
四点刺激である。
京子は、「ああっ。いくー」、と、大きく叫んで、気をやった。
「ありがとう。あなた」
女は、気をやると、夫に礼を言った。
しかし、セックスとは、男も女も、双方共に、楽しみ、快感を得るものである。
女の性欲は、パッシブで、男のように、年中、発情など、していないが、いざ、セックス・モードに入ると、男、以上に、激しく、性欲が燃えあがるものである。
「私だけ、気持ちよくさせてもらって、わるいわ」
女は、さびしそうな表情で、わびた。
そして、女は、何とか、夫も、喜ばせようと、夫の、マラを扱いたり、口に含んだりした。
しかし、妻の、努力も、虚しく、年齢による、性欲の低下から、夫のマラは、勃起しなかった。
勃起しない以上、射精など、もちろん、無理である。
若妻が、夫の指ではなく、マラを挿入されて、完全に、肉体を、合体させたい、と、思っていることは、妻の様子で、夫にも、十分に、わかった。
しかし、どう努力しても、夫のマラが立たないと、わかると、女は、あきらめた。
「すまない。どうしても、立たないんだ」
優しい夫は、そう、妻に謝った。
「いえ。いいの。あなた」
若妻は、言った。
しかし、その言葉には、やはり、残念さ、が、こもっていた。
そして、二人は、手をつないで眠りについた。
二人の、夜の生活は、そんな風だった。
夫は、何とか、夜の生活で、妻を喜ばしてやりたいと思って、色々と、精一杯、努力した。
バイアグラを購入して、飲んでみたり、どぎついエロ・ビデオを、何作も、見てみたりした。
気に入った、興奮する、どぎついエロ・ビデオを、見ながら、マラを扱くと、少しは、ほんのちょっと、マラが、昔の、若い時のように、勃起する、気配を感じたことも、あった。
しかし、とても、20代の若い時のようには、勃起することは、なかった。
20代の若い時には、一日に、何回でも、オナニーして、射精することが可能だった。
もう、あの頃には、もどれないと、あきらめそうに、なることも、あったが、夫は、あきらめなかった。
何とかして、勃起させようと、努力した。

会社には、技術開発部に、昨年、大学を卒業して、入社した、山野哲也がいた。
彼は、おとなしく、内気な性格だった。
会社の出勤の時間帯や社内で社長に出会った時など、山野哲也は、直立して、「あっ。社長。おはようございます」、と、まるで、殿様に挨拶する、足軽のような、卑屈な態度で、深々と頭を下げた。
「はは。君。そんなに、卑屈にならなくてもいいよ。君は東大を出ているんだから。もっと、自分に自信を持ちなさい」
と、社長は、笑って、言った。

ある時、社長は、都内にある喫茶店ルノアールに入った。
すると、偶然、後ろの席に、山野哲也と妻の京子が、一緒にいた。
二人は、何やら、熱心に話し合っていた。
店内は、やや、うす暗いく、二人は、社長に気づいていない。
社長は、二人に、気づかれないように、そっと、後ろ向きに背を向けて座った。
聞き耳を立てていると、二人の会話が聞こえてきた。
「あの。京子さん。いや。社長夫人。もう、社長に隠れて、会うのは、やめましょう」
と、山野哲也の声がした。
「哲也さん、って、真面目なのね」
と、京子の声がした。
「いえ。社長の奥さまに、社長に内緒で、会っている、などと、万一、知られたら、僕は、クビになってしまいます。それに、こういうことは、すべきではないと、思います」
と、哲也の発言。
「会って、話し、を、するだけでも、哲也さんは、良くないと思っているのですか?」
と、京子の発言。
「ええ。そうです。たまたま、テニススクールのスポットレッスンで、会って、つい、会話が、はずんで、近くの喫茶店に入って、話をしてしまったのが、よくなった、のだと思います。あなたが、少し、お話ししませんか、と、言った時、僕は、キッパリ、断るべきでした」
と、哲也の発言。
「では。会うのは、今日を最期にしましょう。そのかわり、一つ、教えて下さい」
と、京子の発言。
「はい。何でしょうか?」
と、哲也の発言。
「哲也さんは、私に対して、どういう感情を持って、おられるのでしょうか?」
と、京子の発言。
「好きです。初めて、お会いした時から、一目ぼれ、してしまい、ました」
と、哲也の発言。
「そうですか。それは、嬉しいです」
と、京子の発言。
「とにかく、会うのは、今日を最期にしましょう。僕は、社長を尊敬しています。その社長を、裏切る、というか、悲しませる、ことを、僕は、したくないんです」
と、哲也の発言。
「わかりました。では、今日を限りに、会うのは、やめましょう。私が愛するのは、夫だけです。あなたには、異性としての特別な感情は持っていません。私は、哲也さんには、友達という感覚しか持っていません。それなら、不倫ではなく、夫が、仮に知っても、怒らないと思っていたのですが、そこまで言うなら、哲也さんの意志を尊重します」
と、京子が言った。
「あなたは誠実な人だ。最初に、喫茶店で、話した時、僕が、あなたの携帯の、電話番号や、メールアドレスを教えてくれませんか、と、遠慮がちに聞いた時、あなたは、教えてくれなかった。よほど、社長を愛しておられるんだと思いました」
と、哲也の発言。
「それは。確かに、そうかもしれませんが。電話とか、メールとかを、ズルズル、やっていると、だんだん、情に流されていって、けじめが、なくなってしまう可能性がある、と思ったからです」
と、京子が言った。
「あなたは、律儀な人だ」
と、哲也が言った。
「では。もう、ここを出ましょう」
と、京子が言った。
哲也がレジを持って、二人は、立ち上がった。
二人は、レジで、会計をすませ、店を出て行った。

社長は、この、若い二人の会話を、微笑ましく聞いていた。
妻の京子は、テニスが好きで、小田急テニススクールに、時々、行っていた。
ここのテニススクールは、スポットレッスンという制度があって、会員にならなくても、電話して、空きがあれば、90分、3000円で、他の生徒と一緒に、レッスンを受けることが、出来る、ということを、妻の京子から、聞いていた。
山野哲也も、面接採用の時、履歴書から、大学では、テニス部で、テニスが好き、ということを、社長は知っていた。
二人は、偶然、小田急テニススクールで、生徒として、出会ったのだろう。
そして、その後、二人で、近くの、喫茶店に入って、話をしたのだろう。
それ以来、時々、会うようになったのだろう。
社長は、心地よい気分で、店を出た。
妻は、自分を好きだ、と言って、結婚してくれた。
今の、二人の会話で、妻の京子が、「私が愛するのは、夫だけです」、と言ってくれたことが、何より、嬉しかったのである。
社長は、妻の京子が、自分と結婚したのは、玉の輿、に、乗るためではないか、という疑心の意識が、心の中にあったのである。
しかし、今の、京子の言葉は、その疑心を、完全に払拭した。
社長は、妻を、より、愛おしく思った。
それと、同時に、妻の京子も、若い男とも、友達として、つきあいたい、と思っているのだな、ということを知ることが出来た。
社長は、妻の京子が、若い男に対して、どう思っているのか、今まで、わからなかったのである。
しかし、妻の京子も、若い男と、話したい、という欲求を持っていることを、社長は、今の会話で、確かに感じとった。
妻の京子も、まだ、20代なのだから、当然といえば当然である。
若い男に対する、妻の思いは、社長には、正確には、わからなかったが、不倫は、いけないことだと、自分を自制している、のだと、社長は、思った。
社長は、そんなことを思いながら、喫茶店を出た。
家では、妻が、「あなた。お帰りなさい」、と、いつもと変わらぬ愛嬌のある、笑顔で出迎えた。
夫も、何も知らなかったかのように、「ああ。ただいま」、と言った。
その日、妻が、風呂に入っている時に、夫は、妻の携帯を調べてみた。
電話帳には、山野哲也の登録は無かった。
その夜、夫は妻を抱かなかった。
しかし、夜中に、「あん。ああん」、という、妻の、小さな喘ぎ声で、社長は、目を覚ました。
妻は、自分を虚しく慰めていた。
きっと、山野哲也のことを、想像して、自分を慰めているのだろうと、夫は思った。

翌日。
社長は、山野哲也と親しい、経理部の吉岡和夫を呼び出した。
吉岡和夫は、山野哲也と、同じ東大卒で、昨年、同期入社した社員だった。
トントン。
社長室をノックする音が聞こえた。
「はい。お入り下さい」
秘書の京子が言った。
「あー。君は、ちょっと、席をはずしてくれないか」
社長が京子に言った。
「はい。わかりました」
そう言って、秘書の京子は、社長室を出た。
「失礼します」
ドアが、開かれた。
経理部の吉岡和夫が立っていた。
社長の前で、吉岡和夫は、ガチガチだった。
吉岡和夫が緊張するのも無理はない。
なにせ、社長直々の呼び出しである。
「はは。まあ、そう緊張して、固くならないで、座りたまえ。重要な用ではないんだから」
社長は、くだけた口調で言った。
「し、失礼します」
そう言って、吉岡和也は、社長室のフカフカのソファーに座った。
社長は、大理石のテーブルをはさんで、吉岡和也と、向き合って、座った。
社長は、タバコを取り出して、火をつけて、フーと、一服した。
吉岡和也は、社長が、何の用で、自分を呼び出したのか、早くそれを知りたい、といった様子だった。
「吉岡君。君は、東大で山野哲也君と、同学年で、我が社には、同期入社だったね」
社長は、少し身を乗り出して聞いた。
吉岡和也の目を、しっかり見つめながら。
「は、はい。そうです」
吉岡和也は、答えた。
まだ、緊張した様子が残っていた。
「用件は、少し、山野哲也君のことを、少し聞きたい。という、ただ、それだけのことなんだ」
社長は、そう言って、タバコを吹かした。
吉岡和也は、仕事上のことでなく、ほっとしたような顔になった。
「君は、大学時代、彼と親しかったかね?」
社長が聞いた。
「ええ。同じテニス部でしたから」
吉岡和也は、淡々と答えた。
「君たちは合コンとか、したかね?」
社長が聞いた。
「・・・」
吉岡和也は、言うのを躊躇している様子だった。
社長の質問が、いきなり突拍子もないものだったから、無理もない。
「ははは。変なことを聞いてすまない。私だって、大学の時は、他の大学の、女子学生と、よく、合コンをしたものだよ」
社長は、自分が裸になることで、吉岡の胸襟を開かせようとした。
その効果は、あった。
「え、ええ。同じクラブでしたから、結構、僕は彼と一緒に、合コンしました。聖心女子大学とか・・・」
吉岡和也は、少し顔を赤らめて言った。
「それで、彼は、彼女とか、できたかね?」
社長は聞いた。
「・・・」
吉岡和也は、言うのを躊躇した様子だった。
社長の質問が、いきなり突拍子もないものだったから、無理もない。
「ははは。変なことを聞いてすまない。私だって、合コンをした時は、必ず、好きな子を見つけて、一緒に喫茶店に入って、少し、話した後、ラブホテルで、セックスまでしたものだよ」
社長は、自分が裸になることで、吉岡の胸襟を開かせようとした。
その効果は、あった。
「え、ええ。彼は、かなり、合コンでは、積極的でした」
吉岡和也は、あまり、ためらわずに、率直に言った。
自分のことを、聞かれているのでなく、山野のことを聞かれているのであるから、吉岡としては、答えるのに、恥ずかしがる必要は、あまりない。
「じゃあ、彼は、女好きなんだね?」
社長が聞いた。
「え、ええ。まあ、そうだと思います」
吉岡和也は、あまり、ためらわずに、率直に言った。
しかし、社長の質問は、あまりにも単刀直入すぎた。
「よかったら、彼の、メールアドレスを教えてくれないかね?」
社長が聞いた。
吉岡和也は、ちょっと、躊躇した顔をした。
無理もない。
社長と新入社員と、いえども、これは、個人情報を勝手に知らせることである。
それで、社長は、帰先を制した。
「ははは。ダメなら、いいよ。しかし。別に、悪いことに使うわけじゃないんだがね・・・」
社長は、笑いながら言った。
「は、はい。わかりました」
そう言って、吉岡和也は、携帯電話を取り出して、社長に渡した。
吉岡も、社長が悪いことをする人間には、見えなかったのだろう。
それに、もし、万一、山野にメールで、何か問題が起ったら、自分が、その証人にもなれる、とも、思ったのかもしれない。
社長は、山野哲也の携帯の、電話番号とメールアドレスをメモした。
「ありがとう」
そう言って、社長は、携帯電話を、吉岡に返した。
「すまないが、このことは、山野君には、内緒にしてもらえないかね。ある事情があってね。決して悪いことになんか、使ったりしないよ。むしろ、山野君のためになるように、使う必要が、起っただけさ」
社長が言った。
「ええ。わかりました」
吉岡和也は、答えた。
「ありがとう。用というのは、それだけなんだ。もう、職場にもどってくれ」
社長が言った。
「はい。わかりました」
吉岡和也は、キツネにつつまれたように、何が何だか、わからない、といった顔つきで、社長室を出た。
こうして、社長は、山野哲也の携帯電話のアドレスを知ることが出来た。
というか、社長が、吉岡を呼び出したのは、山野哲也の携帯電話のアドレスを知るのが目的だったのである。

社長は家に帰った。
「あなた。お帰りなさい」
と、妻がむかえた。
「ああ。ただいま」
と、社長は、素っ気なく言った。
その日の夕食の時。
「京子」
「なあに。あなた?」
「君は、まだ、25だ。若い男とも、つき合いたいだろう?」
「あなた。いきなり、どうして、そんなことを、聞くの?」
「いや。君の若い、性欲を満足させてやれなくて、僕は、申し訳なく思っているんだ。女は、25くらいの年齢が、一番、性欲が活発になる時期だ。君が、性欲を求めて、僕以外の、若い男と、多少、つき合っても、僕は、何にも、言わないからね。そのことを、よく、理解しておいて、欲しい」
社長が言った。
「あなた。どうして、突然、そんな事を言うの?」
妻が聞いた。
「いや。ともかく、僕は、君が、若い男と、つき合っても、別に、何も言わない、ということを、一度、君に、念を押しておきたかったんだ」
社長が言った。
妻は答えなかった。
しかし、京子は、夫が、自分のことを、心配してくれているのが、理由はわからないが嬉しかった。
その夜。
「ねえ。あなた。私を抱いて」
と、若妻は、体を夫に寄せてきた。
しかし、夫は、「すまん。ちょっと。今日は。疲れているんだ」、と言って、妻を抱こうとは、しなかった。

数日後。
社長は、自分のスマートフォンで、山野哲也に、妻の京子になりすまして、こんなメールを送った。
「山野さん。私。やはり気がかわって、しまいました。あなたの、メールアドレスを、あなたの知人から、聞いて教えてもらいました。携帯の番号は、教えません。それは、電話での、遣り取りをするようになると、私の自制心が、折れてしまって、あなたと、不倫してしまいそうになる誘惑心が、起こりそうな気がするからです。でも、メールだけなら、いいのでは、ないか、と、思うように、気持ちが、変わってしまったのです。私の、昔の写真を添付します。よろしかったら、ご覧ください。京子」
メールには、「京子」、と、書いたフォルダに、京子の写真を、たくさん、入れて、そのフォルダを添付して送った。
社長は、妻の京子が、いない間に、京子の部屋に入って、京子のパソコンを、こっそり見たのである。
すると、京子の、幼い時から、大学時代までの、写真が、デスクトップのフォルダに、たくさん、あったので、それを、添付したのである。
それらは、京子の、大学の卒業式の、着物姿とか、友達と、ハワイへ行った時の、浜辺での、ビキニ姿だの、テニス友達とのテニスウェア姿、などだった。
しばらくすると、社長の携帯電話のメールの受信音が、ピッ、と鳴った。
社長は、すぐに、携帯を開けてみた。
山野哲也からの、返信メールだった。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。メール有難うございました。嬉しいです。僕も、もっともらしい、ことを言って、強がっていましたが、本心では、京子さん、と、つきあえなくなることを、すごく寂しく思っていました。僕は、京子さんが好きです。すごく好きです。でも、愛している、とは、言いません。それは、京子さん、の、御主人に悪いからです。添付の、写真。有難うございます。すごく、素敵ですね。僕の宝物にします。山野哲也」
予想通りの返事が返ってきて、社長は、嬉しくなった。
社長は、山野哲也に、妻の京子になりすまして、また、すぐに、こんなメールを送った。
「ありがとう。哲也君。また。これからは、メール友達となりましょう。何か、私に、して欲しいことがあったら、言って下さい。京子」
そう書いて、社長は、哲也に、メールを送った。
社長は、哲也からの、返信メールを心待ちにした。
しばらくすると、携帯電話のメールの受信音が、ピッ、と鳴った。
社長は、すぐに、メールを開けてみた。
山野哲也からの、返信メールだった。
それには、こう書かれてあった。
「ありがとう。京子さん。あえて、欲しい物と言ったら。そうですね。京子さんの、手作りの、お菓子を食べたいです。山野哲也」
それに対して、社長は、返信メールを出さなかった。
妻の京子が、お菓子を作れるのか、どうか、わからなかった、からである。
その日の夕食の時。
「京子。君は、お菓子は、作れるかね?」
社長が聞いた。
「ええ。作れるわ。どうして?」
妻の京子が聞き返した。
「そうかい。クッキーは、作れるかね?」
社長が聞いた。
「ええ。作れるわ」
京子が言った。
「じゃあ、ぜひ、クッキーを作ってくれないかね。君の作った、クッキーをぜひ、食べてみたいんだ」
社長が言った。
「わかったわ。あなたが、そう言うのなら、作るわ。言わなかったけれど、私。お菓子、作り、好きなんです」
と、京子が言った。

翌日。
妻の京子は、クッキーの材料を買ってきて、クッキーを、作った。
「あなた。出来ましたよ」
クッキーが、出来上がると、妻は、書斎にいる、夫を呼んだ。
夫が、食卓にやって来た。
食事には、たくさんの、クッキーが、置いてあった。
「ほう。すごいじゃないか」
そう言って、夫は、食卓についた。
「さあ。どうぞ。お召し上がれ」
と、妻の京子が言った。
言われて、夫は、妻の作った、クッキーを、食べてみた。
「お味は、どうですか?」
妻が聞いた。
コンビニや、スーパーの、クッキーと、違った、手作りの、美味しさ、が、あった。
「うん。美味い」
夫は、クッキーを、食べながら、言った。
「そう言って、もらえると、嬉しいわ」
妻の京子は、嬉しそうに、ニコッと笑った。
「じゃあ。これは。おやつ、として、私の書斎に、置いておくよ。腹が減ったら、食べるために」
夫は、そう言って、妻が、作った、クッキーを、たくさん、書斎に、持って、もどった。
そして、クッキーを缶に入れた。
そして、ワープロで、
「哲也さんが、私の作った、お菓子を食べたい、と言ったので。クッキーを、作りました。送りますので、よろしかったら、食べて下さい。美味しいか、どうかは、わかりませんが。京子」
と、書いた。
そして、ワープロで、山野哲也の住所を書いて、それを、プリントして、その紙を、小包に貼った。
そして車で、郵便局に行って、速達で、哲也に、小包を送った。

その翌日。
哲也から、メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さま。クッキーを、送って下さり、有難うございました。京子さんの、手作りの、クッキーは天国の美味です。食べてしまうと、無くなってしまうのが、非常に残念です。それと、たいへん、あつかましいですが、出来れば、昔の京子さん、の写真ではなく、今の京子さん、の、写真とか、動画とか、が欲しいなー、と思ったりしてしまいます。これは、僕の勝手な思いなので、無理ならいいです。山野哲也」
それに対して、社長は、妻の京子になりすまして、返信メールを出した。
「哲也さん。有難うございます。気に入ってくださって。動画の件、わかりました。近く送ります。京子」
そう書いて、社長は、哲也にメールを送った。

翌日。
社長は、ネットで調べて、家電店に行った。
そして、小型隠しカメラを買った。
そして社長は、隠しカメラを、京子の部屋の、等身大の、姿見のカガミの上にあった、ルノワールの、絵画の中に、妻の京子に、わからないように設置した。
隠しカメラは、24時間、作動することが可能だった。
録画、録音された、動画は、パソコンに、つなげて、パソコンに取り込むことが、出来た。
そして、社長は、ついでに、アクアドレスのセクシーなビキニ、と、ワンピースの水着と、網タイツ、と、バイブレーターを、買った。
そして、それらを、京子の部屋に置いておいた。
その日の夕食の時。
「あなた。イヤだわ。今日、部屋に、ビキニや、網タイツや、バイブレーターが、あったわ。あなたが、買ってきて、置いておいたのね。何で、あんな物を、買ってきたの?」
妻は、顔を真っ赤にして言った。
「ふふふ。まあ、いいじゃないか。君も、ああいう物に、興味あるだろう」
夫は、笑って誤魔化した。
「イヤな事言わないで。私。興味ないわ。あんな物」
と、妻は、キッパリ言った。
自分は、そんな、淫らな女ではない、と、妻は、主張したがっている様子だった。

翌日となった。
土曜日だった。
「今日は、友達と、ゴルフだ。大学時代の同期の友人だ。ゴルフの後、酒を飲むから、帰りは、遅くなって、多分、夜の9時以後になると、思う」
社長は、そう言って、ゴルフバッグを持って、玄関に降りて来た。
「行ってらっしゃい。あなた」
妻は、玄関まで来て、笑顔で、夫を見送った。
その日、社長と社長の友人の二人は、川奈ゴルフ場で、ゴルフを楽しんだ。
ワンホール終わった後、二人は、小休止して、昼食を食べた。
「ドナルド・トランプがアメリカの大統領になって、保護主義になったが、君の会社は、大丈夫かね?」
社長の友人が聞いた。
「安部首相が、トランプに、飼い犬のように、ヘコヘコ頭をさげてくれたおかげで、尖閣諸島まで、アメリカが守ってくれる、と、約束してくれたからね。それに安部首相は、イギリス、フランスなどの、ヨーロッパの主要国と違って、移民排斥、などの問題で、露骨に、アメリカを非難してないからね。助かるよ。日本は、経済でも、アメリカの現地生産で、アメリカ人に、雇用を生み出しているからね。ちゃんと、説明すれば、トランプ大統領も納得してくれるさ。それに、日本車の市場は、何も、アメリカだけじゃないし。性能の良い日本製品の市場は全世界さ。何とかなるさ。ともかく、トランプ大統領に日本が気に入られたことが、何より、有難いよ。矢継ぎ早に出している大統領令だって、司法で否決されているからね。何とかなるさ」
社長が答えた。
「そうか。ところで。君は、秘書として、採用した、20代の、女性と結婚そうだが・・・。夜の生活は、上手くいっているのかい?もう、君の歳じゃ、立たないだろう」
社長の友人が聞いた。
「ああ。確かに、歳で立たなくってね。妻を満足させてやることは、出来なくて困っているんだ。しかし、そっちの方も、何とか手を打っているからね」
社長が思わせ振りに言った。
「どんな手を打っているんだい?」
社長の友人が聞いた。
「まあ、それは、ちょっと、秘密さ」
社長は、思わせ振りに、ふふふ、と、笑った。
二人は、その後も、ゴルフを楽しんだ。
そして、ゴルフの後は、高級和食店で、懐石料理を食べた。
その時も、色々と、話が、はずんだ。
そして、社長は、夜9時に、家に着いた。
「あなた。おかえりなさい」
と、妻が出迎えた。
「ああ。ただいま。今日は、何かあったかね?」
と、夫は聞いた。
「いいえ。特に。何も・・・」
と、妻は答えた。
しかし、夫は、妻の仕草に、ソワソワしている、僅かな動揺を見逃さなかった。
「何か食べますか?」
と、妻が聞いたので、夫は、
「君は、夕ご飯は、もう食べたのかね?」
と、妻に聞いた。
「ええ。あなたが、帰るのを待っていました。が、帰りが、遅いので、食べました。今日は、あなたに言われたように、ステーキにしました。あなたの分は、まだ、焼いていません」
と、妻は答えた。
「じゃあ、それを、作ってくれ」
と、社長は言った。
「はい。わかりました」
と、妻は答えた。
「私は、ちょっと、用事があって、仕事をしなくちゃならない。すまないが、食事が出来たら、私の分は、書斎に持ってきてくれ」
と、社長は言った。
「はい。わかりました」
と、妻は言った。
妻がキッチンに入ると、社長は、急いで、二階の、京子の部屋へ行った。
そして、隠しカメラを、取り外した。
そして、それを、自分の書斎に持っていった。
そして、隠しカメラを、パソコンに、つないで、再生した。
結果は、社長の予想通りだった。
社長が、家を出てから、30分も経たないで、妻の京子は、自分の部屋に入った。
そして、しばし、夫の買ってきたビキニや、網タイツなど、を見ていたが、やがて、服を脱いで、全裸になって、ビキニを着だした。
そして、カガミの前に立って、さかんに、色々と、セクシーなポーズを、とって、その姿を、眺め出した。
グラビアアイドルが、とるポーズのように。
バタイユ哲学を持ち出すまでもなく。
「人間は“禁止”をみずからに課している」
「不安のなかで、禁止されているからこそ燃える」
のである。
と、社長は、確信していた。
その時。
トントン。
部屋の戸がノックされた。
「あなたー。お食事が出来ました。持ってきました」
と、妻の声が聞こえた。
夫は、部屋のドアを開けた。
妻が、アツアツのステーキと、ご飯と、味噌汁と、おかず、の、野菜を、盆に載せて立っていた。
「やあ。ありがとう。ちょっと、急いで、今日中にしなくちゃならない、仕事ができてね。私は、仕事しながら、食べるよ」
と、夫は言った。
「はい。わかりました」
と、妻は、言って、夫に、食事を、渡すと、階下に降りて行った。
社長は、隠しカメラの続きを再生した。
妻の京子は、ビキニ姿を、十分、見ると、ビキニを脱いで、全裸になった。
そして、次は、夫が、買ってきた、ハート型のニプレスを、両乳首と、アソコに、つけて、しげしげ、と、その自分の、姿を見た。
妻は、ハアハアと、息を荒くするようになった。
裸同然であり、否、裸、以上にエロチックだった。
だんだん、妻の性欲が高まっていった。
妻は、ニプレスを、外した。
妻の京子は、床に座って、リモコン式バイブレーターを手にとり、リモコンを手にとって、スイッチを入れた。
すると、男のマラの形をした、バイブレーターが、あたかも、生きている蛇のように、ウネウネと、気味悪く、動き出した。
京子は、それを、腰にとりつけた。
そして、リモコンのスイッチを入れた。
京子の、呼吸が、ハアハアと、だんだん、荒くなっていった。
眉根を、寄せて、苦しげな表情になった。
妻は、片手で、自分の胸を揉んだ。
片手で、自分の胸を揉みながら、バイブレーターの、動きを、「振動」、に切り替えた。
「ああー。いくー」
ついに、妻は、大きな声で、絶叫した。
そして、その後は、しばし、虚脱した状態で、グッタリ、床に伏していた。
それは、社長の予想通りだった。
女が、一人で、居れば、ああいう物を、置いておけば、どうしても、それを、着たり、使ってみたくなるのは、当然だと、社長は、確信していた。
しかも、妻の京子は、若く、きれいで、しかも、性欲に飢える年頃で、性欲が満たされていない、のだから無理はない。
翌日。
夫は、妻が、ビキニを着て、カガミの前で、ポーズをとる所。ニプレスをつけている所。バイブレーターで、オナニーしている所などを、パソコンの動画に、入れた。
そして、妻の京子になりすまして、哲也に、メールを送った。
「哲也さん。動画の件ですが。私の、ビキニ姿、と、ニプレスだけの姿と、バイブレーターを使って、オナニーしている、動画を、撮りましたので、添付して、送ります。ちょっと、恥ずかしいです。京子」
社長は、そう書いて、哲也に、メールを送った。
その日の夜、哲也から、返信メールが来た。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。動画を、送って下さって有難うございました。すごく、セクシーで、興奮して、何回も見て、何回も、オナニーしてしまい、眠れませんでした。どうも有難うございました。これは、僕の一生の宝物とします。山野哲也」

それから数日後のある日。
その日は金曜日で、翌日は、会社は休みだった。
その日の夕食の時。
「明日。友人と、川奈ゴルフ場、に行って、土曜は、ホテルに泊まって、日曜に帰る予定だ」
と、社長が言った。
「はい。わかりました。気をつけて」
と、妻は言った。
「君も、若いんだから、少しくらい、若い男と、遊んでもいいよ。僕は怒らないから。ははは」
と、社長は、笑って言った。
「イヤだわ。あなた。変なこと、言わないで」
と、妻は言った。
そして、その夜、社長は、また、妻の京子になりすまして、哲也に、メールを送った。
「哲也さん。私も、メールだけでは、我慢できなくなってしまいました。明日の土曜、主人は、友人と、川奈ゴルフ場、に行って、土曜は、ホテルに泊まって、日曜に帰る予定です。よろしかったら、土曜日に、お出で下さいませんか。主人が出かけたら、すぐに、メールで知らせます。京子」
社長は、そう書いて、哲也に、メールを送った。
すぐに、哲也から返信メールが、返ってきた。
それには、こう書かれてあった。
「はい。わかりました。行きます。山野哲也」

土曜になった。
「じゃあ。川奈ゴルフ場に行ってくる。今日は、川奈ホテルに泊まる。帰りは、明日の夕方になるだろう」
と、夫が言った。
「はい。わかりました。行ってらっしゃい。あなた」
と、妻は、微笑んで、手を振って、夫を見送った。
夫は、すぐに、妻の京子になりすまして、哲也に、メールを送った。
「哲也さん。主人が、今、でかけました。どうぞ、いらして下さい。京子」
社長は、そう書いて、哲也に、メールを送った。
すぐに、哲也から返信メールが、返ってきた。
それには、こう書かれてあった。
「はい。わかりました。これから、すぐに行きます。山野哲也」
しばしして。
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
「はい。どちら様でしょうか?」
インターホンから、京子の声が聞こえてきた。
「あ、あの。山野哲也です」
哲也は、照れくさそうに、インターホンに、向かって、話した。
「ああ。山野哲也さんですね。いらっしゃいませ」
その返事と共に、玄関が開き、京子が、姿を現した。
「あっ。こんにちは。京子さん」
京子は、何の用で、夫の会社の、社員が、やって来たのか、分からず、首を傾げた。
「京子さん」、という、言い方にも、違和感を感じた。
京子は、彼は、夫に何か、仕事上の用があって、来たものだと、思って、哲也を家に入れた。
「どうぞ。お座り下さい」
京子に言われて、哲也は、居間のソファーに座った。
京子は、キッチンに行って、お茶を持ってきた。
そして。
「どうぞ」
と、言って、茶を哲也に、差し出した。
「あ。有難うございます」
哲也は、礼儀正しく、お辞儀した。
そして、茶を、一口、飲んだ。
京子も、テーブルをはさんで、ソファーに座った。
しばし、の、沈黙があった。
「あ。あの。夫は、今日、川奈ゴルフ場に行きました。明日の夕方まで、帰ってきません」
哲也が何も言わないので、京子は、バツが悪くなって、そう言った。
「ええ。知っています」
哲也が言った。
京子は、ますます、わけが、わからなくなった。
「いやー。京子さん。美しいですね」
哲也が、京子を、まじまじと、見た。
京子は、唐突に、唐突なことを、哲也に言われて、とまどった。
何と言っていいか、わからなかった。
哲也は、そっと、京子の隣りに、移動した。
哲也の体が、京子の体に触れた。
哲也は、京子の、ふっくらした、胸を、そっと触った。
「あっ。何をなさるのですか?」
京子は、驚いて言った。
「奥さん。いや。京子さん。好きです」
哲也は、そう言って、京子に抱きついた。
京子は、哲也の、大胆な行動に驚いた。
「あっ。哲也さん。いけません。そんなこと」
京子は、哲也の手をほどこうとした。
「いいじゃないですか。奥さん。とぼけているんですね。あるいは、わざと焦らすことで、僕の性欲をかきたてているんですね」
哲也は、ハアハアと、息を荒くしながら、京子の、ムッチリした、胸や尻を、服の上から触った。
「ああっ。哲也さん。いけないわ。そんなこと」
そう言いながらも、京子は、哲也の手を、キッパリと、止めることは出来なかった。
夫が、「不倫をしてもいい」、と、言ったことが、意識されてきたからである。
哲也は、ハアハア、息を荒くしながら、京子の、ムッチリした、胸や尻を、服の上から触った。
「僕の、息子を触って下さい。もう、爆発しそうなんです」
そう言って、哲也は、京子の手をつかんで、自分の股間に触れさせた。
哲也の、股間は、激しく怒張していた。
京子は、久しぶりに触る、硬い、男のマラ、から、手を退けることが出来なかった。
あまりにも積極的な、哲也の、アプローチを、断ることが、出来なかった。
断ることが、失礼とも感じ、また、飢えた女の性欲を抑えることが出来なかった。
京子は、哲也のマラを、知らず知らずのうちに、ゆっくりと、扱いていた。
「さあ。京子さん。寝室に行きましょう」
と、哲也が言った。
京子は、それを、断ることが出来ずに、ヨロヨロとした酩酊した足取りで、立ち上がった。
「寝室は二階ですね」
そう言って、哲也は、京子の手を引いて、二階に上がった。
そして、哲也は、京子を、寝室に入れた。
哲也は、京子を、ベッドの縁に、腰掛けさせた。
京子の、長い、美しい流線型の、下腿が、二本、行儀よく並んでいる。
足首は、キュッと、引き締まって、見事である。
哲也は、京子の、行儀よく並んでいる、下腿の前に、跪いた。
そして、京子の、足から、スリッパを、とり去った。
京子の、赤いペディキュアが、ほどこされた爪の、形の良い、足の甲が、顕わになった。
「ああっ。京子さん。素敵な足だ」
哲也は、そう言って、京子の足を手にとって、自分の頬に、押し当てた。
「あっ。哲也さん。そんな所、汚いわ」
京子が、赤面して言った。
「汚いものですか」
そう言って、哲也は、京子の足の感触を楽しむように、京子の足の裏を、顔に、押しつけた。
そして、十分に、それを、堪能すると、爪に赤いペディキュアが、ほどこされた、足指を、一本、一本、開いて、口に含み、指の付け根まで、丁寧に舐めていった。
「あっ。哲也さん。そんな所、汚いわ」
京子が、赤面して言った。
「汚いものですか」
そう言って、哲也は、京子の、足指を、一本、一本、丁寧に舐めていった。
哲也が、京子の、足指から、口を離しても、粘っこい、唾液が、蜘蛛の糸のように、哲也の口と、京子の、足指を、たわみを作って、つなげていた。
哲也の目の前には、スカートの裾から出て見える、京子の、形のいい太腿がある。
哲也は、我慢しきれなくなって、飢えた野獣のように、
「ああっ。京子さん。好きだ」
と叫んで、京子の太腿に抱きつき、さかんに京子の太腿に頬ずりした。
しばし、哲也は、京子の太腿の感触を堪能した。
そして、顔を離した。
「京子さん。すみませんが、立って下さい」
哲也が言った。
「はい」
京子は、哲也に言われたように、素直に立った。
「では。服を脱がします・・・」
哲也は、そう言って、京子の、ブラウスのボタンを外し、ブラウスを取り去った。
そして、スカートの、ホックを外した。
パサリと、スカートが床に落ちた。
京子は、白い、ブラジャーと、パンティーだけの姿になった。
「う、美しい」
哲也は、京子の、下着姿をまじまじと眺めた。
華奢な肩。きつく、つかむと、折れてしまいそうなほどに見える、ほっそりした腕。括れたウェスト。
たわわに実った、二つの果実を、収めて、はちきれんばかりに膨らんでいる白いブラジャー。
腹の中心には、雨垂れで穿たれたかのように、かわいらしく窪んだヘソ。
女の、恥肉を、ピッチリと納めて、形よく、膨らんでいるパンティー。
そこから、華奢な腕とは、対照的に、ニュッと出ている太い、二つの太腿。
それは、実に美しい、女の体の曲線美だった。
「う、美しい」
哲也は、しばし、ゴクリと唾を飲み込んで、京子の、下着だけの体を眺めた。
「は、恥ずかしいわ」
京子は、哲也に、下着姿を、まじまじと見つめられて、顔を赤らめた。
「ああっ。好きだ。京子さん」
哲也は、鑑賞だけでは、我慢できなくなって、しゃがみこんで、京子の、太腿に、しがみついた。
京子は、二本の太腿を、取り押さえられて、動くことが出来なくなった。
「あっ。哲也さん。そんなこと。恥ずかしいわ」
京子は、顔を赤らめて言った。
無理もない。
哲也は、京子の太腿を、二本、束ねて、ヒシッ、と、つかんでいるのである。
哲也は、飢えた野獣のように、京子の、太腿のあちこちを、貪るように、チュッ、チュッ、と、キスしていった。
ハアハアと、息を荒くしながら。
哲也は、京子の、太腿を愛撫すると、同時に、後ろに回した手で、京子の、ムッチリとした弾力のある、大きな尻を、パンティーの上から、触りまくった。
「ああー。素晴らしい。幸せだ」
哲也は、歓喜の雄叫びを上げた。
哲也は、京子の、太腿を貪りつくすと、顔の位置を、ゆっくり、上げていった。
太腿の、付け根には、女の恥肉を、収めて、形のいい、盛り上がり、を、作っている、パンティーがある。
哲也は、京子の、パンティーの、形よく盛り上がった、部分に、鼻先を、つけて、クンクンと、匂いを嗅いだ。
「ああっ。恥ずかしいわ。哲也さん」
京子は、顔を真っ赤にして言った。
弾力のある、丈夫な、パンティーの、おかげて、女の、一番、恥ずかしい所は、隠されて、見えない。
しかし、1mmも、ない、パンティーの、布一枚、隔てた、その、すぐ裏には、女の性器が、厳然として、あるのである。
女の性器の、匂いは、もろに、伝わってきた。
「ああっ。いい匂いだ」
哲也は、酩酊したような口調で言った。
「ああっ。恥ずかしいわ。哲也さん」
京子は、顔を真っ赤にして言った。
十分、京子の、パンティーに、鼻先を当てて、匂いを嗅ぐ、心地よさを堪能すると、哲也は、鼻先を、パンティーから離した。
そして、立ち上がった。
そして、京子の華奢な体を、支えながら、そっと、京子の体を抱き上げて、ベッドの上に、横たえた。
そして、哲也も、京子の、体の上に乗って、京子の体に抱きついた。
これで、ようやく、男が女を抱く、普通の形になった。
哲也は、京子の、ブラジャーのホックを外した。
プルンと、大きな二つの、乳房が、哲也の目の前に、弾け出た。
哲也は、自分も、服を脱いで、全裸になった。
哲也の、マラは、天狗の鼻のように、激しく、そそり立っていた。
そして、京子の、乳房を、ハアハア息を荒くさせながら、激しく、揉んだ。
そして、乳首を、つまんで、コリコリさせたり、口に含んだりした。
「ああー」
京子も、興奮してきて、眉を寄せて、苦しそうな表情で、喘ぎ声を出した。
哲也は、京子の首筋や、口に、キスした。
「ああっ。好きだ。京子さん」
と、言いながら。
しばしして、哲也は、京子の、パンティーを、降ろしていって脱がした。
これで、京子は、覆う物、何一つない全裸になった。
哲也は、そっと、京子の、女の割れ目の中に中指を入れた。
そこは、温かく、ヌルヌルしていた。
哲也は、京子の、片手をとって、自分の、勃起した、マラを握らせた。
そして。
「さあ。京子さん。一緒に、扱きあいましょう」
と言った。
哲也は、京子の、女の穴に入れた、中指を、ゆっくり動かし出した。
京子は、眉を寄せて、苦しそうな表情で、
「ああー」
と、喘いだ。
そして、京子も哲也のマラを、扱き出した。
哲也のマラは、天狗の鼻のように、激しく、怒張していた。
哲也は、「うっ」、と、顔をしかめた。
だんだん、クチャクチャと、京子の、女の穴が、音をたて始めた。
そして、割れ目から、白濁した、液体が、あとから、あとから、溢れ出てきた。
哲也のマラも、クチャクチャ、音をたて始めた。
「きょ、京子さん。おちんちん、を、挿入しても、いいですか?」
哲也が聞いた。
「は、はい」
京子は、小さな声で、答えた。
「有難うございます。もう、我慢できません」
哲也は、そう言うと、京子の、女の穴に入れていた、中指を抜いた。
哲也の中指には、ベッタリと、京子の愛液が、ついていた。
哲也は、それを、ティッシュペーパー、で、ふいた。
そして、中指の、代わりに、怒張したマラを、京子の、女の穴に、挿入した。
そして、ゆっくりと、腰を動かし出した。
「京子さん。一緒にいきましょう」
「はい」
哲也は、腰の前後運動を、京子の、様子を、うかがいながら、だんだん、速くしていった。
京子の、女の割れ目から、白濁した、液体が、あとから、あとから、溢れ出てきた。
「ああー。哲也さん。いくー」
京子は、眉を寄せて、苦しげな表情で言った。
「ぼ、僕も出そうです」
哲也も、苦しげな表情で、そう言った。
そして、いっそう、腰の前後運動を速めた。
「ああー。いくー」
京子が叫んだ。
「ああー。出るー」
哲也が叫んだ。
哲也は、急いで、マラを、京子の股間から引き抜いた。
そして、急いで、京子の体の上に、またがった。
ピュッ、ピュッ、と、激しく大量の、白濁した精液が、京子の胸のあたりに放出された。
哲也は、急いで、ティッシュペーパーで、京子の胸の上に、放出された精液をふいた。
そして、哲也は、射精の後の、虚無感から、京子の横に、仰向けになって、京子と手をつないだ。
「ありがとう。京子さん」
哲也は、優しく京子に言った。
「私の方こそ、有難うございました。哲也さん」
京子が言った。
「どうして、私の体内に、出さなかったのですか?」
京子が聞いた。
「だって、社長に、対して、悪いからです。ただでさえ、不倫なのに。これは、社長に対する、裏切りです」
哲也が言った。
(では、どうして、哲也は、突然、家に、やって来て、いきなり、あれほど、積極的な行動に出たのだろう?)
と、京子は、疑問に思った。
それに、今日、夫は、泊まりがけの、ゴルフで、安全である、ということも、どうして、分かっているのか、それも京子には疑問だった。
京子としては、夫に対して、不倫したことに、それほど、大きな罪悪感は、感じていなかった。
夫が、歳で、立たないので、若い男との、性交を、してもいい、というような、自分を、可哀想に思って、くれた発言をしていた、からである。
その時、ピピピッ、と、京子の携帯が鳴った。
京子は、身を起こして、手を伸ばして、サイドテーブルの上に置いてある、携帯電話をとった。
夫からだった。
「もしもし。京子か?」
夫が言った。
「はい。あなた。どうしたのですか?」
京子が聞き返した。
「ちょっと、知人に急用が出来てしまってな。ゴルフは、中止になってしまったんだ。だから、泊まりがけの、ゴルフは、中止だ。これから、家にもどる」
と、夫が言った。
「何分くらいで、もどって来られますか?」
京子が聞いた。
「そうだな。まだ、電車にも、乗っていないから、20分、くらいで、家にもどるだろう。それが、どうした?」
夫が聞いた。
「い。いえ。別に」
と、妻は、曖昧な返事をした。
京子は、焦って、裸の哲也を見た。
「哲也さん。今日、主人は、友人と、泊まりがけの、ゴルフに行ったんです。でも、今。主人から、電話があって。その、友人に、何か急用ができたらしいんです。なので、ゴルフは、とりやめになって、主人は、もどってきます。20分くらいで、もどってくる、と言っていました。もっと、早く、来るかもしれません。ですから、早く、服を着て、帰って下さい。主人と、鉢合わせになると、やっかいですから。裏口から」
と、京子が言った。
「そうですか。わかりました」
と、哲也は言って、急いで、下着を履き、服を着た。
京子も、同様に、急いで、下着を履き、服を着た。
「さあ。哲也さん。裏口から出て行って下さい。主人と、顔を合わせると、よくないですから」
二人が、服を着ると、京子は、哲也を急かすように言った。
「京子さん。今日は、有難うございました」
哲也は、そう言って、家の裏口から、急いで、出て行った。
京子は、ソワソワと、夫の帰りを待った。
悪いことをした、という気持ちは、あった。
しかし、なぜ、哲也が、今日、家にやって来て、堂々と、あんなことを、したのかは、わからなかった。
わからないことずくめ、だった。
それで、気が動転していた。
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
「おーい。京子。帰ったぞ」
イヤホンから、夫の声が聞こえた。
「はーい」
京子は、高まっている緊張感を、必死で押さえながら、玄関に向かった。
京子は、感情の動揺を、すぐには、切り替えられない、神経質な性格だった。
今までも、子供の頃は親に、学校に行くようになってからは、友達に、心の中に、不安や心配があると、「京子。どうしたの。何かあったの?」、と、聞かれてきて、自分の、神経質な性格は、知っていた。
京子は、不安を必死で、なだめようとしながら、玄関の戸を開けた。
夫が立っていた。
「あなた。お帰りなさい」
「ああ」
夫は、黙って、家に上がり、居間のソファーに腰を降ろした。
「友人に急用が出来てしまってね。ゴルフはとりやめだ」
夫が言った。
「そうですか。それは、残念でしたね」
妻が言った。
「留守中に誰か、来なかったかね?」
夫が聞いた。
「い、いいえ。誰も・・・」
妻は、そう答えたが、少し声が震えていた。
「ところで。ちょっと、寝室に来てくれないか?」
夫が言った。
「はい」
妻が答えた。
二人は、二階の、寝室に入った。
寝室に入ると、夫は、いきなり妻を背後から抱きしめた。
そして、ブラウスのボタンを外していった。
「あっ。あなた。どうしたの。こんな昼間から?」
妻は、驚いて、夫に聞いた。
無理もない。
夫は、夜、妻と、二人で、ベッドに入っても、妻を抱かない日が、毎日なのだから。
夫の気の変わりようの、理由が、京子には、わからなかった。
「ふふふ。まあ。いいじゃないか。理由なんて。夫婦が抱き合うのは、当たり前のことじゃないか」
夫は、そう言って、妻の、ブラウスを、とり去った。
豊満な、乳房を、収めている、白いブラジャーが、顕わになった。
そして夫は、スカートのホックを外した。
スカートが、パサリと、床に落ちた。
妻は、白い、ブラジャーと、パンティー、だけの、下着姿になった。
夫は、妻のパンティーの中に、手を入れた。
「あっ」
と、妻の京子は、声を出した。
「ほう。濡れているじゃないか。オレが出かけている間に、オナニーしていたのか?」
夫の態度が、急に、若い、乱暴な男のように、変わっていた。
妻は、その理由が、わからなくて狼狽した。
「し、していません。そんなこと」
妻は、首を振った。
夫は、下着だけの妻を、ベッドに、寝かせた。
そして、夫は、服を脱いでいって、全裸になった。
そして、ベッドに乗った。
夫は、妻の、太腿を、大きく開いた。
夫は、妻の、白いパンティーの盛り上がりの所に、鼻先を当てた。
そして、クンクンと、盛んに、鼻をヒクつかせた。
「あっ。あなた。一体、どうしたの?」
妻は、驚いて夫に聞いた。
「ふふふ。いいじゃないか。夫婦がセックスするのは、当たり前のことじゃないか」
夫は、最前と同じことを言った。
夫は、さらに、妻の、太腿を舐めたり、足指を舐めたりと、さかんに、妻を愛撫した。
そして、次に、夫は、飢えた、若い男が、女を抱くように、妻のブラジャーのホックを、外した。
プルンと、京子の、大きな二つの、乳房が、夫の目の前に、弾け出た。
そして、夫は、妻の、パンティーのゴムの縁を、つかむと、パンティーを降ろしていって、スラリとした形のいい肢から、抜きとった。
これで、京子は、覆う物、何一つない全裸になった。
夫は、京子の、体を抱きしめ、さかんに、乳房を揉んだり、乳首を舐めたりした。
そして、片手で、妻の、乳房を揉みながら、片手の、中指を、京子の、アソコの穴に入れた。
夫は、ハアハアと、息を荒くしていた。
今日は驚いた。
こんな激しい愛撫を、受けたのは、結婚して、初めてだった。
どうして、夫が、こんなに、欲情したのか、京子には、さっぱり、わからなかった。
愛撫の激しさは、さっきの、哲也の、愛撫の、激しさに、勝るとも劣らぬほどだった。
夫は、妻の乳首や首筋を、舐めた。
アソコと、乳房の、愛撫を続けながら。
だんだん、妻も、その気になってきた。
「ああー」
妻は、夫の愛撫に、興奮して、喘ぎ声を上げた。
アソコは、クチャクチャと、音をたてはじめ、愛液が、溢れ出てきた。
「京子。さあ。触ってごらん」
そう言って、夫は、妻の、片手を、とって、夫の、マラを握らせた。
京子は、驚いた。
なぜなら、夫のマラは、勃起して、硬くなっていたからである。
結婚してから、今まで、一度も、勃起したことのない、夫のマラが。
「さあ。しごいておくれ」
夫が言った。
なぜ、夫のマラが勃起したのか、そんなことの疑問は、どうでもよく、頭になく、京子は、性欲の、本能の欲望の、命じるままに、夫の、激しく勃起したマラを、しごいた。
しごくにつれ、夫は、ハアハアと、息を荒くした。
「ああっ。出そうだ」
夫は、そう言うと、京子の手を離した。
そして、急いで、夫は、勃起した、マラを、京子の、マンコの穴に、入れた。
そして、夫は、腰を、激しく、揺すった。
「ああっ。あなた。硬くて、素敵だわ。最高だわ」
その妻の言葉は本心だった。
妻は、初めて、勃起した、夫のマラが、自分の、肉体を、激しく、突いている、快感に酔い痴れていた。
妻は、中指を、夫の、尻の穴に、ピタリと、つけた。
夫は、「うっ」、と、声を出した。
尻の穴は、男にとっても、女にとっても、非常に敏感な性感帯ある。
以前も、夫のマラを立たそうと、触れてみたが、ダメだった。
だが今回は違った。
夫は、腰を揺する、速さを、一層、速めた。
「ああー。あなたー。いきそうだわー」
妻が言った。
「オレも出そうだ」
夫が言った。
夫も、妻の尻の割れ目に、手を入れ、妻の、尻の穴に、中指をあてがった。
京子の、クリトリスと、その奥が、ビクビク波打ち出した。
「ああー。いくー」
妻が、叫んだ。
「ああー。出るー」
夫が叫んだ。
夫の、精液が、ドクドクと、妻の体内に放出された。
京子は、それを感じとった。
「ああー。いくー」
妻が、叫んだ。
夫の射精の、直後に、京子も、エクスタシーに達した。
いった後も、しばらく、京子の、クリトリスは、ビクビクと、波打っていた。
京子は、しばし、放心したように、グッタリしていた。
夫も、射精したあとの、虚無感で、マラを、女のアソコから、出して、京子の横に、並んで、仰向けになった。
夫は、ティッシュペーパーで、妻の、濡れた、性器をふいた。
京子は、しばし、オルガズムの快感に、浸っていたが、だんだん、気持ちの落ち着きを、取り戻し出した。
「あなた。素敵だったわ。最高に気持ちよかったわ」
妻は、夫を見て、ニコッと、笑って、言った。
「オレもだ。最高に気持ちよかった。今まで、お前を喜ばせてやれなくて、すまなかったな」
夫は、笑って言った。
「いえ。それは、いいけれど。でも、どうして、あんなに、すごく、立つことが出来たの?」
妻が疑問に思って聞いた。
「友人が、急用ができて、ゴルフに行けなくなったから、そのおわび、と言って。最強のバイアグラを、くれたんだ。どうせ、効かないだろうと、思って、帰りがけに、一箱、全部、飲んでみたんだ。そしたら、立ってきてね」
と、夫は笑って言った。
「それ本当なの?」
妻は、キツネにつつまれたような顔をした。
妻は、訝しそうな顔で、聞き返した。
「ははは。ウソさ」
夫は、笑って言った。
「そうだと思ったわ。以前も、強力な、バイアグラを、多めに、飲んだことが、あったけれど、効かなかったものね」
と、妻が言った。
「じゃあ。一体、どうして、立てるようになったの?」
妻の口調には、夫が立った、理由を、知りたがっている、本気さ、が、こもっているのを夫は感じた。
「ははは。それは、秘密さ」
夫は、笑って、妻の質問を、かわした。
「あなたが、そう言うのなら、無理には聞きません。でも、本当に、激しい精力剤では、ないんですね。あまり、強い薬を飲んだのなら、あなたの体が、心配なんです」
妻は、もう一度、念を押して、聞いた。
「薬なんか、飲んでないさ。それは、天に誓って本当だよ」
夫が言った。
「そうですか。それを聞いて安心しました」
妻が言った。
「それより。すまなかったね。今まで、満足させてあげることが、出来なくて」
夫が言った。
い、いえ・・・、と、言いかけて、京子は、言葉を変えた。
「あなた。本当の事を言うわ。私。本心では、さびしかったの。今日は、すごく幸せだったわ。ところで・・・」
と言って、妻は、言いためらった。
「ところで・・・。何なんだね?」
夫が、聞いた。
「いえ。いいわ」
「いや。何も遠慮することはないよ。言いたい事、聞きたい事は、何でも、言ってくれ」
夫が急かすように言った。
「あ。あの。今日、あなたが、勃起できた理由は聞きません。でも、一つ、教えて下さい。これからも、勃起するんでしょうか?」
妻は、恥ずかしそうに、顔を赤くして、聞いた。
「ははは。それは、わからないな。しかし、君も、若いんだから、セックスしたいんだね」
夫は、笑いながら言った。
妻は、顔を赤くして、答えなかった。
しかし、答えない、ということが、答えになっていた。
妻も、セックスしたがっているのだ。
「あなた。シャワーを浴びてきます」
そう言って、妻は、ガウンを羽織って、階下に降りて行った。
シャワーの音が聞こえてきた。
その後。
夫もシャワーを浴びた。
「今日は、焼肉が食べたいな。ちょっと、買い物に行ってきてくれないか」
夫が言った。
「はい」
と言って、妻は、買い物バッグを持って家を出た。
夫は、いつものように、妻になりすまして、哲也に、送るメールを書いた。
それには、こう書いた。
「哲也さん。今日は、有難うございました。主人は、哲也さんが、帰った、すぐ後に、家にもどってきました。夫には、何も、バレず、感づかれもしませんでした。とても、気持ちよかったです。また、お願いすることも、あるかも、しれません。その時は、また今日のように、よろしくお願い致します。京子」
そう書いて、社長は、メールを、送信した。
しばしして。
すぐに、哲也から、返信メールが、返ってきた。
それには、こう書かれてあった。
「京子さん。どうも有難うございました。僕の、夢が叶いました。嬉しいです。幸せです。もし、また、僕が、必要になった時は、連絡して下さい。馳せ参じます。山野哲也」
社長は、それを見て、ニコッ、と、笑った。

そして、その日から、一ヶ月が経った。
ある日の、昼休みのことである。
社長は、哲也を、社長室に呼び出した。
トントン。
「はい。お入り下さい」
秘書の京子が言った。
「あー。君は、ちょっと、席をはずしてくれないか」
社長が秘書の京子に言った。
「はい。わかりました」
そう言って、秘書の京子は、社長室を出た。
「失礼します」
そう言って、山野哲也が、社長室に入ってきた。
「山野哲也君。まあ。かけたまえ」
言われて、哲也は、ソファーに座った。
社長は、哲也と、テーブルをはさんで向き合って、座った。
山野は、社長に、個人的に、直々に、呼ばれて、緊張して、体が、ガチガチだった。
それは、若い社員にとっては、当然のことだが、山野は、特に、神経質な性格だったから、無理もない。
「ははは。山野君。そう緊張しないでくれたまえ。仕事のことじゃないんだから。僕は、君に、お礼を言いたくて、君を呼んだんだ」
社長は、山野の緊張を解こうと、くつろいだ口調で言った。
「それを聞いて、安心しました」
と、山野哲也は言った。
「社長。一体、僕が、社長に、どんな、お礼を言われるようなことを、したのでしょうか?」
山野は、すぐに、聞き返した。
「まあ。山野君。これから、僕が、君に話すことを、聞いたら、君は、びっくりするだろう。しかし、なんとか、肩の力を抜いて聞いてくれ」
社長が言った。
「はい。わかりました」
山野は、誠実な性格なので、キッパリと答えた。
社長は、テーブルの上に、小型の機械を出した。
「それは何ですか?」
山野が聞いた。
「これは。ワイアレスの小型の隠しカメラ、なんだ。ある場所に設置して、電源を入れておけば、遠くから、モニター画像で、見ることが出来るんだ」
そう言って、社長は、隠しカメラを、山野哲也の方に向け、電源を入れた。
そして、モニター画像の、電源も入れた。
すると、モニター画像に、山野哲也の顔が、写し出された。
「あっ。本当ですね」
と、山野哲也は、言った。
言うと、同時に、カガミのように、山野がモニター画像の中で、動いた。
社長は、一旦、隠しカメラの電源を切った。
そして、社長は、スマートフォンを、取り出して、おもむろに、テーブルの上に置いた。
「山野君。私の、スマートフォン、の、受信ボックス、や、送信ボックス、を、見てみたまえ」
社長が言った。
「はい」
哲也は、何のため、に、そんなことをするのか、わからない、と言った顔つきだった。
しかし、社長の命令通り、社長の、スマートフォン、の、受信ボックス、や、送信ボックス、を、開いて見た。
哲也の、顔が、みるみる、青ざめていった。
無理もない。
受信ボックス、や、送信ボックス、には、哲也が、社長の妻の、京子と、やりとりした、メールが、全部、入っていたからである。
哲也は、驚いて、顔が青ざめた。
「しゃ、社長。こ、これは。社長の、奥様のスマートフォンなのですか?」
哲也は、社長に聞いた。
「いや。私のスマートフォンだよ。電話帳を見てみたまえ」
社長は、笑って言った。
哲也は、焦って、スマートフォンの、電話帳を見てみた。
スマートフォンの、電話帳には、スズキ自動車社長。三菱自動車社長。など、日本の自動車メーカーの社長や、経団連会長。経済産業省事務次官、など、政界および財界関係、そして、自社の、関連会社、下請け会社、や、自社の、専務、取締役、などの、名前が、ズラリと、並んでいた。
哲也は、これは本当に、社長の、スマートフォンだ、と思った。
「ははは。間違いなく、私のスマートフォンだと、確信したかね?」
社長が聞いた。
「え、ええ」
哲也は、か細い声で答えた。
「では、京子(山野哲也)、と、書いてある、アドレスに、何か、書いて、送信してみたまえ」
社長は、そう言った。
哲也は、急いで、「テストメール。哲也より」と、書いて、送信ボタンを押した。
すると、哲也のスーツの内ポケットの、スマートフォンが、ピッ、と、鳴った。
哲也は、内ポケット、から、自分のスマートフォンを、取り出して、開けて見てみた。
今まで、京子から受けとっていた、「京子」の、アドレスからのメールだった。
開けてみると、「テストメール。哲也より」と、書いてある。
これで、哲也は、社長の言っていることを、確信した。
「じゃあ。今まで、僕が、社長の奥様から、来たメールは、社長が、書いて、送っていたんですか?」
哲也が聞いた。
「ああ。そうなんだ」
社長が言った。
哲也の顔には、羞恥と共に、少し、憤り、も、あった。
「どうして、そんな、ことをしたんですか。イタズラにしては、ちょっと、ひどいんじゃないですか。社長?」
哲也が少し強気の口調で聞いた。
「すまん。すまん。君には、本当に悪いことをしたと思っている。だが、イタズラが目的じゃないんだ。私も、君をだますことに、自責の念に苛まれて、やっていたんだ」
社長が言った。
「では。何の目的のために、そんなことを、したんですか?」
哲也が聞いた。
「私の妻のため。そして、君のためさ」
社長が言った。
哲也は、さっぱり、わからない、といった顔つきで、聞き返してこないので、社長が、語り出した。
「私も歳で、勃起しなくなってしまってね。何とか、勃起できないかと、色々と、試してみたんだが、ダメだったんだ。私は、若い妻を、セックスで、満足させてやれなくて、申し訳なく思っていたんだ。妻は、控え目な性格だから、不満も、何も言わないが、妻が、セックスできなくて、欲求不満なのは、目に見えて明らかだったんだ。それで、妻を、可哀想に思ってね。君は、若いし、妻を好いてくれていたから、君が妻と、セックスするように、仕向けたんだ。私が、勃起できるようにね」
社長が言った。
「社長。でも、どうして、そんなことを、することで、社長が、勃起できるんですか?」
哲也が聞いた。
「これを、見てみたまえ」
社長は、そう言って、隠しカメラの、モニター画像を、スイッチを入れて、再生した。
すると、以前の、哲也と京子が、セックスしている、シーンの、映像と音声が、再生された。
哲也は、真っ赤になった。
「あの日、この、隠しカメラを、寝室に仕掛けておいたんだ」
社長が言った。
「社長。なぜ、そんなことを、したんですか?」
哲也が聞いた。
「私は、あの日、家を出てから、これを、近くの、ファミレスの中で、見ていたんだ」
それを聞いて、哲也は、ますます、赤面した。
「これを、見た時、私は、すごく、興奮してしまって勃起してしまったんだ。私は。ゴルフ友達から、歳で、勃起できなくて、困っていることを、話したんだ。すると、彼は、男は、妻の不倫を見ることによって、その嫉妬の感情が、男を、興奮させ、勃起させることが、出来る、と、教えてくれたんだ。この、隠しカメラの方法も、全て、彼が、教えてくれたんだ。私は、藁をもすがる気持ちで、その方法を、とってみたんだ。効果は、抜群だった。私は、君が、帰った後、すぐに、家にもどって、妻とセックスしたんだ。嫉妬のエネルギーとは、凄いものだね。結婚しても、一度も立たなかった、私のマラは、若い時のように、激しく勃起して、私は、妻の体内に、ザーメンを射精できたんだ。妻も喜んでくれたよ」
社長は、落ち着いて語った。
「そうだったんですか」
やっと、哲也が納得したような口調で言った。
「こんなことを、して、君には、本当に、すまない、と、思っている。すまん。ごめん」
そう言って、社長は、ソファーから降りて、土下座して謝った。
「しゃ、社長。そんなことしないで下さい。僕にだって非はあります。社長の奥さまに、誘われた時、僕は、決然と、断るべきでした。不倫の誘惑に負けてしまった点は、僕にも、非はあります」
哲也が言った。
「しかし、君は、中出し、は、しなかった。それほど、君は、自制心があり、誠実だと、僕は、感心したんだ」
哲也は、誉められて、赤面した。
「ところで。社長。どうして、わざわざ、隠しカメラの、ことを、僕に、話したんですか?一体、何の目的で?」
哲也が眉をひそめて聞いた。
「そこなんだ。君が、帰った後、僕は、久しぶりに、マラが立って、射精できるようになった。それ以後も、君と妻の、ビデオを見て、嫉妬の感情を高めて、勃起させて、妻を満足させてやることが、出来たんだ。しかし、同じ映像、を、見ていても、だんだん、興奮できなくなってね。立たなくなってしまったんだ。人間は、絶えず、新しい刺激を求めるものだね。グラビアアイドルだって、アダルトビデオだって、同じ一つの、ものに、いついつまでも、興奮するということは、出来ないんだ。それは、君だって、感じているんではないかね?」
社長が聞いた。
「え、ええ」
哲也は、ウソをつけない性格なので、正直に首肯した。
「そこで。頼みというのは、ほかでもない。たいへん、厚かましい、お願いなんだが、もう一度、妻と、セックスしてくれないだろうか?君には、特別に、ボーナスも、はずむよ。どうかね?」
社長は、そう言って、哲也の目を、直視した。
哲也は、しばし、黙って、考え込んだ後。
「わかりました。お引き受けいたします。社長のためにもなり、京子さん、のためにもなり、僕も、京子さん、との、セックスが、楽しいですし。また、隠しカメラを撮られる、のは、少し、どころか、かなり、恥ずかしいですけれど。社長が、全てを、語ってくれたので、僕も、開き直って、かえって、安心できます。京子さん、と、セックスしていた時には、万一、社長に見つかったら、どうしよう、という、不安が、絶えず、ありましたから。今度は、そういう、不安がないですから、安心です」
哲也は、自信に満ちた口調で、言った。
「おお。そうか。それは、有難う」
そう言って、社長は、哲也の手を、ガッシリ握った。



平成29年3月31日(金)擱筆

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