人権擁護セルフチェックの結果が下がった理由 #178


勤務先の保育園の園内研修で、人権擁護のためのセルフチェックを実施した。
子どもの人権を守るための人権教育や虐待予防は毎年必須の研修項目だ。

最初から子どもの人権侵害をしようと思っている人は、もちろんいないと信じているが、意図せず、普段の無意識の関わり方が実は子どもを尊重していないということもよくある話だ。
「そんなつもりはありませんでした」
そういう言い訳を避けるためにセルフチェックを実施し、
「子どもを置き去りにした保育」「保育者の都合ですすめる保育」になっていないかを見直す必要がある。

他の園の事例を見聞きして「うわぁ、それはあかんね」「さすがにそれはないね」と言いながらも、自分の言動は大丈夫だと自己評価が甘くなりがちだ。

https://z-hoikushikai.com/about/siryobox/book/checklist.pdf

①子ども一人ひとりの人格を尊重しない関わりをしていない
②物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけをしていない
③罰を与える・乱暴な関わりをしていない
④一人ひとりの子どもの育ちや家庭環境を考慮しない関わりをしていない
⑤差別的な関わりをしていない

質問は、例えば、
子どもが保育者に話しかけた際に「いま忙しいから後にして」と答える

回答は「していない」と「している(したことがある)」の2択である。

私は日常的に保育に入っているわけではないため、自身の子育てやこれまでのキャリアにおけるマネジメント経験に置き換えてチェックを行ったが、厳しい結果だった。
2年前にも同じチェックを実施したが、その時は比較的「良い関わり」ができているという結果だった。
自分でいうのも何だが、2年前より、よりよいかかわりが出来るようになっているはずだ。
それなのに、今回は成績が落ちた。
唯一、乱暴な関わりは全くないと自信を持ってチェックできた。
それ以外は、もちろん自分で厳しめにチェックをしたのは間違いない。
そして、今はしないと胸を張って言える項目もたくさんあったが、
選択肢が「していない」と「している(したことがある)」しかないため、ほとんどが現在進行形の「している」ではないが、「したことがある」のだ。

私の過去の「したことがある」について考えてみた。
そのほとんどは、私自身の「こうあるべき」という思い込みが言動に現れていたように思う。
そして、今は「こうあるべき」を随分と手放し子育てや仕事でも、相手の立場に立って考え、いちいち目の前で起きている現象に反応して感情的になることはなくなってきた。
ただやはり、自分の気持ちに余裕がない時は、イライラもするし、元の思考に偏りがちだ

「私は大丈夫」と変に自信を持つよりも、
「私の言動は本当に大丈夫だろうか?もっと最適な関わり方はないだろうか?」とじっくり考えることができるようになった結果、セルフチェックの評価も下がったのだ。

寧ろ、下がって、良かったのだと思えた。
自分の言動を振り返り、疑い、真剣にどうあるべきかを考えたら、簡単に「していない」と断言することはできない。

自分自身の現状に満足することなく、改善しようという気持ちがあり、それに見合った関わりができれば、不適切保育は遠ざかる。

一方で、自分は大丈夫だと自信を持って現状に満足してしまうと、自身の言動を疑わず、周りの意見を聞き流し、改善しようという気持ちが起きないだろう。
チェックリストの項目も自分勝手な解釈で正当化する傾向があるので要注意だ。

保育はひとりで行うものではない。セルフチェックはひとりひとりが実施するけれど、自分の行動やスタンスだけを振り返るのではなく、クラス全体、園全体として捉えて、考える必要がある。
そしてこういうチェックを行うと誰かの不適切そうな言動にばかり着目して責めがちだ。
そんなことよりも、美味しいお茶でも飲みながら、肩の力を抜いて、チームみんなでコミュニケーションをとって、どういう保育が理想か語り合う。
そのために、保育士それぞれの個性を活かして、チームとしてどのような行動をしていくのかを建設的に話せると幸せな職場になるんじゃないかなと妄想する。


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