エレクトロニカ2024 Aug.01
詩の相貌を持ち合わせ、エッセイの仮面の薄皮で目元を覆う。
安楽な日記や旅先の宿の落書き。
文芸領域の反復横跳びを繰り返し、生きた小説に至る未来を夢に見つめる。
僕や私のエレクトロニカ。
放蕩的な文字の鍵束。
人工の海を流れる氷、溶け行く氷。
相の転移を行い、誕生と滅亡らしき現象も繰り返す。
言葉と言葉。
絶えざる口付けの揺らぎの踊り。
高校時代。
私はバスケットボール部に所属し、人差し指の上でボールを回した。
暗闇の中で交わすキスを覚え、半年後には有り触れていた恋愛の道から見事脱落。
暇な日は多い。
誰かの充足が私には解らない。
嫌いな顔に化粧を施し、後から土台の顔を剥ぎ取った絵を描く。
まるでフェティシズムな線の呪詛の絵。
奇怪な紋様が独立して浮かび上がり、私自身のお腹で捻れた暴動を起こす。
かような畑に咲く花は見当たらない。
私は混沌を花と呼んだ詩人を探し、今度は疲れてしまって眠りに着いた。
不在なはずの恋人の呻きが聞こえた。
彼は首なしのバンドのブルースを聴いている様子。
その曲に詩の言葉があるのかも私には解らない。
私は誰かに何かを尋ねていたのだと思う。
半年後に恋愛を放棄する前、暗闇の中でキスを交わしたその時に。
低く張られた夏場の雲に向かい、空のことを尋ねるみたいに。
どんどん深い方向に落ちていく。
もしもそうするだけなら、コンパスの力は必要なかった。