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シルビア日記19 都会

“代官山“ なんだこの響き。安達太良山、浅間山、たくさんある“やま“とは明らかに違う。身構えてしまうおしゃれな響き。
学生時代には怖いもの知らずでよく自転車で散策した。おしゃれの中心にある古着屋、そう信じてボロボロの古着に大枚を叩いて買った。そこで買ったという事実を着たかっただけ。格好いいという勘違いがオシャレの基本だ。
大使館も多く外国人もいっぱいいる。すごく久しぶりにそこを訪れた理由は、もう5年になろうか音信不通になってしまった姉に偶然会うためだった。両親が亡くなって兄と姉は不仲になった。末っ子の私は巻き込まれなかったものの、姉が出て行く時に声をかけられなかった後ろめたさもある。代官山で暮らしているという情報は掴んでいた。毎日訪れるカフェがある。そこに行けば会えるのではと思っての行動だ。なんで今更そんなことをしようと思ったのか。自分も歳をとり何か願うことがあるとすれば子供達が仲良く過ごしてほしいということだけだ。
父も母も最後は
「兄弟仲良くするんだぞ」
意識朦朧とする中そんな言葉を発した。その時は “はいはい“ 程度にしか感じていなかったが。最近その意味がわかってきたように感じる。
願いは世界平和、その前に日本の安定、その前に犯罪のない社会、大前提に家族の和なんだと歳を重ねて気がついてきた。
 恐る恐るカフェに近づくと本日臨時休業の札。すごくホッとした。近くでコーヒーを頼み読書をした。一応こういう行動した自分に満足して帰路についた。
 清々しい気持ちでひとつ思ったことは駐車料金3時間最大2,500円って。僕が踏み込んでは行けない街だった。姉と会うのはだいぶ先になりそうだ。

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