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OCTPATH TRAVELER Ⅱ レビュー②:西大陸編

初めに

 西大陸出身キャラクターのストーリーを終えましたので、前回に引き続き、今回も各キャラの感想を書いていきます(ネタバレ有)


薬師キャスティ

 港町に昏睡した状態で流れ着いた薬師キャスティ。彼女は目を覚ますも、記憶を失っていました。記憶の手掛かりとなるのは、彼女が着ている「エイル薬師団」の団服と、街で出会った彼女を知る薬師マレーヤ。記憶を取り戻すために、各地で人助けをしながら、自身の日記に書いてあるかつての足跡を旅する、といったストーリー。

 西大陸キャラは王道ものが多い中で、唯一のミステリー風&ほの暗い感じのお話。元は心優しい青年トルーソーが、何者かに唆されて闇落ちし、ラスボス化するというのもやりきれなさを感じますね。トルーソーも、何者かに唆された小物の癖に、しっかり悪役なのがポイント高いです。

 サイの国で助けた、移民の長のエドマンドさんや、兵士長も改心して終盤キャスティを助けてくれる展開もいいですね。これまでに助けてきた人たちが、最終章で集まりラスボスに立ち向かう、っていう展開は東大陸キャラにはなかった感じがして熱かったです。

 あと、キャスティ編で感動したのは、回想シーンに入る際の演出。失った記憶を取り戻すためにNPCから情報を聞き出すのですが、聞き出した情報のテキストから、記憶のもとになるキーワードが浮かび上がり回想シーンに入るという演出が、めちゃくちゃカッコよかったです。

文言が浮かび上がりホワイトアウトしていくのかっこいい。

 このストーリーで残った謎は、先述した通り、心優しかったトルーソーを唆した人物。キャスティ編では、露骨にその存在が示されているため、ラスボスの小物感も一番強かったです。


踊り子アグネア

 ソローネ、テメノスと並び、最初の主人公にするか悩んだのがこのアグネア。なぜかというと、圧倒的にビジュアルが好みだったからというどうしようもない理由です。

 田舎の村に住む踊り子のアグネアは、村の酒場で稼いだおひねりをコツコツとため、スターになるための踊り子修行の旅に出る、といったあらすじ。

 さびれた酒場のマスター、馬車が地面にはまり動けなくなった劇団、貧しい村の人々、など旅先で出会った人たちを、アグネアの持ち前の明るさと踊りで助けていく王道ストーリー。

 ラスボスとして立ちはだかるスターのドルシネアも、悪役然としているわけではなく、乗り越えるべき偉大な先輩かつライバル?的な立ち位置です。ここまですべてのストーリーで、暗黒だの夜だの殺しだのが出てきていたので、ストーリーを進めながら、いつドルシネアが巨悪を為すかドキドキしていたのですが、そんなことは全くありませんでした。

 いいやつなのにラストバトルで戦わなくてはいけないの?、と不安に思っていましたが、そこも無問題。ラスボス戦は「ダンス対決」というという体裁で、従来の戦闘が繰り広げられました。

 ドルシネア第一形態を倒した後、圧倒的なスターの力にアグネアがひれ伏すシーンもあるのですが、応援席から家族やこれまで助けてきた人々からの声援が力に、というこれまた熱い展開。

 このように終始明るい展開で進むアグネア編ですが、ラスボスのドルシネアの技だけは、8ルートの中で一番陰湿でした。これまでも状態異常を使うボスはいましたが、味方を連れ去ったり、さらには敵として寝返らせたりという技の数々。

 回復役のキャスティや、火力役のヒカリが寝返ってしまうと、為すすべなく全滅に追い込まれてしまいます。推奨レベル45のところを48で挑戦しているにもかかわらず、4回くらいはやり直すこととなりました。これは、8ルート中最多の挑戦回数。


剣士ヒカリ

 戦乱に明け暮れ、その軍事力で国土を拡大してきたク国。その第二王子であるヒカリは、一領主として町の人々を「友」と呼び、身分の垣根を越えて対等に接していました。そんなある日、父である国王に呼ばれ、次期国王の座をヒカリに任せる旨の話を聞かされます。

 しかし程なくして、第一王子である兄ムゲンがクーデターを起こし、ク国の王に。新王ムゲンのプロパガンダにより、クーデターを起こした謀反人に仕立て上げられたヒカリは命からがら逃げ出し、ムゲンを討つためにかつての仲間を集めるべく旅に出る、といったあらすじ。

 酒クズだけど有能すぎるカザン、ムゲンにヒカリを捕らえる命令を受けているかつての友ライ・メイなど、どのキャラも魅力的です。

ドット絵じゃわからんけど、ライ・メイも美人さんですね

 ただし、ヒカリの幼馴染かつ敵役のリツ、お前だけは許さん。父を失った哀しい過去や、唯一残された妹とのシーンを描いて同情を誘おうとしているのでしょうが、漢気のあった将軍を卑劣な手で葬り出世を狙うなど、クズ野郎っぷりが目立って腹しか立ちません。

 ラスボスとして立ちはだかるムゲンは、一貫して悪役然としているのでいいのですが、サブキャラにも魅力を感じる今作の中で、リツだけはなぜか許せんかった…。

 壮大な戦記物かつ、最終章もリツ→ムゲン(形態変化含む)と4連戦くらい?したので、このストーリーがシナリオライター肝入りのお話だったのでしょうか。

 ク家の人々がなぜ暗黒の力を使えるのか、また、ヒカリの母がオズバルドの妻と同じ光の一族(灯の一族)出身ということなど、各キャラとのつながりも出てきた今回。これも共通ルートに持ち越しとなりそうです。

商人パルテティオ

 銀鉱山で栄えた町、オアーズラッシュ。主人公パルテティオは、父とその友であるロックとともに、幼少期に移り住んできた商人一家です。

 銀商売で儲けてきたパルテティオ一家ですが、ある日、父の友人であるロックが裏切り、銀鉱山の権利を独占してしまいます。それから貧しい暮らしを余儀なくされるパルテティオ達。そんな貧しい生活から抜け出し、オアーズラッシュの人々を裏切ったロックに真意を問うため、町を飛び出し商いの旅に出る、といった序盤のあらすじ。

 貧しい生活を経験したパルテティオは、「幸せはみんなで分け合う」を信条に、世界中の人々が豊かになるために商売を行っていきます。

 技師のフロイド、新米新聞記者のオリ、そしてパルテティオのスポンサーとなる大富豪アルロンドと、旅先で出会うのは魅力的な人々ばかり。様々な人々との出会いと商売の経験を積み、徐々に成長していくという王道の冒険譚です。

 かつての師ロックは、商売で巨万の富を築き、その富を独占する大商人として立ちはだかります。しっかり悪役然としていましたし、かつての仲間が裏切ったという点では、前述のリツと同じような状況なのですが、なぜかロックは憎めませんでした。この違いは何なのでしょうか。

 また、この章もアグネア編同様、暗黒だの夜だの物騒なものは出てきませんでした。王道物はしっかり気持ちよく終わらせるところもいいですね。

 パルテティオ編では、オリの書いた新聞記事が各章のヒキとなっていたのですが、この演出もよかったですね。キャスティ編の時もそうでしたが、こういった小粋な演出が、ストーリーをさらに盛り上げているなあと感じました。

サブキャラがいい仕事をしてますね。


終わりに

 陰鬱なストーリーが多かった東大陸キャラたちに比べ、明るいストーリーや王道展開が多かった西大陸キャラたち。個人的なストーリーの好みでいうと、

ソローネ、パルテティオ、アグネア、テメノス、オズバルド、キャスティ、ヒカリ、オーシュット

といった順になるでしょうか。エグさに振り切ったソローネ編、よかったですね。前作もプリムロゼ編が好みだった気がします。

 8キャラのストーリーで張られた伏線は、果たしてすべて回収されるのでしょうか。乞うご期待。


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