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かなしい特技

お昼寝は大好物だ。といえば、脳天気なイメージがわくだろう。

私のお昼寝は小学校の頃に遡る。
日曜日は近所の子と遊びに行くのが、通例となっていた。登校班の集合場所や公園に行けば、誰かいたので、人の家に呼びに行くことは、あまり無かった。
家でも「遊びに行きなさい」と言われ、友達の家に呼びに行くのが苦手な私のことを母は「ヘボ(弱虫)やなぁ」とバカにした。

「りえちゃんの家でも遊びに行けばいいのに」と母はよく言っていたが、行けない理由があった。
ある時、りえちゃんのお母さんにこう言われたのだ。

「さとちゃんは、ウチなんかに来んでも、広い家があるやないか」

土間にいた私は、目の前に仁王立ちになったおばさんに萎縮した。おばさんと母は「ひまわり会」という近所のお母さん友達の会で仲良しだったはずなのに。
まるで横っ面を叩かれたような気がした私は、そのおばさんの足元を小さくなりながら、部屋の奥から呼ぶりえちゃんの声に、ほっとしながら通り抜けて行った。

それ以来、遊びに行くことが怖くなった。

「遊びに行ってくる」と言うもののくつをかくし、こっそりと別の部屋から、布団部屋や押し入れの布団の中に潜り込んで、表から見えないように隠れては、息を潜めて3時間ほど過ごした。

そのうちに眠ってしまうようになったのが、私の【お昼寝】である。

ひょっとしたら気づかれていたかもしれないけど、私は完璧だったと自負している。

私の特技はお昼寝です。

ちょっとかなしい特技です。

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