見出し画像

門出の日、17歳に「やれやれ」と首を振られる(3月22日)

・今日は式があった。何の式かは詳しく書かないけれど、明るい方の式です。

・式の後は、友だちとカレーを食べに行ったり(なお、これにより学部ごとに行われる式の第二部的なものに完全に遅刻した)、お世話になった先生から話を聞いたり、その先生とツーショットを撮ったり、ゼミの皆と写真を撮ったりした。

・ところが実のところ、何をしている最中でも、頭の中はある人のことでいっぱいだった。キャンパスに来る途中、偶然バスで乗り合わせ、思い切って声を掛けた人がいたのだ。

・私はできれば、その人と少しゆっくり話がしたいと思った。ゆえにまず先に、今日会って話をすべきであろう他のあらゆる人の所を回ることにした。そうした方が、あとのことを気にせず、その人と話ができると考えたからだ。

・しかし、結果的にこの選択は裏目に出た。学内中を挨拶して回ることに想定以上の時間が掛かってしまい、私は長い間、彼女を待たせてしまった。

・加えて、(これは会ってから判明したことだが、)向こうには先約があった。要するに、私と話をしている余裕など、初めからあまり多くはなかったのだった。

・当時、彼女のタイムスケジュールは、こちらの不手際が引き金となって、滅茶苦茶になりかけていたことだろうと思う。悪いことをしてしまった。

 

・スーツと晴れ着でごった返す構内で落ち合えたのも束の間、私たちはいくつか言葉を交わしながら、てきぱきと写真を撮った。途中、一緒にいた友人の方たちを紹介してもらった。初めて会う人たちであったが、纏っている雰囲気に思わず納得してしまった。

・そりゃあ、あの人の友人だからね。良い人たちなんだろうと率直に思った。ほんの少ししか話せなかったけれど。

・写真を撮り終えた後、彼女たちは急ぎ次の予定へと向かって行った。こちらのせいで長く待たせてしまっていたのだ、少し引き留めて話を,などとは全く考えなかった。

・別れ際、なぜか彼女とグータッチをした。なにゆえグータッチだったのだろうか。

 

・一向を見送った私は、一人放心状態となっていた。なにせ、一番時間を掛けて話そうと思っていた相手との会話が、一番あっさり終わってしまったのだ。無理もない。

・もし今日彼女に会うことがあったら何を言おうか。実は少しだけ考えてはいた。

・着物の話はマストだと思っていた。無論、あまり凝った言い方をすると、かえっておかしな感じになってしまうかもしれないとも。

・当日運良く会えた訳だが、結局何も言えなかった。気の利いたことはおろか、綺麗だ、の一言すらも。

・代わりに言ったことといえば、写真を撮る直前、「風で髪が乱れて、さっきから撮る写真全部、るろうに剣心の斎藤一みたいになってるんだよね」くらいだった。

・一体どこでどういう話をしているんだ俺は。仮に、いろんな人たちと撮った写真を見て、「なんか斎藤一みたいだな・・・・・・」と思ったとしても、絶対に言うべきタイミングはそこじゃないだろ。

・ごめん、わからないかも。と言われた時、牙突の人だよ、とか補足しないでよかった。本当に。

・口に出す言葉の取捨を完全に間違えていた。というか、今書いていて思ったけど、綺麗だと伝える場面があったとしたら、確実に写真を撮る直前の「あの時」だっただろう。なんで斎藤一の話なんかしているんだ。

 

・このままなんとなく、友人関係はトーンダウンしていくのだろうか。撮ってもらった写真を送ってもらって、二、三やり取りをして、それで終わってしまうのだろうか。

・そうだとすれば、とても寂しく思う。

 

・けれども、現状私は、「式が終わって急ぎたいタイミングでめっちゃ遅れてくるし、おまけに訳わからんジョークをかましてきたヤツ」だからな・・・・・・もはや挽回する機会があるかどうかすら怪しい。

・この文章を書いている今でさえ、ため息混じりの息をついている。最後の最後で、しょうもない奴になってしまった。

・だがこれだけは確信をもって言える。本当に、良き友人であると。

・ご卒業おめでとうございます。あなたの歩む道に、幸多からんことを祈っております。

  

――――――。

・おまけ。昨日見た番組が面白く、取り上げられていた本そのものに俄然興味が湧いたため、帰り道に池袋のジュンク堂に寄って買ってきた。

・まだ少ししか読んでいないけれど、なんというか、主人公かわいい奴だな〜〜と思ってしまった。子どもっぽい荒っぽさがある、といえばよいのだろうか。

・読み進めていると、文体による多分な効果によって、まるで少年が隣に座って喋っているような感覚を覚えてくる。こんな17歳なら、いくらでも隣にいてほしい。

・昨日の番組の内容を踏まえると、現状とんでもなく浅い読み方しかできていないことは明白なので、以降じっくりと腰を据えて読んでいきたい所存だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?