愛犬の死①

一年前から耳が聴こえなくなってきた。少し痩せてもきた。トボトボ歩き。覚悟はしてたけど、年齢的な衰えが目に見えて出てきた。

15年前、知り合いの家で産まれた2匹のトイプードルの男の子の一匹を迎えた。可愛くて、可愛くて、可愛くて。

結婚して一緒に知らない土地に引っ越した。田舎なので気軽に買い物して気分転換する場所もなく、自営業に嫁いだので四六時中周りから監視されてる感じ。夫は忙しい、忙しいが口癖なので、家でも仕事の電話。愛犬だけが話を聞いてくれた。いつも側に居てくれた。愛犬も私を必要としてくれた。

悪阻が酷い時もいつも側に居てくれた。お腹に顔を乗せて守ってくれた。出産後も知らない人が赤ちゃんに近づくと吠えて守ってくれた。2階で赤ちゃんが泣くと遠吠えして教えてくれた。時々は悪さをして、僕も見て!っとアピールした。

あっという間に15歳に。膀胱結石が出来てからずっと療法食やったけど、食欲が落ちだしたら、獣医師から『下痢しない程度に好きなもの食べさせてあげて。』と。

もう長くはないな。と分かった。ささみ、サツマイモ、ブロッコリー、食べたいと言うものを食べさせてたけれど、それもだんだん食べなくなった。ちゅーるも食べなくなった。最後に食べたのは牛肉。美味しそうに食べた。

水も飲まなくなって点滴に病院に通った。毎日通うのも大変だろうからと先生が家で点滴できる様にしてくれた。

意識がなく昏睡状態。タール便が出だした。痙攣をし出した2日目の朝、子供たちは学校に。

『行ってらっしゃい!』

と、昏睡状態の愛犬の手を持ってフリフリして見送る。

お昼過ぎに今までとは少し違う痙攣をして、呼吸をしなくなった。呼吸をしなくなった後でも心臓は動いていた。しばらくして心音も感じなくなった。

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