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私の知り合いの話であるが

クリスマスの日

彼は妻へのプレゼントに
妻が以前から欲しがっていた
玄関のカギをスマートキーに替えることを選んだ

取り付けもスムーズに完了し
彼の妻は大喜びであった

これまでは
玄関を開けるためにカバンからカギを出して
夜は暗くてカギ穴がなかなか見つからない

これからは
そんな苦労をすることもない

スマホを持っていれば、ドアのカギが自動で開く
大げさだが、まるでSFの世界だ

妻のいつもの習慣
出かけた後に決まって 「あれ! カギ閉めたかな?」
この恒例のイベントも、スマホで確認できるから安心だ

彼の妻にとって、まさに最高のクリスマスプレゼントである

その日の夜、彼の妻は友達とクリスマスパーティーに出かけた

彼は留守番ではあったが、妻がスマー トキーを喜んでくれたことが何よりも 嬉しかった

そんな上機嫌で留守番をする彼であったが
今日はせっかくのクリスマスだ
美味しいワインでも買いに行こうと家を出た

そしてあることに気が付いた

「スマホを忘た!」

玄関のドアはスマートキーのおかげで
自動でロックがかかっている

しかし、こんな時も便利なのがスマー トキーだ
妻に連絡して遠隔操作でカギを開けて
貰えばいいだけだ

「妻の連絡先は?」

わからない...

スマホがないとLINEが使えない、
メ ールも電話番号もわからない

仕方がない
彼はカフェでコーヒーでも飲みながら
妻の帰りを待とうと思った

「お金は?」

スマホがないと PayPay も Suicaも...

真冬の寒空の中、彼は公園のベンチでひとりクリスマスを過ごす
上着もなく、素足にサンダル

聖夜の夜、
寒さと空しさが容赦なく彼の体と心に突き刺さる

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