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エンディングノートのすすめ


縁起が悪い?

 日本人は死について語ることに抵抗がある方が多いと思います。しかし、確実に訪れるもの…。避けることのできない問題だと思っています。
 死の概念に関して私の家も例外でなく祖母には話すと注意を受けていました。
 出来れば避けたい話題なのは私にも分かります。気持ちなんかその時に聞けばいいだろ!!という人もいるかもしれません。
 ただ、私はある体験をしてエンディングノートは自分だけでなく家族にも大切なものなのだと実感し今回私の気持ちを書くことにしました。

 エンディングノート


エンディングノートなどと言われるととても難しく聞こえる方もいると思います。
 私はエンディングノートはただのきっかけで本当に大切なのは家族で話し合いがもてることだと思っています。
 エンディングノートの内容にこれと言うものはありません。ただ、これからどうしたいのか…。
こんな時どう対応して欲しいのか、どういう考えなのか、自分の自己紹介のような感覚で書いて見るといいと思います。
  歳をとったらどうして欲しいのか…病院になったら…どんなものを食べたいのか…どう過ごしたいのか…何が好き…何が嫌い…どのように最後を迎えたいのか…。

 家族の苦悩

 とあるところにAさんがいました。
Aさんはとても活発で、自分はぽっくり行くから大丈夫!!
 といつも明るく話していました。
 そんなある日、Aさんは脳梗塞で倒れそのまま麻痺になり、言葉も話せなくなりました。
  介護はAさんの息子嫁Bさんがおこなっていました。
  Bさんは一生懸命にお世話をしていました。
Aさんは体の自由が聞かない事もあり、Bさんに強く当たることもありました。Bさんはそんな中でも一生懸命お世話をしていました。
  
 それから何年か経ち、Aさんの状態は悪くなり施設入所の話が出ました。
 しかし、家族は反対。Bさんは自分一人での介護の限界を訴えると他の家族は大反対。

 「父さんはこの家が好きなんだ!」
「施設に入れたいなんてお前が楽したいだけだろ」
「本当の家族じゃないからそんなこと言えるんだ。」

義理の兄弟たちから責められ、旦那さんは庇ってはくれませんでした。
 まともにパートをに行くことも出来なくなり金銭的にも辛くなり、とうとう入所することになりました。

施設にはいり、しばらくし…

 体調が悪化しみるみる衰弱していきました。
医師からはターミナルケアか看取りケアかという話しが出されました。

 Bさんも旦那さんも急なこともあり戸惑い兄弟達に助けを求めました。兄弟達の返答は
「ターミナルだろ!」というものでした。
     ※ターミナルケア…終末期医療とも呼ばれ医療行為が中心、看取りケア…排泄や食事など日常ケアが中心。

   ターミナルとなると既に食事を取れなくなっているため胃ろうの手術が必要となっていました。
 Bさん達は何度も考え悩み続けました。どうしたいのか…Aさんに確認したくとも言葉を発する事も出来ず寝たきり。
 腕は毎日の点滴で受け付けなくなっては別の場所へと差し替えの日々、そのせいでアザだらけ見るも痛々しく体は痩せていきました。
 Bさんと旦那さんはこの歳での手術への抵抗が大きく結局看取りを選択しました。

  もちろん、兄弟達から「殺す気か」と大ブーイング。とても辛い言葉の嵐でした。

  そしてとうとう点滴も抜かれ、最後はせめてAさんの好きだった自宅へと帰り、自宅で介護が始まりました。
   お世話は楽なものではなかったですが少しでも家族の時間を…と訪問看護、介護の方の力を借り何とか生活をする事になりました。
 自宅に帰りすぐに兄弟が訪問してきた日の事です。
 久々に会うAさんの姿に兄弟たちは衝撃を受けました。やせ細った体に虚ろな表情、口で呼吸しているため唇はガサガサ、両腕はアザだらけ、毎日点滴をしていた為、腕は水が溜まっていました。

  「なんだこれは…口もこんなに乾いていて、水も飲ませていないのか…だから入院でも何でもさせろと言ったんだ。」

   兄弟は怒り狂ったように叫び今すぐ何かを飲ませろと迫ってきました。
 飲めない事を説明するも納得されず…。
「プリンは!ヨーグルトは!アイス少しなら大丈夫だろ!じゃーせめて水1口!!!」

 全てダメと話すも納得されない様子。
 ちょうどその時、訪問看護師さんが来て下さり説明してくださる。

 「何もダメなんてそんな話あるか!」
兄弟はまだ納得されない様子。

 「一滴でも飲ませた上手く呑み込めず苦しむのはAさんですよ。」

 その一言で兄弟は大人しくなり…
「じゃーどうすればいいんだ。こんなに辛そうなのに…これが正解なのか…。」
そう話し兄弟の方は涙を流される。

 少し時間が経ち、Bさん達はリビングでお茶を飲みながら話し始める。

「何が正解かは分からない。父さんの意志を俺たちは知らないから…積極的な治療をしないと決めてからずっと、本当は父さんは治療して欲しかったのかもしれない…一日でも長く生きれる選択をしたかったのかもしれない…と何度も思った。俺がこのまま穏やかに死を…と選択したんだ…。」

 Bさんの旦那さんはそのままうなだれる…。
誰も何も言えず時間は過ぎていきました…。


答え合わせ


 その後、Aさんはお亡くなりになりました。
Bさんも旦那さんもご兄弟も何が正しかったのか…今もモヤモヤした気持ちの中過ごされていました。

 もし、あの時エンディングノートがあれば…エンディングノートを書かなくてもいい…せめて家族で話し合う機会が持てたら…。
 ここまでみんな苦しまずに済んだのでは無いでしょうか??


 決断をしたBさんの旦那さんはAさんが亡くなった時、自分が殺してしまった。と涙を流しました。

  誰が悪い訳では無い、命が終わるのはみんなに起こること。話し合いをしている人でも動揺はする事、少しでもお互い穏やかに過ごせる道を話し合うのはとても大切なことだと思います。

 これを読んでくださった方に聞きます。あなたはご自分の家族の意志を知っていますか?
 なんでもいいです。簡単なことでも。
 私が家族に話してるのは
⚫食事を取れなくなったらそのまま最後を迎えたい。
⚫痛みと痒みは対応して欲しい。
⚫下着は1年に1回は新しいのを買って欲しい。

 私の周りの人でシャンプーは絶対これ!という方もいました。

皆さんも親しい方と未来のお話をしてみてはいかがでしょうか?

#未来について話そう


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