午後のロードショー「ホワット・ライズ・ビニース」
公開 2000年
監督 ロバート・ゼメキス
公開当時 ハリソン・フォード(58歳) ミシェル・ファイファー(42歳)
時間泥棒と呼びたくなるような映画をつい見てしまうことがありますが、この作品はまさにそれと言えます。
ハリソン・フォードとミシェル・ファイファー共演の豪華なキャスティングで、映画の随所に伏線を感じる思わせぶりなセリフや演出があり期待値が上がってしまいますが、見終わった後のがっかり感は軽く落ち込むほどです。
ノーマンとクレアの夫婦は、娘の独立を機に夫婦水入らずの生活を楽しむため、湖畔の邸宅へ引っ越す。
だが、クレアは引っ越した直後から不審な行動をする隣人や、家の中での怪奇現象に悩まされることになる…
オチを言ってしまうと、夫ノーマンは女子大生マディソンと浮気をしており、妻クレアに浮気がバレるのを恐れて彼女を殺害、さらにマディソンを殺したことがクレアにバレたため、クレアも殺そうとする、という展開です。
驚くべきことに、あれほど長尺をとって意味ありげな演出を見せた隣人夫婦はストーリーにまったく関係ありません。
隣人夫婦のくだりは、ミスリード目的というよりは尺稼ぎですね。
序盤に大学の寮に入る娘との別れが長々と描かれますが、その後娘はまったく登場しません。
クレアは楽団のバイオリニストという設定なのですが、彼女が楽器に触れるシーンはまったく無く、随所に穴だらけの雑な脚本といえます。
クレアは怪奇現象に慄きながらも、「霊を呼び出す」目的で友人と“こっくりさん”もどきを始めるなど、さほど怖がっているようには見えないのです。
殺されたマディソンの亡霊が水面や鏡に映るシーンはジャパニーズホラーを思わせる怖さがあり、それがこの映画の唯一の見どころと言えます。
おどろおどろしい効果音の後クレアが振り向くと幽霊の顔、というシーンが何度か繰り返されるのですが、ミシェル・ファイファーにはホラー映画のヒロインに不可欠な恐怖に対する「溜め」の演技が不足しており、これはミスキャストだったかもしれません。
ミシェル・ファイファーの個性が発する情報量が多すぎて、幽霊の怖さが薄まってしまうのです。
ハリソン・フォードはお茶目でやんちゃなインディジョーンズ博士のイメージが強く、サイコな殺人鬼の役は今ひとつハマっていません。
彼はこの映画を機に役者としての新境地を開きたかったのかもしれませんが、失敗に終わったと言えます。
内容もさることながら、ミシェル・ファイファーとハリソン・フォードのイメージがホラー映画にマッチしておらず、これをニコール・キッドマンとマイケル・キートンが演じていたら少しはマシだったかもしれません。
隣家からなにやら「夜の営み」を行っているとおぼしき声が聞こえてくる。
ノーマンが窓を閉めようとするとクレアは「そのままにしておいて!」
「S●Xオリンピックでも始めるつもりかい?」
クレアとノーマンは隣家の夫婦に負けじとおっ始める…
午後ローを見ていていつも思うのは、アメリカ人夫婦というのは熟年になっても、若者に劣らないくらい精力的だという所です。
クレアとノーマンは実年齢と同じ40~50代だと思うのですが、アメリカ人の40代カップルのS●Xの平均回数は週2.8回だそうです。
これは日本人新婚カップルより多い回数なのです。
日本人夫婦は熟年になると寝室を分ける傾向がみられますが、アメリカ人夫婦の場合「夫婦なのに同じベッドで寝ないなんて信じられない」のだそうです。
アメリカは先進国では離婚件数もダントツに多い印象ですが「愛が無くなったら夫婦じゃない」→「離婚」となるのでしょうね。
世間的な建前や経済的な問題より、感情を優先している感があります。
私のような枯れた人間は、彼らのバイタリティをはるかに仰ぎ見るのみです。
「What Lies Beneath」(下に何かが横たわっている)という、意味が分かりにくい原題をそのまま邦題として使っているのも減点ポイントですね。
結局私にとっては「S●Xオリンピック」というパワーワードのみが脳裏に刻まれる作品でした。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★
午後ロー親和性★★★★★