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2019年「シティーハンターTHE MOVIE 史上最香のミッション」


公開 2019年
監督 フィリップ・ラショー
キャスト 冴羽獠 フィリップ・ラショー 香 エロディ・フォンタン

シティーハンターをフランス的に解釈するとこんなふうになるのかという感じです。
フランスでも日本のアニメや漫画は大人気でシティーハンターも絶大な人気があるそうなのですが、この映画の監督がシティーハンターのファンだったのかは甚だ疑問です。
クールな冴羽獠がただのエロいおっさんに描かれているのですから…

冴羽獠も香もビジュアルはほぼ原作の漫画と遜色無いくらい完璧ですが、単なるコスプレのように見えてしまいます。
シティーハンターの実写映画で無かったとしたら、単なるエロチックアクションコメディといった感じで素直に楽しめたかもしれません。
ドリフのような体当たりでわかりやすいギャグ満載で、思わず何度も声を出して笑ってしまいました。
下ネタ満載で、ミッションの内容が惚れ薬の香水を奪い合うというのもフランスらしいですね。
最後はシティーハンターらしくまとめていましたが…

この映画を見た人にぜひ比較して見てほしいのがジャッキー・チェン主演の1993年「シティーハンター」です。

冴羽獠をジャッキー・チェン、香をジョイ・ウォン演じているのですが、二人がとても魅力的で私は隠れた名作だと思っているのです。
ジャッキー・チェンは役に寄せる気などほとんど無く、ほぼ素の状態で演じていると思うのですが彼の身体能力と存在感が原作の冴羽獠を上回っているといえますね。
偉大な役者というのは原作のキャラクターを飲み込んで自分の物にしてしまうパワーがあるのですね。
ジャッキー・チェンはシティーハンターの原作すら読んでいないかもしれません。
ジョイ・ウォンもビジュアル的にも原作に寄せずほぼ素のままといっても良いかと思うのですが、とてもキュートで自分なりの香のキャラクターを作り出していますね。

そんな彼らが演じるシティーハンターなのですが、確かにシティーハンターの実写版を見たという満足感があるのです。


存在感が原作のキャラクターを上回るという例で思い出すのが ルパン三世の実写「ルパン三世念力珍作戦」での田中邦衛です。



次元大介を演じる田中邦衛は、黒のイメージがある次元をあえてベージュのスーツで演じるなど役に寄せる気などみじんも無いのですが、なぜか次元に見えてしまうのです。
彼も「ルパン三世」の事などなにも知らないと思います。

ちなみに私は近年実写化された小栗旬主演の「ルパン三世」はむしろこの「念力珍作戦」のようなコメディタッチで、あえてはずした感じで作るのが正解だったと思うのです。
あの「ルパン三世」を真っ向から実写化しても負けは見えていますよね。
ルパン役には小栗旬のような正統派イケメンより、大泉洋のような二枚目半の役者のほうが良かったのではと個人的に思うのです。

それを踏まえて考えれば、あえて振り切ってエロコメ風にしたこのフランス版シティーハンターは正解と言えるかもしれませんね。

エンディングはアニメと同じくTMNの「Get Wild」でしたね。大好きな曲なのですが特に歌詞の中の「一人では解けない愛のパズルを抱いて…」
が深くて素敵ですよね。

漫画やアニメを実写化するのは本当に難しい作業と言えますね。
特にこのシティーハンターのような大人気作品は最初から負け戦を覚悟して実写化する勇気が必要と言えます。

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