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蜃気楼に花を咲かす者3〜伝説の名を刻む時間〜

蜃気楼に花を咲かす者 3
〜伝説の名を刻む時間〜

流星   さて、、、開店準備が終わったよ、深哉さん、、、

深哉   そうか、、、じゃ、今夜も頼んだぞ
このホストクラブ蜃気楼を艶やかな花でいっぱいにしてくれ

流星   ふふ、はぁい、かしこまり、、、言われなくても、、、この店いっぱいに花を咲かせるのは
No.1の、この俺、流星だ!

(間)

深哉   いらっしゃいませ、ミユキ様、楽しんでいらっしゃいますか?
、、、そうですか、それはなにより、本日はお誕生日おめでとうございます。こちらのシャンパンは、わたくし、オーナー深哉からのプレゼントです。流星、、、あとは頼む。

流星   はぁい、了解、、さ、ミユキさん、シャンパンで乾杯しましょう。
、、、え、すっかりオーナーらしくなったって?
うん、、、だよね、深哉さん。意外にも経営者向きだったんだねー
それを見抜いてた翔さんは、やぱ、すげぇよなぁ、、、え?会いたい?ミユキさん、翔さんに会いたくなっちゃったぁ?、、、だよね、俺もだよ、、、あ、でもさ、こうして、ミユキさんが側にいるから、寂しくないけどね、、ふふ
ね、俺に、もっと飲ませてよ、、、その、あまーい、シャンパン、、、

(間)

深哉   お疲れ、、、ミユキさんは?もう帰ったのか?誕生日くらい、アフター付き合ってやれば?お前はさぁ、、、絶対、アフター行かねーよな。笑
アフターかわすテクニックは神業だな。

流星    えーーーだって残業大っ嫌いなんだもん。アフターに魅力感じるようになれば行ってあげてもいいけどねぇ、、、

深哉    笑、、、まぁ、好きにしろよ、俺はお前がきっちり店で働いて稼いでくれりゃ、文句はねーんだ、No.1の流星さん。

流星     笑、、、で、元No.1の深哉様は、今日もこれから例の場所?

深哉     そ、、、いつも通りな、、、

流星     あのさ、、、今日は、俺も連れてってよ

深哉     あ?なんだよ、、、珍しいな、、、お前、来るのはじめてなんじゃないか?

流星     まぁね、、、あの日から、今日で、十一ヶ月過ぎた、、、つまりは来月で丁度一年だ、、、
、、、前夜祭って、とこかな、、、

深哉    なんだ、そりゃ、お前は相変わらずワケの分かんねぇこと言うのが好きな奴だぜ、、、まぁいい、乗せてってやる、ついて来い。

流星    わぁい、やったー
ありがとう、深哉さんっ
ふふふ、だぁい好き

深哉     馬鹿か、ふざけんな、、殺すぞ。

流星     笑笑 ジョーダンだよ、ほんっと、いちいちおっかねぇなぁ

(間)

翔 (咳き込む)、、、ゲホ、ゲホ、、、はぁ、、また血、、、吐いちまった、、、あーぁ、もう、時間ないかな、、、ふふ。急がねーとなぁ

(ノックする音)

深哉 入りますよ、、、

翔 あ、深哉か、ちょっと待て(血を拭っている)、、よし入っていいぞ

深哉   ん?翔さん?どうした?なんか、、、顔色悪くない?

翔     えぇ?そうか?気のせいだろ

深哉 なら、、、いいけど、、、ところで、話ってなんだよ?もうすぐ開店だ、、、早く済ませてくださいね

翔 あぁ、そうだな、、、あのな深哉、俺さ、ちょっと旅行に行きたいんだよ

深哉 はぁ?なんだそれ、、、あんたはいつもなんだっていきなりだなぁ、、、
っても、、まぁ、あんた、ずっと働き詰めだしな、、、あんたが休んでるとこ見たことがねぇよ、、、旅行、、、いいんじゃない、、、

翔 うん、そうだろう、、、俺は働き者だからな、、、笑
でなぁ、、、深哉、、、この際まとめて休んでゆっくりしてこようかと思うんだ、、、
俺がいない間、、この店の仕切り一切をお前にまかせたいんだが、、、どうだ?やれそうか?

深哉     なんだよ、そんなに長い旅行に行くのかよ、、、あぁ、まぁ、仕切りならいつもやってっから、、、任せろ、、、で、どこへ旅するんだ?

翔    ふふ、それは、ひ、み、つ、、

深哉   なんだそりゃ、、気持ち悪ぃな、バカじゃねーの、で?いつから行くんだよ?

翔    来月の頭からだ、それまでには、お前が仕切りやすいようにきちんと整理しとく、、、頼んだぞ、、、深哉
お前に用はそれだけだ、、次、流星だ、、、話がある呼んで来てくれ

深哉    流星か、、、 OK、、、声かけてくるよ、、、じゃ、店、開ける準備してくる

(間)

流星    お呼びだそうで、、、翔さん?話ってなに?
ん?あれ、、、なんか、ついてるよ、、、それ血だよな、襟元、、、

翔    流星、、、お前はいつも目ざといなぁ、笑

流星   なんでそんなとこに血がついた?、、、あぁ!あれか!

翔       ん? 笑

流星    わかった!鼻血だな!翔さん!なんかエロい事考えてたんじゃねーの?笑

翔    笑、まぁ、そんなとこだ
流星、お前のその生めかしい艶のある唇のこと考えてたんだよ

流星    笑、、へぇマジで!
、、、で、鼻血?
うっそ、、、、今、かなり痺れたわ、胸キュンしたって感じ、、、笑
翔さんが俺のこと考えて鼻血出すとかヤバいよ
俺のほうは鼻血じゃなくて別のなにかが出ちゃいそう、、、、笑、、、まぁ、ジョーダンこれくらいにしとくわ、、、話は?なに?早く聞いてフロア戻らねーと、
鬼のNo.1にまた舌打ちされるからさぁ、、、

翔     あぁ、そうだなぁ、流星、、、あのな、、、実はな、、、あんまりデカい声じゃ言えねーから
もっとこっち来い

流星   なに?なんだよ、もっと側に行くの?、、ふふ
変な事、、、しないでね

翔    残念だな。笑  俺は商品には手、ださねーんだよ。

流星    へぇ、、じゃ深哉さんは、、、やぱ、特別なんだ、、、ふふ

(間)

翔    ゆっくり 見上げると夜空はこんなふうなんだな、、、ずっと馬鹿みたいに走り続けてきたからな、、、こんなふうに夜空見上げるの、どれくらいぶりだっけなぁ、、、はぁ、センチメンタルになって、笑、、、伝説のホスト翔がか?笑っちまう、、、

深哉     翔さん!

翔    深哉、、、

深哉 、、、馬鹿!!

翔     笑 なんだよ、いきなり、久しぶりに会って開口一番のセリフがそれかよ、、、まったく口が悪いったらねーなぁ相変わらず、No.1の深哉様は、、、

深哉    あんたさ、、、何考えてんの?俺があんたをどんだけ探したと思ってんだ!?
ちょっと旅行するって消えて、、、それから、いつまでたってもあんたは帰らなかった!
どこを探してもみつからない!

翔    、、流星から手紙、受け取ったろ?ちゃんと読んだか?

深哉    あぁ、あのクソひでぇ内容の手紙か、自分は引退して俺に店を譲るなんて、あんなもんわなぁ、読んですぐにびりびりにやぶいてトイレに流してやった!
それから、あんな手紙を預かったのに、あんたを止めもしないし俺にすぐ知らせてもこない流星の奴はしばらくまともに歩けねぇように絞めてやったからなぁ!

翔    はぁ!?
お前、なんてことすんだよ!流星には俺がキツく口止めしたんだぞ、あの子はそれを守っただけだろう、かわいそうに、とんだトバッチリだ、、、流星は?今どうしてる?まさか、蜃気楼辞めてないだろうな!

深哉   辞めてねぇよ、、そんな汐らしいタマじゃねーだろ、あの野郎は、今じゃ、ホストクラブ蜃気楼のNo.1だ、、
アイツは悪魔だ、、ワザと煽ってボロボロになるまで俺に殴らせやがった、そして、その後、アイツはこう言った。

流星「、、、あぁ、痛ってぇ、、、はは(笑)
深哉さん、、、よくもやってくれたなぁ、しばらく身体使いもんになんねぇな、、、
訴えてもいいけど、そんな事したらこのホストクラブ蜃気楼はどうなるだろうなぁ
オーナーは謎に疾走、おまけにNo.1のホストが後輩ホストをリンチ、世間を賑わす話題になるよね、、、なんせホストクラブ蜃気楼は伝説の、、、あのホスト翔が開いた店だ、、、みんながこの事件に食いつく。
あーあ、この店大丈夫かなぁ?、、、笑、深哉さん、観念しなよ。
手紙に書いてあったろ?
翔さんは探さないで欲しいんだ、、、そして、この店はアンタに譲るってな、、、それ、アンタがやるって覚悟するなら。俺はあんたに死にそうになるまでボコられた事、忘れてやるよ、アンタはホストから足を洗え、そしてオーナーになるんだ心配すんな、No.1は、、、俺が代わってやるよ」

(間)

翔    深哉、勘違いすんな
流星は、、、

(被せるように)
深哉     分かってる。流星がワザと言ってることくらい、、、あいつは、俺の迷いや未練を絶たせる為にワザと悪魔になった、、、最初はイケすかねぇ野郎だと思っていたけど、この半年間、ずっとアイツを見ていて分かったさ、、、あいつは本当はもの凄く気のまわるいい奴だってな

翔    はぁ、、、よかった
、、、うん、お前と流星は上手くいかないはずはないんだよ、なにせ、、流星は若い頃の俺にそっくりだからな、、出会った時のあの子の目は昔の俺と同じだった、、やること成すこと考え方、よく似てやがった。だから流星に託したんだ、お前をな、、、
俺にそっくりな奴とならお前は絶対になにがあっても生きていける。
、、、それは間違いないからな、、、出会ってからずっと俺とお前が最強のコンビだったようにな、、、

深哉    、、、翔さん、、
あと、どれくらいなんだ?

翔    、、、笑、、、さぁてな一年後かもしれねぇし、今夜、、かもしれねぇ、、、

深哉   バカ、こんな時にまでふざけんなよ、、、はぐらかすな!真剣に答えろ!

翔   、、、クスクス(笑)医者は、、こないだ長くて3ヶ月、短くて1ヶ月て、、、言ったかな、、、、、って、、、おい、、、深哉、、、どうした、、、笑、珍しいなぁ、お前から俺に抱きついてくるなんてな、、

深哉    翔さん、、なんでだよ、なんで病気なんかになるんだよ、あんたは!化け物だ、あんたは死神だ、、、死神が病気で早死なんて、、笑っちまうぜ、、、なぁ、、、
嘘だよな?いつもみたいに俺をからかう悪いジョーダンなんだろ?
、、、そう、、言ってくれよ、、、

翔    、、、深哉、、、ふっ(笑)、、、あぁ、そうだよ、悪ふざけしてるだけさ、、、俺は不死身、、、伝説の翔様だからな、、、さ、心配するな、、もう、、、帰りな、、、店が、、、ホストクラブ蜃気楼が、、ホスト達が、、深哉、お前を待ってる、お前がいなきゃ蜃気楼はダメになる、、、わかるな?、、
あの店は俺だ。俺の命そのものだ、、、お前はそれを魂をかけても守ってくれ、、、頼むよ、、、No.1の深哉様。

深哉   、、、だからさ、、俺は、
もうNo.1じゃないんだよ、、、

翔   ふふ、、、No.1はたった一人だ。俺にとっては後にも先にもNo.1の伝説のホストは深哉、、、お前しかいない、、、
ばぁか、、泣くな、、、俺にそんな か弱い姿見せていいのか?無防備だなぁ、、
泣き止まないとキスするぞ、、、

深哉   、、、じゃあ 、、、涙が蒸発するくらい熱いやつにしてくれ。何にも考えられないくらい真っ白に吹っ飛ぶくらいにな、、、

翔   かしこまりました。
No.1の深哉様、、、

(間)

流星     はぁ、寒っ
夜の墓地って寒すぎる、風、強いなぁ、、、そう言えばさ、俺が翔さんとはじめて会った夜も、風強かったなぁ

深哉   へぇ、そうなんだ
翔さんは一体なんでてめぇみてぇな薄気味悪いガキ拾ったんだかなぁ、、、笑

流星   そりゃあさぁ、一目惚れってやつさ、、、
目と目があったあの瞬間を、、、俺は死ぬまで、、、いや、死んでも忘れない、、、まるで何か人じゃないものに魅入られたみたいに身動きがとれなくなった、、人に見つめられてあんなにドキドキしたのははじめてだったな

深哉   ふ、、、てめぇも翔さんに取り憑かれたクチかよ、、、あぁ、そうだな、あれは人なんかじゃない、、、

流星   まるで死神、、、

深哉   あぁ、そうだ、あれは死神だ、、、死にそうな奴を天国に誘う、、死神だよ、、、

流星   死神は、、、空から見てる。いつも俺を、そして、あんたをな、、、だからさ、、そんな、辛そうな顔すんなよ、、、あんたの辛そうな顔みるの、、、好きじゃねぇ、、、

深哉   笑 なんだ、お前?今日はヤケに可愛いセリフ吐くじゃねえか?
寒すぎて頭までかたまっちまったか?
気持ち悪ぃんだよ
てめぇがそんな態度にでると、、、

流星   笑笑、、、ジョーダンだよ、、、見てわかんない?
ちょっとふざけただけさ、、、オレはさぁ、深哉さん、あんたの苦痛に歪んだ顔みると、ゾクゾクすんだよ、、、笑
だからさぁ、これからも、いろんな苦労しょって悶絶してくれよな、、俺は、そんなアンタを傍でずっと見て笑ってやるからさ、、、

深哉   ちっ(舌打ち
)ふん、、、薄気味悪い野郎だぜ、まったく、、、あぁ、目ん玉しっかり見開いて
その魂にまで俺を焼き付けて生きろ!
この伝説のホスト蜃気楼の深哉様の生き様をな!

流星    ふっ、、、はぁい
かしこまりぃ伝説のホスト深哉様。

深哉   翔さん、、、あんたがこの世から消えて
もうすぐ一年だ、、、
、、、ほら、心配すんなこうして墓参り、、、
あんたの大のお気に入り流星と来てやったぜ

流星   翔さん、心配すんな、あんたが惚れこんだ男、ホスト深哉は俺が見ていてやるよ、、、嫌ってほどずっとな、、、

翔   深哉、流星、、、頼んだぞ、蜃気楼に美しい花を満開にしてくれよな!

流星   あれ?今、翔さんの声がした、、、

深哉    バカか?てめぇは!、、、って言いたいとこだが、、、あぁ、確かにな、、、

流星    翔さん、、、まかせろ、明日もあさっても
ホストクラブ蜃気楼に花を満開に咲かせるのは

深哉   この「俺たちだ!」

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