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錦秋十月大歌舞伎「文七元結物語」 

「寺島しのぶは女形に交じると声が細い」という劇評を見たけれど、そんなことはなかった。むしろ、現代劇の役者さんが歌舞伎にでた時に発する平板な台詞回しが全くない。世話物のイントネーションが体に入っているんだなぁ、とびっくりした。やはり、歌舞伎だけは世襲が必要な気がする。
舞台そのものは、従来の歌舞伎とも落語とも違って、角海老の店先から始まる。回り舞台を効果的に使おうとしていたし、美術も通常の座敷や長屋とはちがっていて面白いところもあったが、効果音が耳障り。宇宙からの交信のようなキーンという音を流す場面が二箇所ほどあったが、歌舞伎にも歌舞伎座にも不要。事故レベルだった。

女性が歌舞伎に出るのが良いか悪いか分からないが、世話物だけでなく時代物でも寺島しのぶを見てみたい。先代萩の政岡なんか良いかもしれない。

三階のフロアでひさしぶりにお見かけした富司純子さんは相変わらずお美しかった。

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