最近の流行と隻手音声
雀松朱司
「仕事、はかどってるかい?」
玄野武宏
「天気のせいもあるかもしれないが、あんまり、はかどっていないよ。」
雀松朱司
「仕事も遊びも極めてこその、この事務所だ…」
「一見、遊びに見える事も、動画配信やゲームレビューをしてくれれば立派な仕事だ。」
「気分転換も兼ねて、ちゃんと報告してくれればむしろ、大歓迎だ。」
玄野武宏
「今日は、寒くてそんな気分にもならないよ…」
雀松朱司
「だとしたら、しっかり休む事だ。」
「上手くいかない時は根詰め過ぎない方が良い…」
「しかし、遊びを極めようと思えば、勉強する事も合わせて必要になるんだよな。」
玄野武宏
「そうだよな、遊びも仕事もちゃんと生き生きとやれてこその社会人だよな。」
雀松朱司
「今の世の中、兎角一辺倒になりがちだからな。」
玄野武宏
「因みに、俺がはまっている大航海時代は…」
「地理や歴史に関する勉強にもなるから、こうしたゲームも馬鹿にはできないと思ってる…」
「でもさ、ゲーム配信にしても、うちの事務所はFPS系に偏ってるからなあ。」
「あと、ネットとかリアルの両方のカードゲームだと、シャドウバースに遊戯王かな…」
「そして、最近は、ポケモン系のゲームやアプリが加熱しているよな。」
「トレーディングカードゲームのカード自体が最近の投機筋だな。」
「今や、株式は投資・投機の対象ではなくなりつつある。」
雀松朱司
「大分、遡るが、昔はチューリップなんかも投機対象だったよな…」
「それが今や、トレーディングカードなんだよな…」
「にしても、昔も今も、投機ものは無くならないものだな。」
玄野武宏
「それだけ、投機したり収集する事自体が俺たちの本能に組み込まれているって事じゃないのかな?」
雀松朱司
「知ってるか?ホモ・サピエンスは、賢い人と一般には訳すが、貪欲な人とも訳す。」
玄野武宏
「その賢さは、何によってもたらされているのかを今一度、見つめ直す必要があるな。」
雀松朱司
「食っていく為とは言うものの、自分自身が抱える欲望が如何に漠然としたものかを思い知らされる。」
玄野武宏
「それって、周りの思惑に踊らされているだけなのかもな。」
「なんだか、貪欲さも過ぎれば、愚かなものだな。」
「ああ、禅語の中に、大愚は大賢に勝ると言う言葉がある。」
雀松朱司
「自分自身が愚か者だと、自覚した上で、卑屈にならずに精進する事が結果に繋がるって話だろ。」
玄野武宏
「昔は、仏に会えば仏を殺し、師に会えば師を殺せなどと、物騒な言葉があったが…」
「この言葉、誤解を与えやすい言葉だけど、この禅語の本質は何なのか分かるかい?」
雀松朱司
「結局、自分自身で答えを出して行動し、選択し続けるしかないって事だろ?」
玄野武宏
「良いねえ、打てば響く拍子木の様な答えだな。」
「さて、その拍子木にも関わりのある問答をもう一つ。」
「その拍手、右手で鳴らしているのか、左手で鳴らしているのか?」
雀松朱司
「この問題は、隻手音声に因んだ問答だろ…だから俺自身の考えを敢えて言うぞ。」
「その両手が揃っているから鳴る事もある。」
「右手で鳴らす事もある、また左手で鳴らす事もある…」
「ただ、その両手が揃わねば、ここまで心地良い音は鳴らぬ。」
「物事の中で出会いというものが、どれだけ大切なのかを問いかける設問だと俺は思う。」
「だからこそ、この問いは、人の数だけ答えはあると思っている。」
「決まり切った答えなんてあってない様なものだ。」
「大切なのは、答える自分自身と問いかけた相手が納得できるかなんだ。」
玄野武宏
「恐れ入ります。正しくそうだよ。」
「あれっ、最初に話そうとした話題と全然違うわ…でも、こう言う話題も好きだけどな…」
雀松朱司
「随分話し込んでしまったな…なんだかんだで終業時刻近いぞ…」
「ちょっとタイムオーバーしても良いから、丁寧なレポートの仕上げ頼むよ。」
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