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校正作業・校閲作業について

玄野武宏
「新人の原稿預かったんだけどさ…」
雀松朱司
「最近の新入りは、誤字脱字は普通だよな。」
玄野武宏
「Twitter慣れし過ぎていると言うか…」
雀松朱司
「確かにTwitterは文字数制限があるから…」
「ネタの部分もあるし、より短い文面で今の気持ちを的確に素早く表現したいが為に…」
「敢えて、誤字脱字してる部分もあるよな。」
玄野武宏
「それを一般誌面に持ち込まれても困る時があるな。」
「あと、Twitterに限った話じゃないんだけど…ネタパクリを無意識にして…」
「その後のチェックを忘れると、それこそ訴訟や回収騒ぎにもなる。」
雀松朱司
「それだけに校正・校閲の仕事は馬鹿に出来ないんだ。」
玄野武宏
「この前にも著作権にまつわる話をしたが、他の作品を無断借用していないかとか…」
「許可が取れたにしても、引用文献の正確性も担保しなければならない。」
「まあ、誤字脱字が残っている初版本が時代背景や作者の人生観、校正・校閲者の腕を見る上で…」
「却って、プレミア扱いされる事もあるんだよな。」
雀松朱司
「ちょっと脱線気味だな…校正作業・校閲作業についての話に戻ろう。」
玄野武宏
「コホン…本題に戻すぞ。」
「校正の場合は、ただ、誤字脱字を無くしていく事に主眼が置かれる事が多いが…」
「表記揺れ…同じ作品中に同系統の意味合いの言葉で表記がばらついている時の表記表現の統一も」
「校正作業の中に含まれる。」
「なお、校閲の場合、どうしても校正作業も合わせて行う事になる事が多い。」
雀松朱司
「原作者の個性を失わずに、如何に正確に物事を伝えて行くか…」
「校閲者の腕が試される部分でもある。」
玄野武宏
「最近は、校閲者を敢えて記載しないのが普通だが…」
「敢えて、原作者と校閲者との信頼関係を示す為に校閲者を記載する書籍もある。」
雀松朱司
「それだけ、校閲者の役割が重要だという事だな。」
玄野武宏
「戦国時代までは写本が普通だったから、改竄や誤転記なんてのはざらにあった。」
「むしろ、昔の方が普通に2次創作されていたと考えるのが自然だろうね。」
「江戸時代になって、版画や版本が普及し始めて…」
「ようやく版元が薄っすらと著作権の必要性に気付いたんじゃないかな。」
雀松朱司
「尤も、著作権法自体は、印刷技術・出版技術が先に発展したヨーロッパの方が先だね。」
玄野武宏
「知識の急拡大が保証されるにつれて、合わせて原本の重要性が増したという事だろうね。」
雀松朱司
「著作権法の変遷は、まさしく情報保存・情報共有技術の発展の歴史とも言える。」
玄野武宏
「日本でも原作者意識と言うもの自体は古くからあったろう。」
「でも、大量に製本出来ない時代に、写本などを気に病む必要性がなかったとも言える。」
「従って、ファクトチェックも昔はかなり緩かっただろうね。」
「そういう中で、噓や噂が歴史を動かす側面はあったろうね。」
「だからこそ、歴史史料が保存される事が大切なんだ。」
雀松朱司
「ちょっと別の話になるが、図書館の位置付けも、校正・校閲とは無縁ではないだろうね。」
「原本を保存する事で、如何に原作者の意図を汲み上げていく事が出来るのかにも影響するからね。」
「そんな中、司書の役割が、なおざりにされている現在の風潮にも危惧を覚える。」
「だからこそ、時代が下れば下る程、校閲者の責任は重くなってきてるだろうね。」
玄野武宏
「他にも校正作業・校閲作業について触れたい気もするが…」
「今日の辺りは、これくらいだろうな。」
雀松朱司
「新人の原稿と併せて、この校閲作業についてもまとめておいてくれ。」
玄野武宏
「どんだけ、調べものすれば良いのか知ってるのかよ…」

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