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怪説~モノノケガタリ~第10話

惟嶺
「千里…
  何で戻って来てるんですか…」
千里
「現世との縁がまだ深いからでしょうね…」
沙彦
「惟嶺…
  そなたの身の内に余所者が飛び込んでおれば…
   千里が飛び込もうとしても…
    はじき出されるか…
     そうでなくても何がしかの反応が得られると思ってな…」
千里
「沙彦を手助けしたいと思ったのも確かですし…
  惟嶺…
   あなたの事も心配で戻ってきてしまいました…」
響子
「沙彦さん…
  ちょっと場当たり過ぎませんか…
   惟嶺さんの心身の負担も未知数ですし…
    複数の意志を一つの身体に押し込めるのは…
     それ相応の負担があるのですよ…
      ましてや対立関係にある存在を押し込めれば…
       身体状態にも悪影響を及ぼすのですよ…」
沙彦
「済まない…
  でも…
   このままでは手詰まりなんだよ…」
惟嶺
「嫌とは言えない感じですね…
  沙彦さん…
   これは貸しですよ…」
沙彦
「響子…
  惟嶺へのトランスの手助けを頼む…」
響子
「千里…
  今一度そなたの力を借りる…
   惟嶺に所縁を結び千里万里を駆けて見た景色を彼にも見せよ…」
千里
「ちょっと待ってください…
  もしかして…
   今回は魚群探知機みたいに使おうとしてませんか…」
沙彦
「知識も今時だな…
  そうだよ…
   波を立てれば…
    不自然に搔き消される波の場所も出てくる…
     八卦鏡が使えなきゃ…
      その代わりになるものを用いるだけだ…」
響子
「もしかして…
  意図的にハウリングを起こして…
   反響を調べようという訳ですか…」
惟嶺
「相変わらず乱暴ですね…
  この件終わったら…
   ちゃんと請求しますからね…」
沙彦
「みんな…
  お見通しって訳か…
   なら…
    話は早いな…
     放っておけば放っておいたで…
      高くつくし…
       やったらやったで…
        決して安くないツケを清算しなきゃならない…
         命あって戻れたらそれ相応のものは支払うよ…
          しようがないとは言え…
           これからも物入りだな…」

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