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名状しがたいものを伝える

玄野武宏
「俺らの仕事って、もしかしたら言葉にしにくいものを敢えて言語化する事なんじゃと思い始めてさ。」
雀松朱司
「確かにそうだね。」
玄野武宏
「言い知れようのない感情もそれに近い表現をしてやる事で昇華するというか…」
雀松朱司
「それでもまだまだピッタリの言葉が見つかっていないのもあるけど…」
玄野武宏
「少しずつ形にしていく過程とかも大切だと思う。」
雀松朱司
「自分自身にとってはピッタリくる言葉でも、他人からしてみれば、違和感としてしか受け取ってもらえない言葉もあるし…」
玄野武宏
「そもそも概念として…そう言う言葉がある事自体を否定したくなる様な言葉もある。」
雀松朱司
「悲しい事も時には伝えていかなければならない。」
「それを知ってもらう為に、耳をふさぎたくなるような言葉も自分自身で、時には呟いていかなければ」
「それをちゃんと知ってもらう事すら出来なくなる。」
「美辞麗句だけでこの世の中の素晴らしさだけを伝えれたら、どれだけ楽かしれない。」
玄野武宏
「でも、そうも言ってられない世の中だよな、少なくとも今は…」
「昨日よりも今日の方がマシな世の中になるように、微力でもやるべき事はし続ける…」
雀松朱司
「先ずは、その題目を唱えない事には始まらない。」
「その上で私たちが何を今、伝えるのか、形にしていくのか…」
「綺麗事じゃないんだ…時に不細工になっても、そのまま出すしかない時なんてしょっちゅうだ。」
玄野武宏
「日々、試行錯誤、挑戦って事だよな。」
雀松朱司
「周りの歓心を得たいのは事実だ。」
「だがそれ以上に…自分自身がその時その時で最善を尽くしてこれたのか…」
「その時の最適解が出せたのかは自問自答し続けている。」
「そして、一歩ずつでも高みへと近づけているのか…」
「振り返りたくなるのはいつもだよ。」
玄野武宏
「振り返る事が悪いとは言わねえ…」
「でもそれも一歩ずつ前に進む為のものだろ…」
「そう言う所で、俺たちは容易く手段と目的を逆にしちまう。」
「酷い時には手段ばかりにこだわって目的を見失うなんてしょっちゅうだな。」
「上手く行っていない時にそれをやっちまうとドツボなんだ。」
「そう言う時ほど大空見上げるんだよ。」
「ピントをちゃんと合わせられる様にな。」
「一瞬でも良いから、思考をほおり投げて力を抜く…」
「ドツボにハマってる時は力入れなくていい所に力が入っている。」
「そう言う時の力の抜き方は自分自身でも忘れている事がある。」
「友や師はそう言う時いてくれると助かる。」
「自分自身を客観視してくれる存在ってのが大切なんだよ。」
雀松朱司
「真っ直ぐに行くのが、必ずしも近道でもないし…」
「何なら早く辿り着く為には時に邪魔になりかねない考え方である。」
玄野武宏
「寄り道、脇道も手段に応じて辿っていくのさ。」
雀松朱司
「釈迦に説法かも知れないが、それでも敢えてこうした事を伝える意味はある。」
玄野武宏
「何より俺たち自身が現在位置を確かめる為にもだろ。」
雀松朱司
「自分の方が道を知ってるからといって、聞いて確かめない奴がいるかって話だ。でもたまにいるな…そういう奴…」
玄野武宏
「そう言う奴ほど、道に迷う気がする。」

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