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北海道が好きになったわけ11

北海道は訛りがほとんどない。というか、北海道の人は自分達は訛ってないと思ってる。

「ほれ、訛ってなんかないしょや〜」

って思いっきり訛りながら話すオッチャンはそこらにいっぱいいる。まぁ、それでも何言ってるのか分かるので不便に思ったことはほとんどない。

それでも幾つかはある。
引っ越してきてまだ間もない頃。
大家さんに、ゴミはどうしたらいいか聞いたら

「ゴミかい?なげといて」って言われた。
ん?投げる?どういうことだ?とは一瞬思ったけど、ふと窓の外を見るとすぐ目の前に電柱が立っていて、その根元がゴミ捨て場になっているようだった。
「あ、そこに投げればいいのか」と2階の窓からゴミ捨て場目掛けてポーンとぶん投げた。
そしたら、そこに大家さんが歩いて来て

「コラ!2階から投げたら危ないしょや!」
「え?さっき投げておいてって」
「なげろとは言ったけど、投げろとは言ってね!」

???
少しして「なげる=捨てる」と言うことが分かった。ちなみにゴミ捨て場はなぜか「ゴミステーション」と呼ばれている。

他にも衝撃的だったのが「なまら=とても」。 「なまらカッコいいしょ」というように使う。その上になると「なんまらカッコいいしょや!」になる。最近の若い道産子はあまり使わないみたいだけど、僕がこっちに来た頃の若者達は普通に使ってた。
それから「うるかす」。「そのお茶碗、うるかしておいて」のように、「水につけて、ふやかしておいて」という時に使う。これも初めて言われた時はどうしたらいいのか分からなかった。

「ばくる」もそうだった。若い女の子に「それいいなぁ。ばくって」って言われた時、頭に浮かんだのは「爆る?」「漠る?」ま、まさか「泊る?」ってプチパニックだったな。

あと、何故か過去形にすることが多くて最初のうちは違和感を感じてたっけ。
「ご注文はおきまりでしたか?」
「◯◯さんはいらっしゃいましたか?」
のような感じ。
「お決まりですか?」
「いらっしゃいますか?」が普通だと思っていたので「何で過去形?」って思ってた。

そんな感じで日々なんとなくムムってなってたんだけど、ある日、青森出身の沢村君に故郷の友達から電話があった。
その当時は携帯電話なんて無くて、アパートの共有スペースにピンクの公衆電話があった。

「沢村〜、友達から電話だよ〜」
「はい、ありがとう。もしもし?おー!€$€#/&〆☆♪∫¿∞√⁂?」

のんびりとした午後は沢村の得体の知れない言語に破られた。共有スペースでくつろいでいたヤツらは皆んな目を合わせて「今のなんだ?」って顔を引き攣らせていた。そんな中、沢村はなおも楽しそうに話しら続ける。

「!€$€#/&〆テニス☆♪∫¿∞√⁂スキー」

ところどころカタカナは判別できるが、他は全く何を言っているのかわからない。行ったこと無いけどフランスの南プロバンス地方の人はこんな感じで話していそうだった。知らんけど。

後で沢村に聞いてみると、青森の中でも特に訛りのキツい五所川原という地域独特の方言とのことだった。

青森に比べると北海道の方言は確かに訛ってるとは言えないのかもね。


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