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北海道が好きになったわけ30

夏合宿、最終日の1年vs2年の試合を翌日に控え、本来ならもう寝ていなきゃいけない時間に、僕ら1年生は先輩達に日本酒をたらふく飲まされ、気がついたら自分以外の1年生が居なくなっている。
去年は飲まされまくった1年生の1人が、スリッパのまま海まで逃げてたらしい。

去年そんなことがあったのに、よく寝てられるな、山里さん。。。

まず、玄関の鍵をチェックすると開いていないので、どうやら誰も外には行っていない。となるとまずはトイレか。

トイレに行ってみると個室の扉が一つ閉められ、中から盛大に吐いている音がする。コレはバンド小僧の音尾ちゃんかな?

「音尾ちゃん?大丈夫?」
「うううううえっ!えろえろえろえろ」
「あ、喋んなくていいよ。全部出しちゃいなね」

とりあえず音尾ちゃんは確保。残り2人だ。

しばらく館内を探していると

「wwwwww おい!シャケ!コッチこい!」
「谷中が階段の踊り場で変なことになってるぞ! www」

駆けつけてみると、確かに踊り場に谷中ちゃんがいた。横倒しになった状態で、満面の笑みを浮かべながらゆっくりと走っているように足を動かしていた。

それを見て先輩達は大笑い🤣

「谷中がフニフニしてるー!🤣」
「谷中!何してんだ🤣」

後日、谷中ちゃんにその時のことを覚えているか聞いてみると

「いや〜、シャケさん1人になったでしょ?だから俺も戻らないとって思って一生懸命に走ってるのに全然前に進まない感じだった」

戻って参戦しようとしてくれてたのか。そういうところが皆んなに好かれるんだよね。

さて、残る1人は小浜だ。結構、酒強そうなこと言ってたけど、随分と早めに消えてた気がする。どっかで寝ちゃってないかな。

すると、さっきまでトイレで「エレエレ」吐いてた音尾ちゃんが、千鳥足でやってきて

「小浜が大浴場の方に行くのを見た」と言ってまたトイレに戻って行った。

海もヤバいけど同じ危険性は大浴場にもある。浮いてないといいけど。多少の危険性を感じたのか、先輩達も小走りで大浴場に向かった。

「小浜〜、どこだ〜。返事しろ〜」
「とりあえず浴槽には居なかったわ」

と、陰になったスペースの方からイビキが聞こえてきた。急いで行ってみると、いた。小浜だ。

近づくと、何やら小浜の前に3本の柱のようなモノが立っている。どうやら自立式の灰皿のようだ。と、その中に3つともゲロが並々と入っている。床を見るとこぼしては居ないようだが、3本の灰皿の縁ギリギリまでゲロ。

「コイツ、器用だな〜」
「さすが国体行くだけあるな」

とりあえず、ここで寝かすわけにはいかないので先輩達と一緒に小浜を担いで部屋まで運んだ。その時点で夜中の2時頃。明日試合もあるって事でようやく眠りにつくことが許された。

翌日、1年生は完全な二日酔い。なのに先輩達は朝飯をおかわりするぐらい超元気。死んだようになっている僕ら4人を見て

「ほら、コレで勝ったな!」
「とにかく1年に負けたくないからな」
「どんな状況でも勝ちは勝ちだからな」

と楽しそうにしている。

結果はボロボロ。実力的には谷中ちゃんだったら村岡さん以外には負けそうもないのに、全敗していた。もちろん、小浜も僕もボロボロ。
サーブ打とうとしてトス上げて上向くと「グエッ」ってなるし、レシーブしようとサーブ待ってるとボールが2個に見えるし。

そう言えば、バンド小僧の音尾ちゃんはテニス初心者なので、酒で潰される必要はなかったのに完全にトバッチリだったね。

「よし!コレで俺達の方が強いって事だな!気持ちよく帰ろう!」

負けず嫌いの先輩達にコテンパンにやられて、とにかく酒に強くなろうと誓った。そして来年も増毛の合宿所で雪辱を。。。と思ったら、のんびり歩いて来た山里さんから衝撃的な一言が。

「おい〜、お前ら何してくれてんだよ〜。風呂場の灰皿はゲロで一杯だし、トイレもゲロまみれだって。『2度と来ないでください』って言われたぞ〜」

はい、出禁がまた1箇所増えました。

来年の合宿はどこになるんすかね?山里さんも日本酒とか持ってこなければこんな事にならないんすよ?

つーか、これ合宿する意味ある?



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