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北海道が好きになったわけ14

当時の北海道はヤンキーファションが多かった。たぶんビーパップハイスクールの影響だと思う。札幌は都会なのでそんな事はなく、ほぼ東京と同じように古着とかが流行っていた。
けど、北海道第2の都市・旭川に行くと様子が変わる。

夕方、通学バスから降りてくる高校生はほとんど短ランにボンタン。ガタイのいい、いかにも喧嘩強そうなヤツは勿論のこと、ちっこくてほっぺが赤い真面目そうな可愛らしい男の子もリーゼントに短ランにボンタン。たまに短ランの上にGジャン。とにかく皆んな同じファッションだった。

僕が通った教習所の受付の女の子もそうだった。ショートカット で目のパッチリしためっちゃ可愛い子だった。けど、ヤンキー系。

一度、雨がひどく降っていた時、近くの駅まで車で送ってもらえることに。
チャンス!この機会にガッツリ仲良しになろう!と思って車が来るのを待っていたら、そこにやって来たのは、女の子っぽい軽自動車とか小型車じゃなく、真っ黒なグロリア(シャコタン)。エンジン音も重低音でイカつい音。僕の前に停まるとウイーンと窓が開いてアゴでクイッと「乗んなよ」。
それ以来、舎弟のような扱いになりました。

教習所は非公認の為か、普通の教習所では味わえないような体験がたくさんあった。初日に仮免Aコースを走っただけではない。オトリ犬がいた。

教習所内のコースを走っていると急に飛び出してくる犬。いつも嫌なタイミングで嫌な場所から飛び出してくる。ブレーキが遅れると助手席の教官にブレーキを踏まれ怒られる。でも轢かれることは決してない。そう調教されてるに違いない。

それから、なぜか教習所に薬莢が落ちている事があった。そう、銃弾を発射する時に出る薬莢だ。エアガンで戦争ゲームとかしてるヤツが夜中に教習所にもぐりこんだのか?
しばらくの間は疑問に思っていたが、その訳はある日明らかになった。

その日、少し早めに教習所に着いた僕は、教習車に乗る順番を外にあるベンチで待っていた。よく晴れていて穏やかな日。ベンチで少しウトウト仕掛けたその時。教習所の向こう側の小高い丘の方から鋭い掛け声が聞こえた。

「構えーーーーーーー!」
「は?え?え?」

丘の上に、ザンッと20人くらいの迷彩服が一斉に立ち上がる。僕だけじゃなく、同じく教習車を待っていた生徒達も目を丸くして丘の方に注目したその瞬間。

「てーーーーーーーーっ!」

掛け声と同時にタタタタタタタタッ!と何台もの機関銃から発射される乾いた鋭い音が鳴り響く。そして、足元に薬莢が転がってきた。

「あぁ、隣、自衛隊の演習場だから」
だから何?文句あんの?とでも言いたげな目つきで例の可愛いヤンキー受付嬢に教えて頂いた。

その後、仮免試験の踏切発進で、ギアを1速に入れるところ誤って3速に入れてしまったものの、思いっきりフカして気合いで踏切を渡りきって仮免合格したり、路上教習で教官とプロ野球の話で盛り上がってたらスピードを20キロオーバーしてたとか、あまり普通の教習所では体験できない体験をさせてもらい、無事に免許を取得した。

免許をとったその日。嬉しくって、初めてラムダ号を運転し夜中にドライブに行き、明け方まで走っていたら、近くの山の山頂から朝日でピンク色に染まる雲海を見る事ができた。ピンク色に光る雲の海から、山の頂が島のように飛び出していた光景を今でもハッキリと覚えている。たまにハッとするような景色が見れる北海道は本当に素晴らしい。

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