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『「傷つきました」戦争 超過敏世代のデスロード』(カロリーヌ・フレスト)

 訳者あとがきによると、原題は「傷つけられた(と感じる)世代 ー文化の統制から思想の統制へ」という意味のフランス語だそう。当然かもしれないが、原題のほうが本の内容に近い。

 正直、消化できていなかった、藤井風の動画をめぐる問題がこの本で理解できたかもしれない。(※動画削除の判断は理解したし、本に全く同じ事例はない。)
 黒人差別となる言葉が含まれている歌を黒人が歌うのは良くて、黒人以外が歌うのは、どんなにその歌が好きでも許されることではないという、主にSNSでの意見に驚いたのが昨年のこと。そして私はその感覚を知らず、息子はなぜか知っていたことにも驚いた。ふれてはいけないのにどうやって知れば良いの?と怖くなった。

 本でわかったのは、表現するかぎり、有名人でも一般人でも、常に類似の批判にさらされる世の中になったようだということ。差別や揶揄の意図がなくても。
 でも委縮したくないなと思った。