2.この手で選ぶ未来

 たどたどしく意思を主張できるようになった子供が小銭を握りしめ駄菓子屋に行く。それは彼が一人で接する商社会である。店に着きずらりと並ぶ菓子を見つめ、傍らに親はいない。そんな時に見上げる店主は無条件に優しい存在とは限らない。怖さが入り混じりながらも、目の前の未知のチョコを一つ手に取り、小銭と引き換えて自己のものとする。簿記の「菓子5/現金5」【「自分で選ぶ未来5/菓子5」】が成立した瞬間である。

 「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」のオープニングテーマを何度か聞いているうちに、これは深い内容なのではないかと思うようになってきた。歌詞を確認し、それは確信に変わった。歌詞の中で過不足のないソワソワ&ワクワクとした世界観が完成されている。
 ちなみにYouTubeでカバー曲を検索していると韓国語で歌われている同曲を見つけ聞く。意味は分からなくなるが旋律に秘められた心躍る世界観をもっと強く感じる。幼くして言葉を解さないころに聞いていた大人の会話とはこのようなものだった、気がする。グミ、チョコ、キャンディーなど断片的に聞き取れる単語と声の抑揚で意味を状況的に推測する。嬉し怪し蜜の味、欲張りの頬張りすぎにご用心。
(500文字)

「奇想天外、ふしぎをどうぞ」六ツ見純代(歌詞)
♪墨色猫手招く、遭うが魔どきにおいで。

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