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私が住んでいるところは田舎で気候も厳しめなので
まだ桜は完全には終わってない。
葉桜もちらほらあるけれど、全体的にはまだピンク色で、風が吹けば花びらが一気に舞う。

犬の散歩をする家の裏の公園は桜の木しか植ってなくて、この時期は本当に見事になる。

今朝も犬の散歩をしながら今年は桜が長く楽しめるなぁと思って気持ちよく歩いていたら

父親と子供2人が公園にやってきて、桜の木めがけて走って行った。

競争してるのか。仲良しだな…
と思って見ていたら、

子供がベンチの上に立って、そこに覆い被さってる桜の木と共に父親が写真を撮り始めた。

そこまでは平和な気持ちで見てたけど、そしたら子供がその桜の枝を思い切り揺すり始めた。

時期も時期なので一気に花びらが散っていき、それを背景に父親が大喜びで写真を撮っていた。


めちゃくちゃ腹が立った。

子供たちはエスカレートしていき、これでもかというくらいに桜の枝をもって揺すってどんどん花びらを落とし始めた。

父親は何もとがめず、笑いながら写真を撮り続けていた。

そのうち子供がまだ花のついてる桜の小さい枝を折ろうとしたのを見て


私は
「桜の木にそんなことしないで!」と思わずその親子に叫んだ。
子供たちはびっくりして怪訝そうな顔で私を見てたけど、父親がカタコトの日本語で
「ゴメン、ゴメンネ」と言った。

日本人じゃなかったんだ。
写真の撮り方を見てなんとなく違う雰囲気は感じてたけれど。

子供だけで遊んでるのならそれもある意味仕方ないとは思えたけれど、親がいて咲いてる桜の木を折ろうとしたり思い切り花びらを落とそうとしてるのを
それを何とも思わないというのは、外国人からしたら普通のことなのかな。

それとも日本人でもほとんどの人は何とも思わなくて、

桜の木が可哀想と思う私がおかしいのかな。


道端に咲いてる花を摘むのは良くて、なんで桜の木の枝を折ったらダメなのと聞かれたら
何と答えたらいいのかわからないし、一貫してないと言われたら反論できないけれど。。


そういえば、何年か前の同じような時期に
公園をいつもにこやかに散歩していた近所のおばあさんがいて、会うとお話してたりしたけれど、
何となく会話がおかしくなってきたな、噛み合わなくなってきたなと思い始めて少し経った頃、

夕方遅くに犬の散歩をしていた時に、偶然一人で公園を歩いているおばあさんを見かけた。

あれだけ「ほんと綺麗ねー」と言ってた桜の木の枝を
思い切り捻りながらボキっと折っていた。
手には何本も桜の木の枝を持っていた。

それを見て、注意できなかったことを思い出した。

あっけに取られたというか、立ちすくんでしまった。そのおばあさんの顔の表情が完全に無で、その顔のまま私をじっと見た。
そして私の目の前で桜の枝をまた平気で折ってそれを持って帰って行った。

そして、その後そのおばあさんの旦那さんから、おばあさんがアルツハイマーで施設に入ったと聞いた。


元気な時は家の庭の草花を手入れを熱心にして綺麗にしていたおばあさんが、自然を愛でる感覚まで失ってしまって桜の枝を折ってしまうようになるんだと思うと人間の脆さというか、脳の制御が壊れた人間の剥き出しの感覚に恐怖を感じたし、

あの親子の行為に腹が立って注意した私も、数十年後にはもしかしたら平気で桜の枝を折ってしまうようになるのかもしれないな…と思った。



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