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続々・今さらドンキーコング64を遊んだ話

【転】ドンキーコング64の何がそんなに難しいのか

このゲーム、本筋であるゴールデンバナナ収集のために各ステージのギミックを解除したり色々するのだがその中の方法の一つがゲーム内ゲームことミニゲームである。

ゴールデンバナナ獲得に関わるミニゲームの数はざっと50近く。実に1/4を占める。

易難の判断はどうしても各人の感覚によるところがあるため、個人的な主観によるところがあるが数あるミニゲームの中でも特に苦痛だったものを抜粋していこうと思う。


滑り台

⇒ゴールデンバナナを巡って、コングたちの3倍ぐらい図体が大きいテントウムシと滑り台でのレースで戦う。

この滑り台レース、そもそもコースの難易度が高く普通に走ってもゴールに辿り着くところからキツい

ゴールに辿り着くだけならまだ良いが、道中に落ちているコインを50枚以上集めた上でレースの完勝まで求められる。

⇒これら4種が適時コンボを組むと

ムシがデカすぎてコインが取れなかったり追い抜きが困難だったり、

抜けたと思ったらいきなり現れた急カーブを曲がりきれずにコースアウトしたりする。

速度を上げて追い抜いてなんとか勝てたと思ったらコインが50枚に満たず、

速度を下げてコインを集めたらテントウムシはいつの間にやら遥か向こう…。

と言った具合に、一つ一つは単純な要素が組み合わさる事で凶悪なシナジーが生み出されるのである。

「1+1+1+1は200だ!10倍だぞ10倍!」とでも言いたいのだろうか。

⇒また、チャレンジ失敗後はテントウムシが容赦ない罵声を字幕つきで浴びせてくる

何度もチャレンジしなければいけないのにリトライのたびゲームから煽られるので、プレイヤーのメンタルはそれこそムシのように潰されていくだろう。

ちなみに滑り台を含めてレースゲームは5回あるのだが、その全てでもれなくプレイヤーを煽り散らかしてくる事を補足しておく。


ハエたたき!

⇒ハエたたきでハエをたたくだけ。

一見単純だが、実態は運ゲーにすら思えるお祈りヒットをハエが終始嘲笑いながら高速で逃げ回る、人を楽しませる気がないゲームのような何か

⇒まずハエたたき本体だが、当然のようにボタンを押して0.5秒ほどで着地するラグ仕様になっており、恒例の偏差射撃を要求してくる。

またどうもハエたたきの中心の網部分には当たり判定がないらしく、先端部分を使うようにたたく必要がある。先入観を利用した悪どいトラップだ。

⇒ハエ自体も悪辣で、ハエたたきの2〜3倍はあろう速度で飛び回るため練習しないと狙って当てることは至難の業。ゲーム中では実に4回に渡ってハエをたたく機会があるのだが、最終的には60秒で10匹というハイペースでの討伐を課せられる。

外した場合、

「ケケケケケケケケwwwwwwwwww」

と鳴くボイスが入りながら一定時間さらに速度を上げて逃げ回るのでこうなると手に負えない。

一応、ハエは円を描くように飛ぶ傾向があるのだが傾向は傾向なので予測した先にいつも飛んでくるとは限らない。

あらゆる悪性が蠱毒の如く何十倍にも煮詰まって叩きつけられるので、これを摂取させられたプレイヤーはハエに怒り狂い奇声を上げながらハエたたきを虚空に振り続けるのである…。


およいでコイン!

⇒水の中に立体的に配置されたコインの獲得を目指す。

普通にやらせてくれれば60秒の時間制限があっても大した難易度ではないが、たちの悪い事に操作キャラを上から俯瞰する視点でカメラが固定されるためコングとコインの高さ関係を把握しづらい。

画面上はコングとコインが重なっているのに、高さが一致していないためにサルが虚しく水を切るだけ…というのはザラ。

⇒水中の3Dスティック操作における

「上に倒して下降、下に倒して上昇、左右倒しで方向転換」という背後からキャラを見る視点で初めてしっくりくる仕様と、そのキャラを頭上から見るカメラ視点が脳内で絶妙なミスマッチを引き起こすことで終始むず痒い操作ミスを誘発させられ続ける。

⇒ゲーム後半で挑める2回目の当ミニゲームでは

プレイヤーを執拗にホーミングし続けるオニヒトデが複数体存在しており、必死の思いでコインと高さを合わせたのに吶喊してきたヒトデのせいで調整をおじゃんにされる。

引き離そうとして泳がないとすぐ追いついてくるヒトデにぶつかったら、約3秒の操作不能タイムとともに怯まされるのだから溜まったものではない。

⇒これらの仕様と比べれば、最後の1枚は水中のコイン7枚を全て取って初めてお知らせなしで出てくる水上のツタを渡って取れる仕様程度は笑って済ませられるだろう。


JET PAC

⇒ドンキー64内で遊べるレトロゲーム。正真正銘のゲーム内ゲームである。

ゴールデンバナナとは関係ないが、101%クリアのためには当ミニゲームで貰えるレアコインが必須であるため記載する。

⇒元になったのは、1983年にレア社の前身となる企業が発売した固定画面式横シューティングゲーム。

謎の惑星に不時着したとおぼしき宇宙飛行士を操作して、画面横から迫るエネミーの大群を捌きながら、三分割されたシャトルのパーツと燃料を拾い集めて次のステージに進み続ける…という内容。

エネミーを倒すと50点が、シャトルのパーツ・燃料・落ちてくるスコア用アイテムを取ると100点単位の高スコアが稼げるので3回のコンティニューまでにどれだけのハイスコアを出せるかを競うこともできる。

⇒驚愕の公式エミュレータである当ミニゲームの目標はスコア5000点以上を稼いだ後に落ちてくるレアコインを取得すること。

パーツと燃料をコンスタントに集めていけば5000点なんてすぐ達成できるように思われるが、これが意外とキツい。

画面右に消えたオブジェクトが画面左から再び飛んでくるループ構造であるため避けたはずのエネミーに背後から急襲され、

Aボタンを押し続けると天井まで無限に飛び続けられる独特すぎる仕様のため横から飛んできたエネミーとの衝突が頻発し、

頼みの綱であるBボタンのレーザーは画面一つ分の距離を飛びこそすれど縦幅がほぼないため、斜め下に降ってくるエネミーを掠めて迎撃しきれない事はしばしば。

⇒親指だけでAボタンを押しながらBボタンを押す行為が冷静に考えるとかなり難しいので、空中のエネミーを迎撃する場合はジャンプ後の自然落下中にBボタンを押す格好になりがちだが

そうすると突然猛烈なスピードでプリウスよろしく飛んできた自爆上等エネミーに顎直撃コースのえぐりこみアッパーカットを食らうため、

事実上無防備なジャンプそのものが封印安定だとプレイヤーが気付くまでそう時間は掛からないだろう。

そしてプレイヤーは悟るのである。

シャトルのパーツも燃料もガン無視してエネミーだけ倒して5000点稼げば良いでは?と。

⇒先述の通りエネミー1体のスコアは50点。100体倒せば目標に到達する計算になる。となれば話は簡単だが、そうすると今度は常に交通事故に怯えながらの十数分もの耐久稼ぎを余儀なくされる。

地べたを這いつくばり地道に5000点を獲得したプレイヤーを待ち受けていたのは、

ジャンプしないと届かない高所に現れたレアコイン変わらず暴風のように横から飛んでくるプリウスエネミーの大群…。

やはり横着はさせてくれないという事なのだろうか。


DKアーケード

⇒当記事冒頭の画像がこれ、まさかのゲーム内ゲーム再びである。

より詳しく説明すると、1981年に任天堂が発売したアーケードゲームである初代ドンキーコングがゲーム内ゲームとして実装されているのだ。

ドンキーコング64においてこの初代ドンキーをプレイする意義は、1周目クリアによるゴールデンバナナ獲得と、2周目クリアによるN64コイン(※)獲得にある。(※例によって101%クリアに必須)

数多くのハードに移植された名作である初代ドンキーコングだが、どういう訳かドンキーコング64内で遊べるバージョンはクソだの完全クリアにこれを2周はスタッフを呪うだのトラウマだの詰んだだのボロクソに文句を言われている。

彼がここまで言われる理由とは果たして何なのか?

⇒まず、初代ドンキーコングについて軽く触れていく。

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プレイヤーはマリオとなって、ヒロインを連れ去ったドンキーコングを追って鉄骨ビルを登っていく…というのが大筋になっている。

上から落ちてくるタルを避け、流れてくる荷物をやりすごし、動くリフトを乗り継ぎ、最終面では敵を避けながら鉄骨を繋ぐボルト8本を外すことでドンキー撃破…となる。(以降は制限時間が短くなりつつ4ステージをループする)

落下にハラハラしながら狭い足場を渡っていったり、迫りくる敵を無敵ハンマーやジャンプで掻い潜ったりといった工程が、程良い難易度と合わせてプレイ体験を盛り上げてくれる。

後に続くアクションゲームにおけるジャンプアクションの祖とされるゲーム性は、荒削りなところが見受けられつつも現代にも通じるものがあるだろう。

自分の身長一つ分以上の高さから落下したらミスという貧弱な仕様も良いアクセントとして感じられるはずだ。

⇒ところが64版の初代は驚愕の残機0、すなわちノーミスでの攻略を強制する。大元でも初期残機2は用意してくれるのに、である。

するとどうなるか。

ハシゴから落ちるのか端まで転がるのか分からないタルの連打も、狭い足場を渡る最中に高速で落ちてくるバンパーとランダム移動する火の玉のコンビも、ハシゴの上り下りを可能としゆっくりこちらを追い詰めてくる火の玉の大群も、

全てが一発即死に直結する恐怖のオブジェクトに反転する

反復練習によるプレイヤーの練度上昇が必然的に求められるが、ゲームオーバー後には都度都度ドンキーがレバーを引いてゲーム機を起動させる必要があるため非常にテンポが悪い。

繰り返しになるが、完全攻略には難易度が上昇した2周目クリアが必須である。落ち着いて練習すればクリア自体は可能ではあるが、心が折れてしまったという人も少なくはないようだ。


ノーティおとし!

⇒誇張無し・冗談抜きにドンキーコング64におけるミニゲーム最難関

個人的には今まで紹介してきたミニゲーム全てと比肩し得る苦痛さである。

⇒中央に穴が空いたステージを舞台として、

プレイヤーは緑色のワニとなりAボタンのジャンプとBボタンの吠えるを駆使して、青いビーバーのノーティを指定された数だけ穴に追い落としていく…というもの。

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⇒「追い落としていく」と書いたが、プレイヤーは直接ノーティを穴に押し込むことはできない

Bボタンの吠えるでノーティを逃げ惑わせ自ら穴に足を滑らせるように誘導していく悪趣味なレミングス。強者が弱者を甚振る昏い快感が味えるゲームと思えるが、1時間もプレイしているとそんな邪心はいつの間にか跡形もなく吹き飛んでいることに気付かされるだろう。

逃げさせたい方向にノーティが歩いてる時に吠えてやるとその方向に走り出す特性はプレイしていれば朧気ながら掴めるのだが、

きちんと任意の方向に歩くタイミングが来るかは運次第。うまく逃げてくれたとしても一直線には走り出さないふんわり軌道を描くためノーティの動きを完璧に誘導しきるのは困難。

いくら両手で捕まえてもすぐに指の隙間から零れて逃げていく雲を掴むような歯痒さを延々と味わることになる。

逃げ出した方向が壁側というのもよくある話で、バグチェックのために壁に向かって必死に走り続けるノーティの姿はしょっちゅう見る事ができる。

こうなると彼らはテコでも動かなくなるので一旦放置して警戒を緩めてくれるのを待つ以外ない。

酷い時は3〜4体が壁を向いて一心不乱にランニングをし続けるのでもあるが…。

⇒穴の際までノーティを追い詰めても一筋縄では行かない。まるで穴の際に見えない壁でもあるかのような怒涛の踏ん張り性能を見せてくれる。これが本当に落ちてくれない。

制限時間は例によって60秒なので、大相撲でよく見る長時間の土俵際の攻防を繰り広げていてはミニゲームクリア自体がまず不可能。

ポイントとしては穴に向かって直角に追い落とすのではなく、ノーティが斜めに入るように誘導すること。内向きの渦を巻くように追い落とし、逃げ惑った末に片足を滑らせて転落死…といったイメージでプレイするとこれが嘘のように落ちてくれる。

…これ、普通にやって気付くのだろうか?

⇒一匹を落とすのにも慣れない大変時間が掛かるノーティおとしだが、そのノルマはステージ3では60秒で12匹、ステージ7では60秒で15匹という最早調整ミスとしか思えない絶望のノルマ設定をされている。

運が悪いと1匹に10秒とか掛かりかねないのに、1匹に4秒とか言われてはコントローラーを投げ出しても誰も責めることは出来ないだろう。

⇒私が実際にプレイした際はクリアに3時間以上を費やした記憶がある。普通1つのミニゲームのプレイ時間に時間という単位を使うとは夢にも思わない。

そして激闘の果てにステージ7のノーティおとしをクリアしたプレイヤーが、同ステージでもう1度ノーティおとしをプレイさせられると気付いた時どんな顔をするのだろう…。


終わりに

ミニゲーム集の紹介、如何だっただろうか。

これら以外にもミニゲームは多数存在しているのだが、最終的なプレイ時間のうち約4割はミニゲームが占めていた。

それほどまでのウェイトを占めているのに肝心なミニゲームがPTSDすら発症しかねないほどの苦痛さで満ちているのでは、正直人次第ではクソゲーの烙印を押されても仕方ないかもしれない。

ちなみにドンキー64は各ステージのボスも強豪揃いで知られているのだが、ミニゲームのインパクトがあまりに大きすぎるので正直印象に残っていない。

「難しいな…」と思ったボスが少し存在しても、上で挙げたミニゲームと対面すればすぐに些細な問題にしか思えなくなるだろう。

次回はラスボスであるキングクルールに軽く触れつつ、本ゲームの総評と感想を執筆する予定だ。


つづく

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