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わかりにくいよ魔人ブウ編。でもアツいよ。好き

前回に引き続きドラゴンボールの話です。

ドラゴンボールかどれだけわかりやすいマンガかは話しましたが、今回はその続きです。

わかりやすいドラゴンボールですが、分かりにくいエピソードがあります。それこそマンガ版最終章である「魔人ブウ編」です。

私はこの魔人ブウ編が一番好きです。

ジャンプ連載当時から好きでしたが、理由が自分でもよく分かりませんでした。
大人になってからドラゴンボールを全巻読み返して、分かった気がします。

まずはこの動画を観て下さい。冒頭で鳥山明先生について岡田斗司夫さんが話しています。

この話は私も知っていました。

本当にマンガが好きな漫画家さんであるなら、ドラゴンボールが終わっても次のマンガを出そうとしていたと思います。短編や集中連載はありましたが、長期連載は体力的にも精神的にも厳しかったのだと思います。


少年ジャンプは人気投票を毎週行い、ランキングをしているそうです。下位が続くと不人気ということで打ち切りになるか編集会議にかけられるそうです。

元々ドラゴンボールは連載開始当初は人気がなかなか出なくてジャンプの人気投票でも下のほうだったそうです。そこで鳥山先生と担当編集の方とで話し合い、当初のドラゴンボールを探す冒険マンガから強い魅力的なキャラが出るバトルマンガへと路線変更がなされたそうです。

その作戦が見事にハマり、天下一武闘会がはじまる頃には大人気作品になっていったそうです。先述したわかりやすいマンガであり、かつ先生の天才的な絵は多くの少年達の心を鷲掴みにしました。

でも人気が出た後のドラゴンボールは「鳥山先生が描きたい漫画」だったのでしょうか?

私は「多くのファンの為に描いた漫画」だと思います。

マンガの連載終了はジャンプ本誌の売り上げに多大な影響を与えます。
鳥山先生自身もドラゴンボールという大きな存在の一部であり、自分の想いひとつのみではやめられない。そんな存在にドラゴンボールはなってしまったのかも知れません。


そのように鳥山明先生自体のストーリーを知ったうえで大人になってからドラゴンボールを読みました。するとフリーザ編が終わった後から、ドラゴンボールは連載をどう続けるか!、ではなく連載をどう終わらせるか!を模索しているように見えてきました。

強い敵を倒したら、より強い敵が現れる。パワーアップして勝つ。さらに新しい敵が出てくる。さらにパワーアップして勝つ。バトル漫画である以上この流れは変わりません。

そのマンガとしての無限ループを抜け出そうと模索したのが魔人ブウ編だと思います。


チャレンジ①  主人公交代して路線変更。
悟飯のスクールライフから日常ドタバタギャグ漫画に変わろうとしています。

チャレンジ②  戦う以外の選択肢。
ミスターサタンです。彼の愛すべきキャラクターもあり、ブウとコミュニケーションをとることで戦う以外の解決方を見つけようとしているのは素直に感動します。サタン自身が元々そうしようと考えていた訳ではないのですが。

結果的にこれらのチャレンジはどれも成功しませんでした。なぜか?多くの読者が悟空の活躍を見たかったし、バトル漫画らしくカッコよく戦ってほしいからでしょう。

魔人ブウ戦の最後を元気玉で終わらせたのは鳥山先生の唯一の成功したチャレンジだと思います。
元気玉は他の生き物からエネルギーを借りて、まとめて敵にぶつけることでダメージを与える技です。さらに技の発動まで時間もかかりスキも大きいです。
結果的に元気玉を魔人ブウにぶつける為に①ベジータが代わりにブウと戦ってもらう②他のキャラクターからエネルギー借りる。しかも、ミスターサタンに説得してもらう。③体力的に厳しかったからドラゴンボールに回復してもらう。
と言った具合に何だかんだで悟空以外のキャラクターの助け借りまくりで倒すわけです。最後は悟空が一対一で決着をつけていたドラゴンボールにおいて、非常に珍しい展開でした。


何故このようなラストバトルにしたのか?それは「最強の悟空であっても1人では勝てない。個の強さよりもチームの強さが勝る場合もある。」という先生からのメッセージだと私は思います。ジャンプという雑誌において最強の個であったドラゴンボールにも同じことが言えるのではないか?と私はどうしても感じてしまいます。単体マンガの魅力ではなく、雑誌というチームとしての魅力で勝つ!そういうジャンプになってほしい、という鳥山明先生の想いがあったのではないか、と考えずにはいられません。

事実、この後は数話のエピソードをはさみ、ドラゴンボールは最終回を迎えます。

ドラゴンボールの最後には、鳥山先生の、ジャンプへの、読者への、ドラゴンボール自体への様々な想いが込められている気がします。子供の時は気がつかなかった。わかりにくいですが最高にアツい想いがある。今回はそんなお話でした。

読んでいただき、ありがとうございました😭

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