見出し画像

 習近平=“偏執人格認知模式”!

鄧聿文(中共中央党校校刊《学习时报》原副编审)
出典:《中国民主季刊》中国民主转型研究所、2023年第二季、pp.112-126    https://chinademocrats.org/?p=1394

以下、抄訳
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 上篇では、習近平の登場以前に党が直面していたガバナンス困難と習近平自身の権力/地位の強化のため採用した手段、策略をギロンしたが、習近平の独裁権力の形成に関する全き解釈を行うためにはその内心に深く入り込み、性格特質、認知模式を研究、理解しなければならない。

 習近平=“偏執人格認知模式”!

 人間誰しもが何らかのパラノイア的要素を持っているが、パラノイア型人格は、医学的には敏感/繊細さ、偏激、固執、多疑を特徴とする精神障害とされる。この性格の特徴や認識を持つ人は、特に自分の観点、想法に固執し、情感につき従う傾向があり、二極化しがち。例えば、誰かが自分に対して脅威や敵意を抱いていると認識するや強い怒りを感じ、逆に強い好感を感じることもあり、完璧と頑固を同時に感じることもあり、自命不凡/一人よがりで自らの能力を過大評価するが、挫折に遭遇するや自己評価が低くなり、他人への過度の要求から不信感を抱き、自卑と自大/自己評価の低さと自己重要感を一身に抱えてしまう。

 歴史上の独裁者の多くは偏執型人格類型、特に歴史を変えた大独裁者は皆偏執狂的な性格や認識を病む患者。習近平の過去10年間の行動は、偏執型人格類型という表現に符合する。習近平の二十大人事は取り巻きをトップに登用、制約なき権力のみならず、彼の气度狭小/狭量さを反映している。

#1. 他不信任他的执政团队,只信任权力


 
上台後、自己人を重要ポジションにつけるのがこれまでの新領導人の常。だが、習近平は自らの親信(intimate、 trusted follow)のみ。習近平は“五湖四海”を尽くし、新時代の英雄を集めるというが、内部に人材がいない訳ではないにも関わらず、“之江新軍”を用いるのみ。

 然も親信に対しても、全面的に放心、信任することなく、自ら領導・指揮。

 当初、多くの領導小組の組長を兼任。中間環節を省くことで権力集中を図る。大権掌握後には、別の常委あるいは親信に譲ることも可能のハズだが、兼任のまま。これは権力そのものへの貪夢、王岐山、劉鶴との関係がそれを物語っている(王岐山;習王連盟解体、董宏を逮捕、海南航空を接収、背後にあるのは猜疑心、劉鶴:改革開放理念「美国圧力推動による国内経済改革」に差異)。

 この信任権力,猜疑亲信には、習近平の出身、家庭境遇が関連。幼年期に父親の失脚を味わい、底層の小孩以上に権力喪失の苦痛を実感したハズ。陝西への下放時、北京駅に多くの父母、家族が涙の別れを惜しむ中、習近平には誰もいなかった。未来が暗いから悲しいのではなく、北京にいればおそらく殺されるだろうから、少なくとも死からは逃れられたと後に語っている。

 この記憶には、慶幸、将来の不安に対する心酸、年に似つかわしくない冷静さが混在。他の紅色家族の子供よりいち早く権力の重要性と人生の冷酷を感知;習近平の人生第一課体験。

 →権力こそすべて!自己の命運を決定する権力を欠く時には、野心を自制。他人、殊に競争相手が自分自身に対する警戒を解くべく、過度の権力欲なぞ持ち合わせていないことを示す。

#2.他所谓的不信邪不怕鬼,要领导中共走出一条中国式的现代化道路,向世界表明人类不应只有西方的普世文明一途,还有中国为人类开辟的这条大道

 いわゆる不信邪不怕鬼から、党が中国式現代化路線を歩むことで、人類には西洋の普遍文明のみならず、中国が人類に切り拓いた道があることを世界に示すことになる。

 理論的には、人類の文明の多様性は、西洋の普遍的な文明の道に限定されるべきではない。しかし、歴史は、少なくとも今までは第二の道はないことを示す。 習近平はこの「邪」を信じず、人類に第二の近代化の道を切り拓く能力と義務が中国にはあると信じている。なぜなら、中国は党の指導下にあり、党は彼の指導下にあるからだ(ex. 新冠的清零政策)。

 中国式現代化道路:毛沢東/反右派運動、大躍進、文化大革命 →鄧小平/「“中国の特色ある”社会主義道路」→江胡習継承「中国特色的社会主義道路」 ただ、習近平には西方文明の影はなし!伝統文化の権威主義的要素と党によって変革された正統派マルクス主義の権威主義的要素があるのみ ⇨“中国式的現代化”、人類文明に貢献する“中国方案”! 成功案例:反腐敗、軍政改革、領導体制の改造

 ⇨偏執型人格/認知結構を強化;“認為只要看准了方向,拿出一股子不服輸精神,認真去做,這个世界就没有什么事不能做成的

#3.他的装腔作势,显示自己有知识,把自己打扮成一个全知全能的领导人


 
君師一体”:古代中国の君主の理想、目標 儒教;君王には臣民教化の責、有思想・有道德たるべき
→党領導人イメージ;无所不通の全才全能型領導者 
―毛沢東;文、史、詩に精通,軍事、戦略、哲学に通じた稀有な存在 経済外行!
―鄧小平;行政管理才能、軍事能力,但し経済管理は陳雲に如かず
―江&胡;技術出身,自らの本分を了解。党が全能領導像を塑造しようとするも誠実!
―習近平;文化程度/学歴歴代最低!
 官宣;政治、経済、文史哲、軍事、教育、管理、尖端科技、体育…大は国家管理から小は足球に至るまで毛沢東も自惭形秽の神の如き領袖! 无知和装腔!“背書单”!笑話!
 无法脱稿演講、念錯别字! 読破したとしても、心霊、思想に一丝一毫影响なし!

 青年時の「黒五類」経験、教育不足の心理から自卑情結、その自卑隠蔽のため内外名著に通じた大国領導者イメージを求める ⇨無知なるが故の装腔作勢こそ偏執型人格、認知の典型特征

#4.特能忍,在环境于自己不利时,有忍常人不能忍的精神和毅力,但也显示了他的决策犹疑和首鼠两端


 戦略定力
の重視:困難局面、複雑形勢に際しては戦略定力を保持せよ!
ー2020年十九届五中全会;“要強化戦略思惟,保持戦略定力,把謀事和謀勢、謀当下和謀未来統一起来”
ー2022 年3月17日政治局常委会;疫情防控/経済社会発展…要保持戦略定力
ー    7月25日党外人士座談;只要保持戦略定力、堅定做好自己的事…
 その背景;韓信忍胯下之辱、勾践臥薪嘗胆の故事からの霊感
 あるいは梁家河の知青歳月からの悟り(身処逆境,接受現実,放平心態,不怨天尤人,埋頭苦干,等待時機)
 十几通の入党申請書、公社書記感動し、入党許可、梁家河大隊党支部書記に抜擢→人生初の政治资本
 ⇨不一般的忍功(並外れた忍耐力!)
 保持戦略定力には頭脳清醒(自我認識、自我評価の清醒,観察外部現実把握局勢の清醒)が必須、なれど
 “東升西降”判断から、中国・自己の領導能力を過大評価、戦略判断に失誤、“急躁冒進”の錯誤
→“戦略定力”で掩飾
 不利な環境下にあって、常人の忍耐力を超えた精神と胆力を示すものの、ただ、それは意思決定に対する首鼠两端/ためらいを示すもの

#5.过分重视底线思维,泛化底线思维,表明他内心的不安感非常强烈


 
中国統治に深刻な不安感 ⇦ 中国太大、人口太多、治理情形太複雑+改革以来最差の対美・西関係
 少年期以来の“黒五類子弟”の経歴、失去特権の滋味 ⇨幼少期の心理的トラウマ
 底線思惟:習 “堅持底線思惟、着力防范化解重大風険”
 〜黒天鵝(black swan)灰犀牛(gray rhino)事件の発生防止
―2018年1月 中央委員会委員、候補委員/省部級主要領導干部研討班; 8方面16風険
―2019年1月 省部級主要領導干部堅持底線思着力防范化解重大風険専题研討班; 政治、意識形態、経済、対美経貿斗争、科技、社会、対外工作、党自身等8領域 高度警惕“黒天鵝”事件,也要防范“灰犀牛”事件
―2021 年2月 党史学習教育動員大会; “黒天鵝”、“灰犀牛”还会在中共応対風険挑戦時不期而至
―二十大報告;“我国发展进入战略机遇和风险挑战并存、不确定难预料因素增多的时期,各种“黑天鹅”、“灰犀牛”事件随时可能发生”

 憂患意識と底線思惟:既に《杯弓蛇影》レベルか 
 四面樹敵:対外要強出頭 対内高圧統治 党内同志不信任
 内外環境の不安感〜不安感の増強から党内生態、外部環境の悪化
 このメンタリティ自体が病的であり、病的なメンタリティに支配された底線思惟は、現状・環境・趨勢の客観的把握を困難にする

#6.容不得党内和社会有杂质,对建立一个干浄政党和干浄社会有一种病态嗜好


 
習近平の十年施政に文革回帰との外部批判:毛沢東発動の文革とは、権力闘争のほか、純粋な理想社会建立を目指した“霊魂深処爆発革命
 →習近平:干浄的失政党/社会が目標、資本、平台科技企業、教培行業、演芸圏への“清朗”行動 
 習近平にとっては一切不干浄!
―権力;腐敗汚染
―思想・輿論領域不干浄;自由派手中、社会主義社会信心を動揺
―教培行業不干浄;无序競争で学生に過重課業負担、教学秩序紊乱
―演藝圈不干浄;明星は手抜き演技、流量吸金に目が眩み,低級下流でファンに取り入り、娘炮文化で青少年を汚染
―資本更不干浄;権銭交易,官商勾結、腐食官員 とりわけ大資本は平台/数据優勢,壟断某些産業,競争/生産力発展を阻碍,壟断地位を利用し,当局監管を藐視、中共領導権に挑戦,中国を資本が控制する国家に変えよとしている!
⇨“干浄的社会” 実際には正統社会主義への回帰! 宗教の人類心霊の純粋性追求=共産主義の“大公無私”に符合
 「不干浄な社会を次世代に回してはならない」との使命感、ただ、自身の家族の超級腐敗、自らの制約なき権力には触れず。
 干浄社会的病態嗜好の弊害は明らかで、偽君子を作りだし,資本活力を窒息させ,中国経済を徹底的に躺平させるのみ

長い歴史からすれば、習近平が党・中国の改造に成功しようがしまいが、最終的にはすべて悲劇で終わるだろう。                     [了]


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?