【米国GDP】そもそもリセッションとは

「リセッション」「リセッション」と当たり前のように耳にし、また、僕自身も何度も口にしたことがある言葉。

特に株式投資の文脈では「(米国の)リセッション」という意味で使用されている/していることが多いのではないかと思います。

ところが、果たしてこの「リセッション」というものがどういうものなのか、昨今よく聞く「ソフトランディング」であるとか、「景気が思ったより底堅い」とか、やや定性的な表現をスルーしている自分に気づいたこともあり、米国のGDPの過去推移&予想を振り返ってみることにしました。

米国GDP成長率の推移

以下は2010年~2022年までの米国GDP成長率(前年比)の推移です。
2010年以降、コロナショックを受けた2020年(▲2.8%)を除いて、およそ+2~2.5%程度で推移していることがわかります。
直近10年程度は、この「+2~2.5%程度のGDP成長」というのが米国経済の巡航速度、ということができます。
尚、2021年はコロナショックの反動で+5.9%と驚異の回復を見せています。

世界銀行

2022年~2024年GDP成長率予測

直近昨年の実績(推計)は+2.0%。
GDP成長率としては、上記の巡航速度内に収まっている形です。

一方、2023年・2024年はそれぞれ、+1.4%、+1.0%と、向こう2年間は巡航速度の半分程度の成長との予測、すなわち、景気の減速(リセッション)が見込まれているわけです。

IMF

尚、リセッションとは、一般に、「国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナス成長となった場合」を言いますが、第四四半期ベースでの米国GDPは、2022年上期はやや低調だったものの、下期に欠けて回復傾向にありました。

BEA

2023年のリセッションとは果たして?

上記の定義からすると、そして米国経済成長率の予測が+1%ということからすると、確かに経済成長の伸びは鈍化するものの、それでも成長しているのは間違いないんです。

従って、2023年にリセッションが到来すると言うことと、企業業績や個人の消費がマイナスに転じる、ということはやや想定している自体が異なる、ということになります。

一方で、2023年の経済成長率が2022年の半分となる、ということは、23年の1Qから(直近の四半期である22年4Q比で)急速な景気の悪化が起こるか、もしくは、年後半により大きな悪化局面が来るか、いずれか、ということなりますが、23年1Qも残り3週間程度となっている中、米国経済が急速な悪化に見舞われているということはなさそうです。

であれば、①23年後半に急速な悪化局面が到来するのか、はたまた②ソフトランディング(結局悪化局面がこない=上記経済見通しが外れる=上方修正されていく)するのか、ということになりそうです。

しかし、すぐに景気後退の兆しが見えない②ソフトランディングのシナリオの場合には、いきおい米国のインフレ率も下げ渋るシナリオが想定されますので、結果として、米国金利の高止まりが続くことで、株式市場にとっては都合が悪い(ずーっとグズグズした相場が続く)といった状況が想定されそうです。

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