4/24、MRA、ケレンディア

今日は、選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)であるケレンディアについて教わった。
患者①: ケレンディア10mg/1T/分1を追加で処方された。この患者さんはこれまで、エゼミチブ•バイアスピリン•タケキャブ•ビソプロロール•アトルバスタチン•アムロジピン•シュアポスト•トラディアンスが処方されており、脂質異常症•胃障害•心疾患•高血圧症•2型糖尿病に罹患していることが考えられる。
患者②: ケレンディア10mg/1T/分1の追加。この患者さんはH30.6.12から2糖尿病治療を開始したが、頻繁に膀胱炎になり、R6.1に慢性膀胱炎と診断され、スージャヌ中心、エクア追加となった。その後、腎機能が低下しているとのことで今回ケレンディアが追加された。
ケレンディア(フィネレノン)は慢性腎臓病(CKD)の治療薬であるが、上記患者の共通点からも分かるように、2型糖尿病を合併するCKDに適応を持つMRAである。
MRAはレニン-アンギオテンシン-アルドステロン経路で産生されたアルドステロンが結合する受容体に拮抗することで、心臓や腎臓の線維化の抑制、心不全による浮腫の改善、降圧といった効果を示す。この際、Kを保持して水分とNaを排泄するのでカリウム保持性利尿薬とも呼ばれる。MRAは第一〜第三世代に分類され、第一世代はステロイド骨格を持ち、MR選択性の低いアルダクトン(スピロノラクトン)、第二世代はステロイド骨格を持ち、MR選択性の高いセララ(エプレレノン)、第三世代として非ステロイド骨格でMR選択性の高いミネブロ(エサキセレノン)やケレンディアがある。ステロイド骨格を持つ第一、第二世代のMRAは、アンドロゲン、 グルココルチコイド、 プロゲステロン、 エストロゲンなどの各受容体も阻害してしまうため、適応も多い(高血圧、心不全、PA、慢性心不全など)が、副作用や他の影響(女性化乳房など)も無視できない。ステロイド骨格を持たないケレンディアは、MR選択的に阻害し、体液貯留や心•腎の線維化を抑制することが期待されている。ただ、用量が少ないため、血圧を下げる働きは弱いため、2適応は型糖尿病を合併するCKDに限られている。また、「末期腎不全」 「透析施行中」の患者は除くと記載されおり、 eGFRが15mL/分/1.73m²未満の患者は投与対象外である。臨床試験に含まれず使用経験がないこと、 高K血症のリスクが上昇すること、 投与早期のeGFR低下が認められていることが理由となっている。
ケレンディアのように、適応が限定的且つ条件のある薬剤では、普段以上に患者の背景、経過に目を向けて投薬していくことが大事だと学んだ。また同機序の薬でも選択性によっって適応が変わることもあり、現場で、薬と向き合うことの有意性を実感した。

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