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【教科書要約】学び方を自分で考える

教科書

よくわかる発達心理学 第2版
p98〜p99


子どもは学習する事に対して一般的には工夫すると考えられています。

工夫する理由として、1つは「遂行目標」という、仲間や教師、親からよく思われたい、という願望のため。もう一つは、「学習目標」という学習内容そのものへの興味や、単純に自分の能力を高くしたいというものがあります。

この両者の考え方を、達成目標あるいは目標思考性と呼びます。これは、学習の達成場面で本人が設定し、学習をする動機づけに影響すると考えられています。

学習目標は、目的が「学習すること」にあるため失敗しようが成功しようが、あるいは自信があるかないかに関係なく、努力をします。一方で遂行目標は、目的が「よく思われたい」にあるため、自信がある場合や努力しますが、自身がない場合は、やる気を失ったり、恥ずかしくないようにわざと努力を怠ったりします。

このように目的によってその学習を努力するかしないかは変わりますが、どちらも学習場面において個人で対処や工夫をしているといえます。

では子どもたちは、いつ頃からこのような達成目標を意識して、設定するようになるのでしょうか。
一般的には小学校中学年から高学年にかけて意識するようになると言われています。その原因の一つとして、この頃はクラスメイトなど周囲との競争が次第に明確になってくるからだと言われています。

ビギンズによると児童期初期では、周りの大人が決めたきまりや、教えられた目標に合わせて学習や行動をし、児童期中期では、自ら目標を設定し、それを満たすように努力するようになるとしています。
また、ビギンズは、理想の自己イメージと現実の自己イメージのギャップが大きいと、不安や脅威を感じるようになるといいます。これらの感情が行動の動機付けとなって学習行動も変化すると考えられています。

自己制御学習は、自らの学習に対して色々な調整をしていく学習のあり方ですが、自己制御学習にはメタ認知、動機づけ、行動の3つの要素がありす。
その中の、メタ認知が発達するのは小学校中学年以上であると考えられるため、自ら学び方を意識的に工夫するようになるのもやはり小3、小4以上になると思われます。

学習の仕方を工夫するということには、マイナスの面もあるようです。
誤った学習方法を自ら開発してしまって、その誤りに気付けないまま学習を進めたり、学習を簡便にするためのヒューリスティックは、学習が捗るかもしれませんが、誤った学習を促進してしまうかもしれません。
教育者は注意して見守る必要があるのではないでしょうか。

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