久しぶりに観劇した話。

ジャージーボーイズに⚫年振りに参加してきたお話。

この作品は正直にいうと、日本では、大衆受けはしないかな?と思っている。
そもそもフォーシーズンズというグループが、あまり現代の日本では馴染みがないと思うからだ。

そしてこの作品はミュージカルと言うより、音楽劇、コンサートに近い形式である。所謂一般的なミュージカルではない分、ミュージカルが苦手な層でも取り入れることは、あるいは出来るかもしれない。
曲はすべて「どこかで聞いたことがある曲」ばかり。フォーシーズンズの曲でほぼ全編が構成されていて、耳心地がとてもいい。

彼らがもがいて、苦しんで、メンバーを入れ替えてなんとか上に上がろうとしていく姿と、スターになったその瞬間。
シェリーに続くヒット曲を三曲連続で歌うシーンでは自然と涙が出た。
のぼりつめていく彼らと、その家族、それからスタッフ。
出会いと別れ、ヒット曲、また出会いと別れ、仲間との確執、家族との別れ、ヒット曲…四人分のそれらの出来事がまるでジェットコースターのように流れていく。
わたしたち観客はそれに乗って振り回される。
フランキーの唯一無二の歌声。
トミーの傍若無人な態度。
ボビーの才能に。
ニック・マッシはある意味では、犠牲者でもある。
この演出が日本独自の物なのか、それとも本国でも行われているのか、この作品はとにかく我々観客側をもステージに上げる。
彼らのいるステージと、我々のいる場所はある意味では分断されているはずだが、ジャージーボーイズでは、ひと続きになっている。すべてがステージである。
我々の歓声(今は声を出してはダメだけど)と拍手があって初めて完成される舞台だ。
我々はフォーシーズンズの歌に熱狂するひとりのファンであり、軍隊に従事する兵士であり、ダイナーで目玉焼きを焼いているかわいい女の子だ。

フランキー・ヴァリという唯一無二の光と、我々観客が影であるということ。
彼の光が強すぎて、周りには誰も居なくなってしまう。
みんながフランキーを求めて、それから手が届かなくて去っていく。
何だかそんな印象だ。
彼らもまた観客の一部で、フランキー・ヴァリという天使の歌声を持つ男をこの世に送り出すのが宿命だったという、そういう事なのかもしれない。
「この小僧をステージに上げなければ」と思ったトミーのように。
「この小僧に歌い方を教えなければ」と思ったニックのように。
「彼の声のために曲を書かなければ」と思ったボブのように。

まあこれはフォーシーズンズの半生を綴った作品で、ボブ・ゴーディオとボブ・クルーが制作に関わっているから、概ね史実に基づいているのかもしれないが、本当の所はわからないものだ。
彼らの半生は時代を反映していて、劇的で、それでいて切なくて、悲しくて、華やかだった。

私は中川晃教氏のファンなので、この作品は中川さんありきの作品だなあ、と思っている。
本国の厳しい審査やオーディションを通ってあそこに立つ彼のプレッシャーは、相当だと思う。
(指名なのにオーディションめちゃくちゃ受けさせられて(6回)かつ、彼が合格できなかったら上演は出来なかったらしいが)
初演から見ていて思ったのは、贔屓目を抜いても彼がどんどん成長していく姿が素晴らしいことだ。
どんどん上へのぼっていく中川フランキーの歌声、素人目で失礼かもしれないが、初演より断然上手くなっているし、どんどんとこの作品を自分の物にしていってるな、と思った。
難しい曲で、難しい技術もいるし、何よりもフランキーを演じられるのが日本でただ一人だったという重圧。
今は花村想太さんというダブルキャストを迎えることが出来て、彼の歌はさらにのびのびと、高く高く伸びていくようだった。
きっとこれからも彼は成長していくのだろう。
彼の歌を聞く度に、ああ私はこれが聞きたくてここにいる、と思わせてくれて、いつもありがとう。

実は初日もそーっと見に行っていました。
中川さんの歌声が久しぶりに生で聞けて本当に良かった。
そして2回目の今日は、おけぴさんの観劇会でした。また参加させていただきたいです。

花村さんの方のバージョンも聞いてみたい。無事に聞きに行けるといいのだけれど…。

チケットはまだ取れると思うので、誰かが興味を持ってくれたら嬉しいなあ。

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