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DIE WITH ZERO 【要約・所感】

 こんにちは。本日はビル・パーキンス著書のdie with zeroを取り上げます。文字通り訳すと「0で死ね」という意味です。ここ最近では岸田政権の政策である「貯蓄から投資へ」の促すにあたり国民一人一人のマネーリテラシーの向上が求められています。確かにお金を貯めて運用し、増やすことは大切なことですが、それだけでは幸せになれないということを様々な示唆の下分かりやすく教えてもらえます。私が読んで解釈し得た最大のメッセージは「お金の価値を最大化して人生の幸福も最大化しよう」ということです。これについて以下に3つに絞って説明します。


1. 多くの人が老後もお金を減らさない!

 日本に暮らしていて教育を受けていれば「若いうちから老後に向けてコツコツ貯蓄をしなさい。」という教示は親からだけに限らず様々方面から言われます。将来への不安から教えどおりにマジメに貯金をする。これは決して間違っている訳ではありません。

しかし本書では“多くの人が退職後も支出と収入を同程度にし、資産をあまり減らさずに生活している。そして、使い切らずにたくさんの資産を残して死ぬ”という事実が書かれています。今、自分も含め多くの若い世代が抱えている将来への不安というのは、退職後にふっと消えて無くなるものではありません。老後であっても自身の万が一対する不安はずっと付き纏うものなのです。

そんな人間の性質から多くの人が退職後もお金を減らさず必要以上に我慢した生活を続けています。寂しい事実ですがその使いどころとタイミングを失ったお金は、結局のところ人生の最後の最後において命をわずか数日か数週間延ばすための高額な治療に大量に注がれてしまっているのです。


2. 「今しかできない事」に投資せよ!

同じ100万円でも20歳と80歳ではその価値がと意味合いが大きく違います。物事を楽しむには相応な年齢があります。

今、20歳の青年が100万円を手にして世界一周旅行を計画します。当然資金は十分とは言えず貧乏旅行でひもじい思いもするでしょう。行く先々で様々な困難と出会い乗り越えて成長し、時には一夕の恋に落ちることもあるでしょう。

人生で一番大切な仕事は思い出作りです。その時に得た思い出は、その後の彼の人生において何度も引き出しが可能な「減らない財産」となります。80歳になってからこんなにエネルギッシュな思い出をいざ作ろうとしても気力と体力に限界がありますし、思い出を引き出せる期間が限られてしまいます。

 将来への不安から節約ばかりしているとその時にしかできない経験をするチャンスを失い、世界が必要以上に小さくなってしまいます。喜びを先送りしすぎて後から後悔してしまわないために自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまずお金を使いましょう。


3. 年齢に合わせてお金、健康、時間を最適化せよ!

 ただし、お金自体も無尽蔵にあるわけではないので(あれば良いですが…)使いどころとタイミングはお金、健康、時間の3つのバランスをみながら最適化していくと良いでしょう。一般に健康のピークは20代であり、お金の収入・支出のピークは40〜50代。時間的な余裕は学生時代と老後がピークとなります。

現役世代のうち特に30〜40代は家庭においては子育てと家事に追われ、仕事においても責任のある役回りとなる事が多いため時間と労力ともに非常にハードな年代となります。「お金を稼ぐこと」と「大切な人との経験と時間」はまさにトレードオフの関係にあるため、夫婦間で繰り返し話し合いを行い自分たちの価値観を定め、仕事と育児のバランスを自ら選択していく事が良いでしょう。

3つの要素のうち健康の配当を侮ってはいけません。若い頃に健康に投資した人ほど老後に健康で豊かな時間が多く分配されます。無駄な医療費もかからず結局は経済的にも得をします。健康の改善は人生の価値を最大化します。まさに「ヘルスなくしてウェルスなし」と言えるでしょう。


確かに先行きの不透明な日本の将来を憂い、国に頼らず自分自身で老後資金を企てることは大切です。しかし、用途も定めず闇雲にただ貯めていても人生の幸福の最大化にはつながりません。今、自分ができることは日々の食事や睡眠といった基本的な健康面に気を配り丁寧に暮らす事。そして、お金の価値を最大化するために自分の価値観の見直し自己認識を深めながら「今しかできない事」にお金を注いでいければと思いました。お金は使う力も身につけることが大切であるとあらためて感じました。



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