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揺れる



「瑞々しい君が、乾燥した風に吹かれて
そして歩んでいる姿を、僕は、みていられない。」

あなたの涙は美しい。

美しくて、残酷だ。

泣かれたって、わたしは変わらないのに。

手に持つペットボトルには、飲みかけの水が揺れている。

人間って、70%は水でできているらしい。
だから、辛く傷つけられた時は、水が何か言ってるな〜って、思えばいいって、SNSでどっかの誰かが投稿してたな。
水で思い出した、伊坂幸太郎の小説の中で、暗殺者の蝉が、人間もアサリみたいに、話す時に泡が出ればいいのになって、考えるシーンがあったな、あれは、10代のわたしには鮮烈だったな。人を易々と殺める蝉が、人間の酷い言葉が泡になれば、可視化できれば、皆が発言に思慮するようになるからと。そんな感性をもった人格なんだと、感嘆した。人を殺めるのに。

ねぇ、まだメソメソしてるの?
変わんないよ、決めたもん、今のところはね。

そう言いたいけど、口を噤む。
あなたは、あなたの優しさは、わたしだけに向けられるものだから。
わたしを守るために生まれた、わたしの中のあなたの人格。
愉悦も暴発もしらずに、ただわたしを守るあなたに、わたしは助けられてきたから。

ぐぅっと色が混ざり合うけど、完璧には交わらない。その様が生々しくて感動的。
生きてるって、何一つ完璧がない。

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