卵の調理性~カスタードプディング
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全卵液、牛乳、砂糖から作られるカスタードプディングは、卵が熱によって凝固する性質を利用したものである。
固まる温度は、①卵液濃度が薄いほど、②加熱速度が速いほど、③卵の品質が悪いほど、④混合物のpHが高いほど、高くなっている。
カスタードを作る場合、卵の加熱温度と凝固の段階を次のように分けることができる。
①天火に入れる前に、60℃くらいまで加熱する。この温度では液状である。
②天火中での加熱によって凝固させる。カスタードの凝固は吸熱的であるから、ゆっくり加熱すれば、その終了点では温度がとまり、一定温度を保つ。
③さらに加熱すると凝結をおこし離漿(りしょう)する。
これは、加熱時間が長すぎたり、加熱温度が高すぎたりしたときの状態で、カスタードの内部に穴ができ始め、多孔性で悪い製品になる。
では、上表と上グラフにあげた実験結果を見ながら、加熱温度と時間やその品質について検討してみることにする。
まず、卵液20%、牛乳65%、砂糖15%の割合で材料を混ぜ、60℃まで鍋で加熱して(①段階)、プリン型に入れて蒸し焼きする。
上のグラフでは、80℃より上の曲線は緩やかで、下の曲線は急になっている。
そこで、60〜80℃までの1分間当たりの平均上昇温度(上表ⓐ)と、80℃〜凝固完了までの平均上昇温度(上表ⓑ)を算出した。
また、上グラフの90℃付近の太い実線は、カスタードの濃厚化温度と凝固完了時間で、前述したように、凝固完了のために温度上昇が止まっていることを示している。
No. 1では60〜80℃に上がるのに15分かかった。1分間当りの平均上昇温度は1.33℃で、よいカスタードができた。
No.2、No.3の平均上昇温度はそれぞれ1.43℃、2℃で、これもよい製品ができた。
No. 4では、平均上昇温度が2.3℃で、カスタードに孔ができ、よい製品にならなかった。
この実験からわかるように、加熱凝固させる場合、1分間に2℃以下でゆっくり温度を上昇させれば、たんぱく質の網目状の結合が無理なく行われる。
すると、組織中に全液が包含され、孔のないなめらかなカスタードプディングができあがる。
よいカスタードを作るには、凝固が始まってからも大切で、オーブン温度160℃、鉄板内の湯温85℃、始めの材料温度60℃で、36分くらいかけ、材料温度が80℃から凝固が完了するまでの1分当りの平均上昇温度ⓑは、0.5℃以下がよい。
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