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宅建士の役割はどのように変わった?

国家資格の中でも大変人気の高い「宅建士」資格

宅建試験の合格率は約15~17%、受験者数は毎年20万人程度も挑戦する試験です。

宅建士にしかできない業務(独占業務)があり、不動産業界で働く際に有利になることが多かったり、金融業界など他業界でも役に立つ資格。
さらに、マイホーム購入や売却の時にも知識となり、人生設計に役立つことなどから人気の資格となっています。

昭和27年(1954年)の宅建業法制定から現在の「宅建士」の形になるまで、何度も改正があり、宅建士の役割は変化してきました。
今回はそんな宅建士の役割の変化をご紹介します!

「宅建士」に関わる改正

1.「宅地建物取引員」の誕生

取引主任者制度の創設。事務所ごとに、試験に合格した宅地建物取引員を専任として1人以上配置することとなりました。
昭和33年に第1回の宅建試験がありましたが、次の改正までの7年間の試験はなんと法令集の持ち込みが可能だったそうです!
(昭和32年改正)

2.名称が「宅地建物取引主任者」に

宅地建物取引員資格試験から、宅地建物取引主任者資格試験に名称を変更。また、「高等学校卒業以上か、宅地建物の取引に関し2年以上の実務経験を有する者等」という受験資格の制限も設定されました。
(昭和39年改正)

3.重要事項を説明することの義務化

取引主任者の登録制度の新設。
重要事項の説明や、契約締結時の書面交付に関する業務など、職務が明確化されてきました。
(昭和46年改正)

4.講習受講・取引主任者証の提示が義務に!

取引主任者の名義貸しの防止、そして重要事項説明の責任を明確にするため、取引主任者証を提示する義務が課せられることとなりました。
また、取引主任者の資質の維持・向上と、宅地建物関係法令に関する知識を十全なものにするため、法定講習を受講しなければならないと規定されました。
(昭和55年改正)

5.専任の取引主任者の増員・取引主任者登録に実務経験が必須に

案内所等への専任の取引主任者の設置、 専任の取引主任者の増員(5人に1人以上)などが定まりました。
さらに、取引主任者の登録にあたっては、適正な業務遂行等を図るため、宅建試験に合格した者で、宅地建物取引に関し2年以上の実務経験を有する者等でなければ登録できないこととなりました。
(昭和63年改正)

6.試験の一部免除と指定講習・登録講習

宅建試験の受験資格が廃止されました。また、一定の講習を受けた者について 試験問題の一部を免除する制度が導入されま した。
(平成7年改正)

7.「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」に!

宅地建物取引主任者という名称から、宅地建物取引士という名称に変更されました。そして新たに、宅地建物取引士の業務処理の原則、信用失墜行為の禁止、知識及び能力の維持向上等の規定が追加されました。
(平成26年改正)

参考:宅建士道
   不動産取引に関する資格・試験制度の変遷   
   (https://www.retio.or.jp/attach/archive/97-009.pdf

時代とともに存在感を増す「宅建士」

上記のような経緯で、不動産業の発展とともに、法制度が変わっていきました。

最初は「1人以上の設置義務」だったものが、「10人に1人以上」「5人に1人以上」と存在感を増し、平成26年改正では「主任者」から「士」へとなり「宅地又は建物の取引の専門家として」と条文に明記されることとなりました。

宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地又は建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない。

宅地建物取引業法 第十五条

まとめ

宅建士の責務は時代と共に変わり、不動産業を行うために必要な資格というだけでなく、宅地・建物の流通を公正に行う責務がある大事な仕事となっています。

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