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De-sign語り-9

初心者で入った制作会社はCI(コーポレイトアイデンティティ)やVI(ビジュアルアイデンティティ)が得意な会社で、つまりブランドロゴなんかを沢山つくてきた会社だったんだ。

だから最初にやらされたのは書体の見本帳(モンセン)から基本の書体を選んで、コピーをとって、文字組みを作ってみたり、元の書体から手を加えてオリジナルのタイポグラフィーを作ったりを毎日のようにやらされた。

そうしているうちにタイポグラフィーの形の理論や、文字を組むときの法則なんかがわかるようになるんだ。

アナログの良いところは現実のスケール感がわかることだと思う。もちろんデスクトップでも現実の大きさはわかるけれど、実作業中は実際の大きさで作業しているわけじゃない。

スケールの感覚を身につけるならアナログの方が早く覚えれるかもしれない。

最初にタイポグラフィーをデザインしたデザイナーは書き文字を元にデザインを起こしたと思うから、実際に使うサイズを手描きで描いていたんだろうな。

今普通にPCを使ってデザインしているものも、僕たちの前の世代までは職人技で手書きしていたことが多いけれど、僕たちの世代でデジタル化が進んで効率化された。

デジタル化はデザインの作業を時間短縮できたけれど、デザイナーの頭の中の作業は省略しすぎて、新しいデザインを起こすときの思考のバリエーションを下げてしまう気がする。

一つのアイデアをある程度頭の中で整理してからデザインを起こしていたのが、デスクトップ上で何度でも訂正ができてしまうから、最初にデザインの方向性を決めずにいきなり作業に入ってしまう。そうすると最初に決めた方向性からはズレてしまって意味が変わってしまうことも多くなるよね。

例えばフィルムカメラを使っていた頃はフィルムそのものに原価がかかるから、無駄にシャッターを押せなかったけれど、今は何度でもデータを消して撮り直せるのでシャッターを押す回数は3倍以上に増えているようだ。

デジタルの長所でも欠点である点は「無かった事にできる」ということ。

今はむしろスチール撮影よりも動画撮影の方が緊張感があるよな。

時間は取り戻せないからね。

もちろん時代にあったタイポグラフィーやロゴ、マークの作り方はあって、以前は出せなかったグラデーションや立体感なんかを自由に出せる時代になったけれど、視認性やインパクト、コンセプト、イメージなんかをシンプルな文字の中で表現することの難しさ自体が面白さややりがいだと思うんだよね。

何度も修正を繰り返しながら余分あものを削ぎ落としたような突き詰めていった美しさはデザインを考える上でとても勉強になるよね。

何十年も飽きられずいつまでも新しさを失わないようなタイポグラフィーを作りたいよね。

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