見出し画像

波乱万丈な僕がタルト専門店の店主になって再びクリエイターを目指す理由-26

「タルト専門店が向かうべき場所、そして僕が回帰するべき場所」

サテライト型のお菓子屋さん?ってわかりにくいかもしれません。つまり主要な地域の中心にセントラルキッチンを置き、その周辺に小さな販売店を置く方法です。確かに大型のセントラルキッチンを作れば、そこから全国の販売店や卸先に大量に商品を配送できて、効率は良いかもしれません。でももしも、地震や台風などの天災でセントラルキッチンの機能が損なわれると、企業としての生産力を一気に失うことになります。逆に各店舗ごとに製造を行うキッチンを併設すると、店舗コストが上がってしまいます。

サテライト型の場合は中・小型のセントラルキッチンを基幹店とし、その生産力に見合った店舗数の小型販売店(駅ナカ店舗を含む)だけを賄えばよく、市街地郊外にはセントラルキッチン、市街地内に数店舗の販売店舗、近隣都道府県への配送をセントラルキッチンが行えば配送コストを抑えながら広い範囲をカバーできます。このようなセントラルキッチンを中心にして衛星のように販売店を配置したサテライト型でカバーする地域を主要な都道府県の市街地に置いてネットワークで繋ぐことで大きな地域をカバーするネットワーク網を作ることができます。例えばセントラルキッチンのいずれかが災害に見舞われたりして機能不全を起こしたとしても、すぐに他のセントラルキッチンがカバーしたり資材の提供を行うことができ、事業そのものの質を落とすことなく継続できます。

そして何より、新しいセントラルキッチンへの投資額を減らし、不足の事態で生じる損害も軽減することができます。僕たちのような小規模な事業者が一気に拡大するのではなく小さな負担で拡大して行けるのも利点です。オートメーション化したセントラルキッチンでは前述したように仕事に対する「やりがい」や「幸せの実感」は希薄ですが、小規模のセントラルキッチンではそれらを感じることができます。ただ、それぞれのセントラルキッチンを運営する責任者や製造・販売員の育成や、そのセントラルキッチンを維持するための地域ごとの営業活動は重要になります。それぞれの店がそれぞれの地域で認知度を上げ、同時に売り上げを上げる努力が必要です。そして中央基幹店で各地の店舗の情報を集約し共有しなくてはなりません。そのシステム作りは大きな仕事といえます。

最初の店舗が軌道に乗り始め、僕たちは要となる二つ目のセントラルキッチンに着手しようとしていました。

企業経営は立ち止まることができません。一つ達成すると次の課題が姿を現します。僕たちの目標であったカフェから「タルト専門店」への変革は最初の目的地に到達しようとしていました。そしてそれは、僕が本来存在するべき立ち位置への回帰の始まりでもありました。

それはつまりクリエイターへの回帰でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?