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近未来の話をしよう−33

時代というより状況の変化が激しく、中小事業者がついていけないでいる。
昨日までのマーケットが翌日には閑古鳥が泣いている。
右に集まれば右に、左に集まれば左に。
みんなが右往左往している。

●変化は止められない

どの企業も困惑している。
どんな手を打てば良いか分からなくなっている。
国も自治体も巨大企業も方針がコロコロ変わり、どうすれば良いか分からなくなっている。
それでも、次に何が起こるかを予測しなくてはならない。
言えることは、これから未曾有の不況がやってくるということ。
そして不況の時代は公共事業に関連する企業か、大企業だけが生き残り
小さな会社の大半は倒産するということ。
国の政治はもはや10年以上の遅れをとっている。
悲しいことに、国政は時代を先取りすることはできない。
これまでの手法は通用しないのだから。
大企業はあらゆる経費を削減し、その最も大きなものは人件費になるだろう。
今回の波は大きい。
国内だけの問題ではないからだ。
多くのものを国外に求めたツケが回ってきた。

●あらゆるものに変革が必要

方法論として間違っていたことが沢山ある。
国政にもあり、企業側にもある。
これまでの方法論は通用しない。
以前に使ってきた方法が通用しないのなら新しい方法をいきなり試すことになる。
壮大な社会実験が始まる。
今、紛争による国益の獲得を目指したり、情報を操作して状況を変えようとしても
実際に状況を打開出来るものはすぐ目の前にある問題を解決すること。
かつてのような全体の勢力図を描き変えることではない。
一つずつ塗りつぶすように改革を進めなくてはならない。
現在起こっていることの影響が将来どこに波及するかを予測しなくてはならない。

わずか三年前に起こった感染症は多くの事業を変貌させた。
人々は最初、すぐに感染症は治り、社会は元の状態に戻るものと思っていた。
ところが三年経った今でも感染症は治らず、それでも政府は収まるのだという前提で政策を打ち出し続けている。
リアルに会えないのであれば「リモート」にすれば良い・・・。
それはソフト系産業の話であり、製造業やサービス業はそうはいかない。
買い物はネットショップに場所が移り、元々価格を引き上げていた自動車産業は若者から足を奪い、円安によって外貨を稼ぐことで生き延びることができた。
文部科学省は教育の向かう方向を見誤っていたことを認めず、
日本人の基礎学力や発想力は損なわれ、能力のあるものは海外に流出し、
新しい技術の芽を摘み取ってきた。
小規模事業者よりも大企業を優先し、新しい産業の育成を怠ってきた。
米国の経済に寄り添って下支えすることが自国の発展に繋がると信じてきた。

それらが間違いであったことを認めることをしない政府。
ようやくスタートアップの育成を手がけ、教育を変革すると言っているが、
方法論が見えてこない。
単に予算を作って投下することが「手がけたことだ」と言い続けている。
その予算がどのように使われるべきかを明示していない。
この国は「未来を予測する力」が劣化し、
これまで起こらなかったことが起こり始めると途端に迷走し始める。
それは民間でも規模は違えど同じことが起こっているように見える。

●マーケットが変わったのだという認識

製造業にせよ、小売業にせよ、観光業にせよ、飲食業にせよ、
マーケットそのものが変化をしているのだということを認識するべきだろう。
最も大きく変わったのはマーケットの場所だろう。
「人が集まる」場所が元々のマーケットだったのが「人が集まる」のは良くないと3年間言い続けられていれば、元々のマーケットは弱体化してしまう。
ショッピングモールの人影はまばらになり、テナントは3年間もの間売上を落とし続けている。
かつてショッピングモールの出現によって荒廃してしまった「公設市場」のように
人を集めることで効率化を目指したショッピングモールは荒廃しつつある。
テナントは抜け、新たにテナントを入れても、確立したブランドを壊す。
日本のショッピングモールのテナントの6割が
外資系企業に置き換わるのもそう遠くはない。
もちろん、それが一概に悪いこととは言わないが、同じテイストのブランドを置くことで価値を上げていたモールの魅力は損なわれ、
モールそのもののブランド力は低下し、集客が困難になるだろう。

これまで販売する場所は駅に隣接していた。ショッピンモールも百貨店も大抵駅と直結した利便性の良い場所にあった。
主婦層やサラリーマンは収入に少し余裕があって、主婦層はショッピングに友達と待ち合わせをし、サラリーマンは仕事帰りに集まってお酒や食事を楽しんだ。
そのあとは隣接する駅からすぐに帰路につける。
土日は家族とロードサイドにある大型ショッピングモールに車で出かける。広大な駐車スペースはいつも車で溢れていた。

今はどうなのだろう?
駅に隣接したショップ街を通り抜ける人の足は早い。
お店に落とすほどの収入の余裕はない。物価が高騰して欲しいものを買うのを我慢している。退社後に集まって飲むことも減った。
都心部であればあるほどそういった傾向が強くなっている。
私たちには新しいマーケットが必要だ。

●新しいマーケットの形

ほとんどの人がNetショップで買い物を自由にするようになった。かといってNetショップ業界は競争が激化して、商品の調達も仕入れ値の削減も困難な状況になっている。
Webでの販売促進もこれまでのように動画の視聴頻度を多くして、印象に残る目立つ告知をインフルエンサー、Youtuberを使いガンガン訴えかける手法は飽和状態になり効果は薄くなっている。
パーパス経営が言われはじめて久しいが、どんな時代でも効果があり強さを持った訴求は企業文化を整え企業やブランドの信頼性を上げていくことだと考える。
ただ、それは短期間に急激にユーザー層に訴えかける訴求方法ではない。
時間をかけてじっくりとリピーターを増やし、その中からコミュニティーを作り上げてゆく手法だ。
アジアの文化の中では、まずは利益を生み出すだけのシェアを短期間で作り、収益を確保したら、すぐにそのマーケットから撤退し次のマーケットを立ち上げ、今度はそこで短期間に収益を確保する。そういう手法が主流だった。
しかし、世の中に情報が平均化し乱立するとユーザーはそれらの情報を吟味し、より有益で価値のある情報をピックアップし始める。
新しいマーケットのヒントはそこにある。
商品やブランドの信頼を裏付けるような物語性を持った背景を、動画や文章、画像などとの連携で見せたり読ませたりしながら訴求してゆくいわゆるコンテンツ・マーケティングが主流になってゆくだろう。
ただし、そのためには虚構ではない実話としてのストーリーが必要であり、付け焼き刃で作り上げた物語はかえって商品やブランドの信頼性を損なう。
そしてそんなフェイクストーリーを見破るようなリアルユーザーこそが企業や商品の価値を裏付けてくれる。
つまり、企業とユーザー双方が
マーケットを協力して作る時代が来るということだ。


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