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De-sign語り-12

技術は古くなる。そして使い物にならなくなる。

どんな仕事でも同じようなことが起こる。でもそれは本当なんだろうか?

デザインの優れたトップランナーたちって、技術が追いつけなくなって消えていったんだろうか?

新しい技術は仕事を効率化するよね。ちょっとした間違いの訂正や、気に入らない色の変更はデジタルでは短時間で処理できるし、何よりコストがかからない。

かつてフォントを「写植」と呼んでいた時、CMYKをデータでなく4色製版で表現していた時、微妙なニュアンスをそれぞれの専門の職人たちが加工して、デザイナーは指示するだけだった。

もちろんデザイナーも写植を貼り付け、CMYKのパーセンテージを指定する能力が必要だった。

写植文字を歪めて貼って怒られたりすることは無くなった。あの時真っ直ぐ貼る練習をしたのは何だったんだろう?って今は思うよね。

平面のデザインの多くはデスクトップ上で表現されるようになったし、今ではそのグラフィックスをモニタ上で動かすこともできる。

フォントを手で描く→写植文字を貼る→デスクトップで加工する→データのみで表現する。

そんな時代を1990年代〜2020年という30年で行ってきたのだから、創世記のデザイナーのスキルが古くなって当たり前。1990年に20歳のデザイナーは現在でも50歳で現役の人も多いだろうな。

年齢で感覚も劣化すると言うのは「最前線」にいなかった凡庸なデザイナーの話で、トップランナーだったデザイナーにはそれなりの理由があってトップランナーだったのだから、スポーツ選手とは違ってそれほど能力は劣化しない。

スポーツ選手だってトップランナーだった選手は年老いても同じ年代の人たちと比べれば、よほど不摂生しなければ身体能力は優れていると思う。

スポーツ選手にせよクリエイターにせよ鍛え続けることが大事だし、年齢に応じて身につけた経験を現場に生かせるかどうかが大事だと思う。

スキルというのは技術で、習得が可能なものだと考えると、若い頃よりも習得の機会が減っているのと、習得に時間がかかるという点を除けば「習得できない」ものではないよな。「習得しよう」という気持ちがあるかどうかが大事だよね。

そういう意味では「気持ち」は年齢に関係ないから若くても習得できない人もいるし、年齢が上でも習得できる人もいるよね。ただ、機会はとても少なくなるから、そういう人たちは努力しなければ機会が手に入らない。

まだ学生の若い世代の人たちと交流できる機会があれば、お互いに勉強できるのにね。

そんな場所がいろんなところに出来ると良いのにな。


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