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近未来の話をしよう-29

ウクライナの件を持ち出すまでもなく、今後世界中は食糧危機に瀕する気配が濃厚。日本では人口減少が起こっているけれども世界的に見れば途上国の人口は増え続けて、地球規模でいえば世界人口は増え続ける。

ウイルス感染症や気候変動、大規模災害による多少の人口変動はあっても人口は増える。問題は気候変動や災害によって食料を生産する地域の生産量が減って、しかもその地域と発展途上地域がある程度リンクしていれば、生産量を増やすことが難しくなるということだ。

農業先進国と言われる日本やアメリカの生産技術を発展途上の地域に普及させてもすぐには追いつかない。これからは技術の問題よりも気候変動の問題の方が大きくなる。早急に気候変動に耐えうる生産技術を発展させないと、この食糧危機はすぐにでも世界を席捲する。

高温に耐えられる品種改良、気候変動を遮り頑強に防護された空間での生産技術。狭小面積での大量生産の技法。再生産性の高い代替食料を含めた食品への転換。フードテック、アグリテックへの投資。残された資源庫「海」の覇権争い。さらには宇宙開発という途方もない資本の投下と資源の探索、採掘。

これらの食料問題解決への道筋はおそらく国家そのものには解決策はなく、民間の事業から作られてゆくだろう。食料の問題はそれを解決に近づけることが出来た者ほど生存を持続できる可能性は高い。

これまでは次世代は「生産」や「開発」に従事することで発展してゆくことが出来たが、これからは「問題の解決」に否応無しに従事せざるおえなくなる。

まだまだ先に話になるかも知れないが、物質の摂取を資本の核として来た古い資本主義から離脱して「再生可能エネルギー」と「食物生産」「デジタルを利用した情報と消費のロスの排除」などを獲得した新しい「ユニゾン・ステイト(国土を必要としない国家あるいは複数の国土を持った国家)」が出現するかも知れない。一つの思想やイデオロギー、宗教に支配されず、同じ価値観、運営システムの上に成り立つ包括的な巨大な運営体が現れて、そこに人が流入を始め、いずれは大国に並ぶ、あるいは大国を超えるようになる可能性がある。その可能性について、もうすでに考え始めている人たちは存在するのだろう。

偏った倫理観に支配されない、国家元首や特権階級を排除した組織が生まれるのは近い将来始まる。そのためには一旦「資本」を無意味化する必要があって、これまでの「資本」の物差しではない別の「資」の考え方が必要になるのだろう。

その存在が無視できない規模に成長した時点で古い資本主義との軋轢が生まれるだろうけれど、流れは止められなくなる。それからは人の「知性」や「教養」「学習」は別の側面からの価値観で推し量られて、これまであった権力構造も崩壊するに違いない。

一部の「価値観」は宗教的な側面を生じて歪に捻じ曲げられて、相対的で平均的な指針から逸脱して人的な抗争を生み出すかも知れない。それを制御する際に「法」を間違った使い方をすると再び「権力」の集中を生み出してしまう可能性があるから、制御の方法に関しては慎重を期する必要がある。

随分と大きな話になってしまっているが、例えばウクライナや台湾、旧香港人、日本人の一部、アメリカ、EU諸国の一部の人たちは現在の覇権主義にはうんざりしていて、デジタル社会がこれほど進み情報の入手が容易で地域性に縛られないのであれば、国家に縛られない共通の価値観で繋がろうとするのはごく自然なことだと思う。その勢力が一国を凌駕する規模に成長するのも時間の問題だろう。

彼らが「資本」の問題と「食」の問題をいち早く解決できるのであればその存在は無視できなくなる。

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