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と言っても、それでもやっぱり。-3

商品の価格を決めるは、いつも悩む。
もちろん、世の中に出回っているよく似た商品なんかを参考にしたりするけれど
大抵の場合はそういう商品はとても安かったりする。
なぜなら「世の中に出回っている」商品は大量生産でオートメーションかされた工場なんかで製造されている。
人件費を削って代わりに設備投資にお金をかけて製造すれば商品は安くなるよね。
でもそれって大きな資本を持った会社だけができることじゃないのだろうか?

小さなお店から作る商品ってそれなりに手間もかかるから原価率が高くなる。
名前が売れているパティシエのケーキや有名な芸能人がオーナーのお店の商品は、その知名度で商品が多少高くても売れたりするけれど、
一般市民が一念発起して始めたお店では、他のお店より高く売るのは勇気が必要。
作っている本人たちは、自分たちの商品はこんなに手間がかかって良い材料を使っているのだから「高く売りたい」って気持ちになりやすい。
でも有名ブランドや高級ブランドの価格を参考にしても、無名のお店ではお客様が買ってくれない。

自分たちの商品の原価率を細かいところまできちんと計算しよう。
自分たちの人件費、材料費、光熱費、家賃、運搬費、資材費まで原価として計算したら、そこにどれだけの利益を乗せるのか?

商品の値段って二つの側面がある。

「売り手側から見た値段」
売り手はやっぱり高く売りたい。

「買い手側から見た値段」
買い手はやっぱり安く買いたい。

と言っても、それでもやっぱりきっと適正価格ってあると思う。
それは「値頃感<ねごろかん>」があって「利益」が出る値段。

「値頃感」って、例えば多少高くてもそれなりに「買って良かった」と思える価格。例えばなかなか手に入らない商品を手に入れた、とか。
お金を払ったけれどそれなりの価値があった、と思えるのが「値頃感」のある商品。

それと大事なのは「自分たちのお客様」は誰なのか?ということ。
高級エステでお客様がセレブの奥様方だったら、値段が安いと信用されないから逆に売れなくなってしまう。
女子高生を相手にコンビニで売る化粧品は安くないと売れない。
でも、大抵の化粧品は「お客様に夢を見せる」のが目的だから、商品にの見た目はもちろんだけど、力を入れるのは販売店自体の高級感とそこに勤める販売員の物腰や接客の丁寧さの方が、商品原価よりも大切。そういうのって販管費って言うらしいけど、そう言う商売もお客様の層によっては必要になるんだね。

価格の付け方は二通りあって、
一つは売りたいのなら販売価格は「消費者目線」に立って決めて、その価格であっても「利益」が出るように「原価率」を低くして、「損益分岐点」を低くすること。消費者目線に立てば当然価格は安めになるし、材料費(仕入れ)が高い円安の現在では「原価率」が上がり、当然「損益分岐点」も上がって経営も苦しくなる。

二つ目は「売り手目線」になって、商品価値を上げるために商品の品質を上げる代わりに「販売価格」も上げる方法。そうすれば「原価率」が上がり「損益分岐点」も上がったとしても「利益」は確保できる。その代わりその価格でもお客様に受け入れてもらえるような「高級感」や「特別感」がないと買ってもらえないし、その商品を買ってくれるお客様がいる「マーケット」に商品を出さなくてはならない。

これまでずっとデフレだったからほとんどのメーカーは一つ目の方法を選んでいたけれど、ここまで材料費が高騰して消費が落ち込むと一つ目の方法では経営が破綻してしまうから、ほとんどのメーカーが仕方なく値上げに踏み切っているよね。

海外市場も視野に入れれば、円安なのだから商品が多少高くても購買するお客様はいるはず。だから二つ目の方法に転換するメーカーも多くなるだろうけど、問題なのは例え場所は違っても同じブランドを高い価格と安い価格で販売するとお客様は「この商品って高級なの?チープなの?」って感じてブランドそのものを壊してしまう。

こんな場合どうすれば良いんだろう?
それはブランドを二つに分けること。
同じ名前のブランド名で違った価格で販売するのは、ブランドそのものを壊してしまうから、「高級ブランド」と「安価ブランド」の二つに分けて、別々のマーケットで販売すれば良い。
安価ブランドは原価率を下げ、人件費を削り、資材も簡易にする。
高級ブランドは原価率が多少高くなったとしても手間をかけ、品質を上げて他者と差別化する。
現在は安価ブランドは経営が苦しくなるから、今までのブランドをテコ入れして高級ブランドとして作り替えた方が良いかもしれないね。

難しい時代だから頑張って考えよう。


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