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排水と引き出し

「室内観葉植物の水やり三重苦」から解放される家具、作りました!ネタ帳を見返すと2006年に風呂場で思いついたアイデア。16年寝かしたので、美味しくなってるはず。

室内観葉植物の水やりで困るのは、水やり後の滞留水。溢れてしまい床が水浸しに!なんてことも。さらに掃除も面倒という三重苦。そこで思いついたのが、溢れた水は排水口から下の引き出しの中にあるトレイに溜めて、引き出して取り除けば良い!脚があれば掃除も簡単。これでストレスから解放されること間違いなし。

きっかけは、偶然のご来店から

なかなか作るきっかけがなかったのだが、コロナ禍の巣ごもり需要と、何よりわたしの自宅に欲しい!と思っていた矢先に、偶然の出会いが重なり実現することに。

ある日、ご来店いただいたお客様との会話。

「ところで、お仕事は何されているんですか?」
「家具の制作をしてます。」
「どんな家具ですか?」
「車にあるので資料取ってきます。」
「こんなアイデアあるんですけど、制作してもらったりできるんですかね~?」
「できますよ。」
「ステンレスの加工とかって無理ですよね?」
「できますよ。」
「こんな木材でこれくらいの価格だと無理ですよね?」
「できますよ。」
「今、お時間大丈夫ですか。」
「大丈夫ですよ。」

カウンター越しに制作打ち合わせがはじまり、翌日には草案が完成。

Drain & Drawer

この排水システムを備えたプランターボックス/鉢カバーをDrain & Drawer(排水と引き出し)と名付けました。溢れた水は排水口(内側に付属しているステンレストレイ)から下の引き出しの中にあるトレイに溜めて、引き出して取り除くだけ。さらに、脚付きなので床の掃除も簡単。また、機能的なだけではなく、メンテナンスしながら長く(生涯)使い続けるための素材や細かな仕様で制作されています。わたしが作るものは概ね、手が掛かるほどに愛おしくなるというを大切な価値基準にしています。

Drain = 排水
Drawer = 引き出し

材質について

木材は国産ヒノキを使用しています。ヒノキは針葉樹の中でもっとも水気や湿気に強い木材の一つ。昔から今なお神社や仏閣など重要で神聖な建物ではほとんどヒノキが使われているように、品位が高く耐久性にも優れた信頼度の高い木材です。また、健全な日本の森林サイクルを再構築でき、森林保全や地球環境保護に繋がり、豊かな自然・社会・暮らしを生み出していけるためにも、国産(兵庫県)のヒノキを使用しています。

塗装とパーツについて

塗装はミッドセンチュリーのアンティーク家具と同じ製法のラッカー塗装仕上げを採用。木の深い味わいを残しながら艶やかな優しい手触りを楽しんでいただけるよう、アンティーク家具のリペアもされる職人が制作。万が一の時は修理にも対応します。また、使用者のアイデンティティ(存在個性)が刻み込まれるよう、節や割れなどはあえてそのまま残しています。ハンドルとネームホルダーは表面コーティングは施していない無垢の真鍮マイナスビスで留めています。

最後のひとてま、主役の植物はご自身でご用意ください。