水俣病


「 MINAMATA ミナマタ 」
2020年公開作。

心に傷を負ったカメラマンと公害と闘う人々の話。
とても良い映画でした。観て良かったです。

水俣病という社会問題を取り上げると共に、写真というメディアの可能性を感じる作品でした。
まず私生活が騒がれがちなジョニーデップが熟練の演技で魅せる、落ちぶれた写真家ユージンスミス。
彼の人間臭い描き方にとても好感が持てます。
ぶつくさ文句を言いながら水俣病患者を抱っこする姿にほっこりし、写真家としての使命に向き合い、再び立ち上がる姿には、人生最後に勝てば良いんだなと思わされる。

物語もユージンスミスのカメラマンとしての苦悩と復活を軸にチッソ株式会社と闘う住民の闘いがしっかり描かれており、彼と水俣病について知るにはちょうどいいバランスでわかりやすかったです。
パートナーとなるアイリーンとの描写も深掘りし過ぎずなのも品がいいですね。ご都合主義というか、多少の脚色はまぁ仕方ないでしょう。
作品のトーンもシリアスになり過ぎないよう時折ユーモラスな場面や心温まるシーンもあって見やすい方だと思います。

日本人キャストもグローバルに活躍するメンツで固められてるので英語力や演技も盤石。
過去ハリウッド映画に出てた日本人俳優がほぼ全員集合してます。
彼ら住民達だけでもう一本映画作れるくらいの層の厚さでした。

ジョニデの上司ビルナイも良い役。
クライマックスの撮影シーン、被写体への敬意を忘れない神聖で厳かな雰囲気も印象的。

今作が公開されるに辺り、当事者ご本人にとっては様々な思いや沸いてくる感情があるかと思います。忘れてかけてたのに今作のせいで…と苦しむ人もいるかもしれません。

少なくとも僕は小さい頃父に連れられて行った水俣病の展覧会の記憶が蘇り、一国民としてこのようなことが起こらない世の中にしなければと、せめてその思いだけは持っておこうと改めて思う事が出来ました。

企業による人命軽視が起こらないよう、今でなくてもいつかは観て欲しい作品。

人生で一度は行きたい場所ってあると思います。
僕も国内外たくさんの場所に行きたいですが、熊本もその一つ。

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