良い集まりとは？
人が集まる場面は多岐にわたります。仕事のミーティングや家族との食事などの日常的なものから、結婚式やさまざまなイベントなど非日常的なものまであります。なぜ集まるのか、いつ集まるのか、そしてどのように集まるのか。それはリアルな場での集まりなのか、オンラインなのか、はたまたハイブリッドなのか。また、同じ人々が集まっても、良い集まりと悪い集まりがあったりもします。
今回は、良い集まりに必要なポイントについてご紹介します。
ATD2023基調講演での一説
今年のATD2023の基調講演の一つ、プリヤ・パーカー（Priya Parker）さんの講演がまさにそのテーマでした。彼女は著書「The Art of Gathering: How We Meet and Why It Matters」の中で、人々がどのように集まり、つながりを作り、効果的なコミュニケーションを取るかについて詳しく述べています。
ATDで彼女が語ったエピソードは以下の通りです。
ある日、父親が30年間勤めた会社を退職することになり、最後に同僚とのランチ会が開かれることになりました。そして、母親もその会に参加することになりました。
ランチ会は、いつもの昼食のように、みなが雑談しながらごはんを食べる時間として進んでいきました。しかし会が中盤に差し掛かった頃です。
母親が緊張しながら立ち上がり、参加者に話しかけました。「すみません、私は家での夫の様子しか知らないのです。今日は、彼の職場での様子を聞きたいと思ってきました。どなたか教えていただけませんか？」
最初に、一人のインターンが手を挙げました。「私はこの会社に3週間いました。別のチームだった彼はいつでも手を差し伸べてくれて、真剣に答えてくれました」と彼は語りました。他の人も続けて話しました。「彼は障害が発生した時にはいつも最後まで残って対応していました。なぜなら、最後まで残るとそのプロジェクト名の命名ができるんだよ。彼はそれを楽しみにしていた笑」と別の参加者が言いました。それから他の人も次々に彼に関するメッセージを伝え始めたんです。
母親の行動がランチ会の雰囲気を一変させたんです。ただランチを共にするだけの時間から、彼に感謝の気持ちを伝えたり、尊敬したり、労ったりする時間に変わっていったのです。そして何よりも、その時間を通して、父親自身が「30年間の仕事について最後に思うこと」が変わったんです。
重要なポイント①集まる目的やニーズ
集まりが良いか悪いかを決める一つのポイントは、「集まりの目的やニーズがちゃんと理解されているか」ということです。
集まる理由が先週も集まったからといって、なんとなく集まるのか？
それとも新しいアイディアについて相談したいのか、反応を知りたいのか？
それともこの場を通じて、何かを伝えたいのか？
それとも参加している人、一人ひとりが楽しんでもらいたいのか？
この集まりの目的は何か、どのようなニーズがあるのか、集まることによって何を達成したいのかといったことが理解されていないならば、ただ単に集まって終わってしまうということも起こるでしょう。
集まる目的は様々で、集まるニーズも頻繁に変わるものです。もしも集まりの目的やニーズが理解されておらず、話し合われていないならば、深く探ってみることが大切です。この場に必要なものは何だろうと好奇心を持ち続け、そして時には、テーマを変える勇気も必要なのです。
重要なポイント②参加者の存在
集まりの良い雰囲気を作り出す役割は、一般的にはホストに期待されることが多いですが、参加者一人ひとりも同じくらい重要で、この場においてインパクトを創り出すことができることを覚えておくことも大切です。
集まりはひとりでは成り立ちません。参加者それぞれの存在が大切です。
なぜなら、その場にいる人がそれぞれのスタンスや行動を通じて、作り出しているものがあるからです。結果的に、集まる人が異なる場合や、集まる人が同じでも関わり方が異なる場合、まったく違った影響が生まれます。
それぞれのインパクトによって場には何かが起こるので、その場に集まった人たちのエネルギーをどのように引き出していくかも重大な命題になります。ですが、それもホストだけでは実現できないものなのです。
最後に
今回は、良い集まりに必要なポイントをスタンス面から書いてみました。
実際のところ、良い集まりって具体的にどういうものかは人それぞれだと思います。でもいずれにしても、私たちが集まる時、目的やニーズを大切にし、参加者一人ひとりの存在を尊重する姿勢を持っていれば、きっと素敵な集まりになると思うのです。
集まりは一歩踏み込むチャンスでもあります。
どうぞ参加者の方と一緒に、起こしたい世界を創り上げていってください。
みなさんが良い集まりを持つことができますように！
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