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第21話 旅立ち

やっと、伊周が大宰府に向けて出発
定子の懐妊とまひろは越前に向けて旅立つ
慌ただしくさまざまなことがありながらも、穏やかに流れていく
時間の移ろいが美しいとさえ感じたのは、
清少納言の「枕草子」のくだりがあったからかと思います
史実も大事ですが、これは大河「ドラマ」です

さて、今回は私的にむなしくなるほどの母子関係を
考えたいと思いました
定子「見苦しゅうございますよ。兄上。
   この上は帝の命に速やかにお従い下さいませ」
実資「直ちに大宰府に向けてご出立を!お連れ申せ」
伊周「いやだ、いやだ、いやだ!私はここを離れるわけにはいかぬ。
   亡き父上に誓ったのだ。私が私が我が家を守ると・・・」
貴子「私が行かせる。(驚く定子)伊周、もうよい、
   母も共に参る故、大宰府に出立いたそう」
伊周「母上・・・」
場面変わり内裏にて実資の報告を聞いた一条天皇
一条天皇「都にとどまるために愚かなことを・・・」
実資「伊周は、母を伴って配流先へ出立いたしました」
一条天皇「許さぬ、直ちに引き放て!」
実資「承知つかまりました」

伊周の母は、貴子
貴子は、中宮定子の母でもあります
伊周が大宰府に出立する前には隆家も大宰府に出立しています
中宮の側に残ってあげても良かったと思うのですよ
でも、引き離されるときの貴子は道長に向かって
貴子「どうか、どうか、お許しを・・・定子も出家して私には
   この子しかおりません。どうか、どうか・・・」
この子しかおりませんって・・・隆家いるのに、伊周だけってひどい
気持ちはわからなくもないのですが・・・子離れも親離れも出来ないほどの
お互いにとっての良い母であり良い息子だったのでしょう
伊周は、父親から家を託されて重圧にも耐えながらも思い通りにいかない
ことすら認めることが出来ず苦しかったと思います
また、その重さを担わせた貴子も辛かったとも思います

一条天皇はどうでしょうか?
実資「伊周は、母を伴って配流先へ出立いたしました」
この言葉を受けて
一条天皇「許さぬ、直ちに引き放て!」
と、命じます

この時の一条天皇はどうとらえたのか。
勝手に推察してみます
幼い頃から政の中で育ち、天皇になるために育てられました
母親に甘えたい時も甘えられず、躾を受けることが多くあったように
思えます
今回のことで自分が好きなだけ甘えることができた
中宮定子を内裏から実家に戻してしまい、母親も側にいない
花山院に矢を放つし、出てこいと言っても出てこないし、大宰府に行けと言っても逃げるし、出家したふりはするし、
定子は勝手に髪を切り出家したと言うし、そんなことをしたら、
内裏に戻せなくなるじゃん!
元をただせば問題ばかり起こした伊周じゃないか!
にもかかわらず、元凶である伊周の思い通りに母親を伴う?
図々しい!それも定子の側にいた方がよい母親が一緒に行く?
「許せない!」と思ったのではないかと私は感じました

一条天皇は、自分の役割を全うするために苦しみます
好きなことをしてばかりいて立場もわきまえない伊周の生き方を
認めることが出来なかったのです

これは、よく考えてみると、良い悪いと言いたいわけではなく、
幼い頃からの育て方や母と子の関係性が大人になってから、
人生の岐路に無意識に顔を出したわかりやすい出来事だったのでは
ないでしょうか?

ちなみに、史実では伊周がやってしまったことは、
ドラマよりもひどいことで、一条天皇が怒るのは当然かと
私は思います

大人になっても、無意識に親との関係や教え込まれたことに
縛られているかも知れませんね
それは、あなたが納得できていることなら問題はありませんが、
無理しているようなことがあれば、少しは振り返る必要はあるかと
思います
普段、気がつかずに当たり前としてやっていることに気がつくことは
難しいかと思います。何か気づきがあるといいですね





   

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