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ウィークエンド世界食堂|インタンさんのインドネシア料理

7月21日(日)、大阪府豊中市のカフェ・サパナにて「ウィークエンド世界食堂」を開催しました。今回のシェフは、インドネシアからの留学生、インタンさん。31名の方が参加されました。今回も異国の家庭料理を通した、普段着の国際交流を、みなさんに楽しんでいただきました。

シェフについて

●インタン・ハウィナ・アンジャリ(Intan Hawina Anjari)さん
ジャワ島のバンドン出身。大阪大学の博士後期課程1年。母国では、植物から天然化合物を取り出し、創薬の開発に携わり、現在は糖タンパク質の合成に取り組む。趣味は写真、デザイン、映像編集、いけばな、日本語の勉強、料理。インドネシアの女性は料理を義務と感じる人も多いそうだが、インタンさんにとっては大事な趣味のひとつ。自分の料理を味わってもらうことが大好きで、アドバイスをもらえると、勉強になるのでとても嬉しいそう。

打ち合わせ

インタンさんとの打ち合わせの前にインドネシア料理のリサーチをしていて、見つけたのが「ナシ・トゥンペン」というお祝い料理。「こんな料理があるんだね」とインタンさんに写真を見せると、インタンさんは「おお、トゥンペン!」と笑って、自分の誕生日のためにつくったというナシ・トゥンペンの写真を、見せてくれました。「これはいいね!」とメンバーも盛り上がり、ナシ・トゥンペンをメインにすることに。
次はおかずを決めていきます。これまでインタンさんがカフェ・サパナのランチでつくってくれた料理を踏まえつつも、お祝いの料理であるナシ・トゥンペンのおかずにふさわしいものを選んでいきます。私たちからは、一緒に並んでいてもおかしくないように思える組み合わせも、これとこれは一緒に食べない、など、やはりその国ならではの感覚があります。また、いつもつけているスープも「ナシ・トゥンペンは本来ひとつの大皿からみなで取り分ける料理なので、スープがつくことはないです」というインタンさんの言葉で、今回はつけないことにします。

会場の様子

当日の会場は、インタンさんが持ってきてくれた、インドネシア国旗などのガーランドとバティックで飾りつけ。今回は、豊中市内の方が半数近くおられたものの、茨木市や神戸市、東大阪市や八尾市など、梅雨明けの酷暑の中、遠くからも足を運んでいただきました。インドネシアに住んでいた、インドネシア語を学んでいたなど、インドネシアにゆかりのある日本人の方だけでなく、なんとインドネシア人の若者も参加してくれました。また、インドネシア料理にあわせて、バティックを身につけてきてくださった方もいて、気分を盛り上げてくださいました。

料理とその説明

インタンさんからは、ナシ・トゥンペンは、誰かのお誕生日や、新しい仕事が決まったとき、あるいは会社の設立記念など、個人や法人の節目となるお祝いごとのときにつくられるお料理なのだという説明のあと、それぞれの料理の意味をひとつずつ紹介してくれました。(カギカッコ内は参加者アンケートのメッセージより)

ナシ・トゥンペン|Nasi tumpeng
ジャワ島が起源の、円錐形のご飯のまわりにおかずを並べるお祝い料理。本来は大皿に盛り取り分ける。料理はそれぞれ意味を持つ。
→「ナシ・トゥンペンは、盛り付けがとっても良く、食欲をそそります」「かわいい、山のように盛り上げたご飯が印象的でした」

ナシ・クニン|Nasi kuning
ターメリックご飯。山の形は自然の創造者である神を示し、黄色のご飯は、明るい人生、繁栄、富を示す。
→「ナシ・クニン、きれいでココナツの風味でおいしい」

アヤム・サルンデン|ayam sarundeng
鶏肉のフライドココナツ和え。肉は自然における生き物を示す。インタンさんの大好物。
→「アヤム・サルンデンはココナツの甘さとしょっぱさが絶妙で、新しいおいしさでした」「アヤム・サルンデンがとっても気に入りました。日本ではなかなか味わうことができないと思いました」

テンペ・バラド|Tempe balado
テンペはインドネシア生まれの発酵食品。バラドは唐辛子ソースの意味。インタンさんにとっては最も故郷が恋しくなる料理。
→「テンペをこれだけ美味しく食べたのは、初めてでした」「テンペ・バラド。とても味わい深いソースでした」

テロール・バラド|Telur balado
卵(テロール)は神は全ての人間を同じようにつくった(人間は平等)ということを示す。
→「テロール・バラドとガドガドはおかわりしたいくらいでした」

ビーフン・ゴレン|Bi hun goreng
米の麺は、長寿を示す縁起もの。
→「ビーフンはこの5倍くらいの量をワシワシ食べたい!」

ガドガド|Gado-gado
野菜は自然における植物を示す。インタンさんはピーナッツソースが大好きなので、この美味しさをみんなと共有したい!と思ったそう。
→「ガドガドの甘みあるピーナッツソースが美味しかったです」「ガドガド、自分でもつくってみたいです」

エス・チャンプル|Es campur
チャンプルは混ぜるという意味。氷とシロップ・ココナッツミルクに様々な材料を混ぜてつくる。夏の人気者。熱帯の国、インドネシアで愛されているデザートだが、今は日本も夏なので、ぴったりだと思った。
→「エス・チャンプル、お料理のあとの口に、この暑さの中で、しみわたりました」「エスチャンプルがかわいかった。また食べたいです」

参加者のみなさんからはいくつもの質問がありました。「クルプックはインドネシアではどのように食べるのか?」という質問には「インドネシアでは手食をするので、小さく割って、ご飯と一緒にぎゅっとつまんで食べます」という答えたり、「白いご飯にはどんな意味があるのか」という質問には「清浄さ」という答えたり。また「ナシ・トゥンペンは宗教に関わらず食べることができる料理なのか?」という質問もありました。このナシ・トゥンペンは、ジャワ島のスラマタンという土着儀礼がルーツになっており、宗教に帰属するものではないので、誰でも一緒に食べることができる、とのことでした。
また、インタンさん自身への質問として「なぜ、他の国ではなく日本を選んで留学したのか?」と問われると「子どもの頃からずっと日本に行きたいと思っていた。なぜならずっと日本の漫画を見てきたから!」とのこと。ちなみに見ていたのは「ドラエモン」や「クレヨンしんちゃん」とのこと。インタンさんのお茶目な一面が垣間見えました。

参加者の方からの感想

「Salamat siang! すべて美味しかったです。一つ一つお料理の意味や食べ方を知ることができたのが楽しいです」

「今日の料理は、それぞれのメニューに、いわれがあって、日本のおせち料理みたいなものかなと思いました。唐辛子入りだけど、辛すぎず食べやすかった。ごちそうさまでした」

「ガドガドソースは野菜だけではなくいろんな素材につけて食べても美味しいと思いました。日本の味噌に似ているけど、もっと暑いところのものだなあと感じました」

「メニューを考えてくださる時に、いろいろ思い巡らせて決めて、お料理してくださったんだろうなと思います。一品一品、興味深くおいしくいただきました。ごちそうさまでした」

「まじめに勉強しているインドネシアの女の子を見て、私も頑張らねばとパワーをもらいました。お料理とそれにまつわる健康、体の話も、これから聞いてみたい」

「手づくりのやさしさが伝わって、インタンさんとスタッフさんの笑顔と元気さにも心あたたまる時間でした」

「自分も海外生活が長かったので、母国を離れて暮らす若いみなさんが、日本の文化や生活を楽しんで過ごし、その後の人生で、日本での経験が有意義なものになることを祈っています。このようなイベントがそういうことの助け、サポートになることは間違いないと思います」

「現地に行って食体験をしても、深く意味を知ることがないので、とても貴重な体験でした。なれない異国に住んで、心さみしい状況で、自分が主人公になれたり、自然と自国の文化を知ってもらえる機会があるのは素晴らしいと思いました」

「食を通じて他の国を知るのは、改めて大切と思いました。日本に住んでいる外国の方と、自分のお店で一緒にイベントしたいと思いました」

今回のウィークエンド世界食堂も盛況のうちの終了しました。旅行者としてはなかなか出会えないかもしれない、インドネシアのお祝いごとの食文化や、化学者として日本で研究に取り組んでいるインタンさんというインドネシアの若者にも、食卓を囲みながらの、楽しい雰囲気の中で自然に出会って、異国やその文化を理解する機会をつくれたのではないかと思います。

これからも、Life on the tableの軸にある「食べて、知る」という機会、こんなふうに増やして行きたいと思っています。

基本情報

ウィークエンド世界食堂 インタンさんのインドネシア料理
日時:2024年7月21日(日)11:30の部/13:00の部
会場:カフェ・サパナ
主催:カフェ・サパナ(渉外・受付:筒井百合子、キッチン:飯田美千代)
企画協力:Life on the table (全体コーディネート・広報:宮浦宜子)

左から、筒井さん、宮浦、インタンさん、飯田さん


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