余韻の長い人々|皿の中に、イタリア
読んでいて、嫉妬が抑えられない本というのがある。私にとっては、この本がそのひとつだ。ひとつ目の嫉妬は、これはエッセイではなく小説だったかしらと、表紙の裏を確認してしまうほど、人間として魅力的な人々との出会いと交流に彩られた著者の人生について。ふたつ目の嫉妬は、やや素っ気ないほどに、無駄なく端的に綴ることによって、それらの人々をレリーフのようにくっきり浮かび上がらせる、著者の文体について。読むたびに、こんなものを書けるように生きていきたいものだと、じりじりしてしまう。
「皿の