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きょう心にしみた言葉・2023年5月15日

コぺル君、
いま君は、大きな苦しみを感じている。
なぜそれほど苦しまなければならないのか。
それはね、コぺル君、
君が正しい道に向かおうとしているからなんだ。
「死んでしまいたい」と思うほど自分を責めるのは、
君が正しい生き方を強く求めているからだ。
人間ってものの、あるべき姿を信じているからだ。
さあ、コぺル君 いまこそ答えを見つけよう。
ここには、君が決してゴマ化すことなく考えてきた、
気づきと発見が記されている。
おじさんのノートを最後まで読んでくれれば、
きっと君は、自分を取り戻せる。
あらたな一歩を踏み出すことができる。
僕たち人間は、
自分で自分を決定する力をもっているのだから。

「漫画 君たちはどう生きるか」(原作・吉野源三郎 漫画・羽賀翔一 マガジンハウス)

1937年に出版された吉野源三郎氏の名著「君たちはどう生きるか」。2017年に漫画版として復刻されたのが本書です。これまでに200万部を超えるベストセラーになっています。コぺル君とは、この物語の主人公である中学2年生の男の子のあだ名です。親戚のおじさんが「コペルニクス」をもじって名付けました。自己中心の見方を超えて、他の人たちのことも考えられるようになった主人公を、天動説の時代に地動説を発見したコペルニクスのようだと称したのです。物語は、コぺル君の中学校を舞台に展開します。貧しい友達へのいじめ、暴力を見ても怖くて止められない弱い自分・・・次々と起こる問題にコぺル君は打ちのめされます。そのたびに、親戚のおじさんがノートに文章をしたためて、コぺル君に届けます。言葉の力で、コぺル君は力を取り戻し、成長していきます。物語も最終盤で、コぺル君はこんなことを考えます。「世の中を回している中心なんて もしかしたらないのかもしれない 太陽みたいにたったひとつの大きな存在が 世の中を回しているのではなくて 誰かのためっていう 小さな意志が ひとつひとつつながって 僕たちの生きる世界は動いている」。コぺル君の考えを記したあと、吉野源三郎さんは「そこで、最後に、みなさんにお尋ねしたいと思いますーー。君たちは、どう生きるか」
「となりのトトロ」の宮崎駿さんは、「君たちは、どう生きるか」と題したアニメ映画を制作しています。2023年7月に公開予定とスタジオジブリから発表されています。


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