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きょう心にしみた言葉・2022年7月26日

「優しさは、具体的でないと伝わらない」

「ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む」(磯村健太郎・著、岩波書店)

秋田県藤里町を中心に自殺対策に取り組む曹洞宗月宗寺住職の袴田俊英さんの持論だといいます。袴田さんは「心といのちを考える会」会長、「自殺予防 秋田こころのネットワーク」会長、NPO法人自殺防止ネットワーク風副理事長も務めます。自殺の多かった藤里町で、住民たちが心を開いて話し合える居場所をつくり、大きな成果を上げています。袴田さんは会合ではこまごまとした世話を重ね、ひとりひとりの話を聞いて、驚き、相槌を打ち、感じ合える関係をつくってきました。「具体的でないと伝わらない」は、そんな真摯さから得た持論なのでしょう。
この本には、袴田さんのこんな言葉も紹介されています。
「昔のつながりは優しかった。ただ、つながりがきつすぎて、つらい部分もありました。だから、昔にただ戻ろうとするのじゃない。かつて持っていた優しさと、手に入れた自由や人権、快適さなどをうまく調節しながら、人と人との関係性を再構築できないかなと思っているんです。そのためのおせっかいを焼いているようなものなんですよ」
優しさは、優しさとは何かを考えることから始まるのかも知れません。


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